見出し画像

【恋愛小説】君を助けるための石 3話

みことは鈴と結婚して10年…幸せに暮らしていた。
ある日、突然鈴が倒れてしまい意識不明となった。しかも原因が分からない…
そこに、伊邪那岐神が現れて鈴の原因は、鈴が持ち帰った石にあると言う。
その石を返せば鈴は助けられると…
尊は鈴を助けるために、過去に一緒に行った神社に石を返しに行くことにした…

過去の投稿はこちらから ↓


3話 益田市の神社


鈴が倒れて2日目 10時

こちらの時間にして10分のことなのだが…
尊はすごい倦怠感だった…

―――今、何時だ?10時か…

―――疲れた…

いや…そんなことは言ってられないぞ
鈴を早く取り戻さなければ…
時間が掛かればかかるほど、鈴の負担は大きいはずだ…

尊は、初詣は特に意識していない…
その年に初めて行ったのが初詣だ…
だいたいは会社で行くことになる…
だから数は少ないはず…

スマホを見て…二人で行った神社を探す…
その前に行ったのは…島根県益田市かぁ
確か…お寺に行ったら近くに神社があったから行ったんだった。

尊は、その写真の上に石を置いた。
そして目を開けると景色が変わっていた。

寺のそばにあるあの神社だ…
そうそう…ここだ。
大きな鳥居には、天満宮と書いてある。
でも、奥に見えるのは…小さな2つの鳥居
1つの敷地の中に3つの神社
珍しいと思ったんだった。

1つは…
本殿は天照大神あまてらすおおみかみ菅原道真すがわらみちざね天照大神は、三重県の伊勢神宮に祀られています。又、道真公は天神として祀られ、今日は学問の神として受験生がよく、参拝しております。
と書いてある。

あの時はちゃんと見てなかったけど、そうだったんだな…

2つ目は…
祭神は、少彦名命すくなひこのみこと少彦名命は、医療の神様で女性の病気や安産、子授けなどに霊験あらたかといわれています。男女問わずお参りしてください。

これも、ちゃんと見てなかったよ。

3つ目は…
祭神は、宇迦之御魂大神うかのみたま
稲を象徴する穀霊神、やわらかく言うと、農業の神さま。今は豊作、商売繫盛、交通安全を祈ったりしています。
なんか、今まで何も考えずにお参りしていたけど…

色々な神様がいるんだな…

とりあえず、石を置かないと…
まず、1つ目の神社に石を置いてみた。
でも…石は光らない…

次は、2つ目の神社に置いてみた。
石は何の反応もしない…

次に、3つ目神社に置こうとした時に…
人が来た…
危ない危ない…

「こんにちは」

と言われたので

「こんにちは」

と返した。

「ここは、3つ神社があるからお賽銭が大変なのよ」

と、その御夫人は笑って言った。

だから…

「そうですよね…ははっ」

と返事をした。

その御夫人が行くのを待って…
もう一度、石を置いてみた。
でも、やっぱり石は反応しなかった…

ここもダメだったか…

鈴は、いつ石を持って帰ったのか…

―――仕方ない…帰るか…

尊は、用意していた病室の写真の上に石を置いた。
そして目を閉じて…
目を開けると…そこは病室だった。

鈴は、相変わらず眠っている。

すると、看護師さんが来て

「ご主人、よく眠ってましたね。疲れてるんですね」

と言った。

神社に行っている間、俺は眠っているんだな…

「そうかもしれません…」

そう答えておいた。

こんな調子で…あと何か所の神社に行かなければいけないのか…
尊は、途方に暮れた…

でも、俺にできることはこれしかない…


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?