【恋愛小説】君を助けるための石 17話
尊は鈴と結婚して10年…幸せに暮らしていた。
ある日、突然鈴が倒れてしまい意識不明となった。しかも原因が分からない…
そこに、伊邪那岐神が現れて鈴の原因は、鈴が持ち帰った石にあると言う。
その石を返せば鈴は助けられると…
尊は鈴を助けるために、過去に一緒に行った神社に石を返しに行くことにした…
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17話 出雲市平田町の神社
鈴が倒れて4日目 12時
尊の名前を呼んでいたのは…
さっき会った、良だった。
「尊さん、寝てましたよ…疲れてるんじゃないですか?」
「あっ、うん…疲れてるのかもね…」
「担当の先生に話を聞きました。やはり原因が分からないみたいですね…担当の先生も不思議だって言っていました。でも、精神的なことも考えられると…」
「やっぱ、そうですよね…でも、原因が分からないんですよ…」
「そうなんですね…。そういえば…尊さんが退院してから、もう5~6年経ちますかね?」
「そうだね…それくらい経つかも?」
「奥さん、本当に心配そうにしてましたもん。回復して良かったですよ…」
「奥さんには本当に心配かけたからね…お返ししないと…」
「そうですよ…でも、その前に目を覚ましてくれるといいんですけど…また、何か聞いたら報告しますね」
「良さん、ありがとう」
尊は、脳梗塞で倒れて…ここに入院していたことがある…それを思い出した。鈴は献身的に尽くしてくれた…
幸い、発見も早く手術も成功し…回復したから良かったけど…
鈴のおかげでもある。
それに報いるためにも…
俺は、鈴を絶対に助ける…
次の神社に行きたい所だけど…
まだ、前の神社が終わっていない…
尊は、夕方まで時間を潰した。
食堂に行ってご飯を食べたり…
屋上に行ったり…散歩をしたり…
鈴のそばで、昼寝をしたり…
そして…夕方…
もう一度、大社町の神社に行ってみた。
すると…だいぶ人が減っている…
むしろ、帰る方向に行っている人ばかりだ…
尊は、拝殿に行って…人のいない隙に石を置いてみた。
でも、石は光らない…
本殿の前に行って、石を置いてみたけど…
石は…光らなかった…
ここもダメだった…
鈴は、何を思い石を持って帰ったのか…
とりあえず、戻って
次の神社に行こう。
尊は、病室に戻った…
次の神社は…
さっきの神社の次に行った木綿街道という場所にある神社だ…
鈴は、古い町並みが好きで…
調べて行ってみたいって言ったから
俺はそこに向かったんだった。
尊は、いつものように写真の上に石を置き…
目を閉じて…目を開けた…
すると…そこは鳥居の前だった…
商店街のすぐそばにある神社だ…
鳥居をくぐると…大きな門があり…
その向こうに本殿がある…
御祭神は、布都御魂神
国家鎮護・開運・勝運の神らしい。
小さな祠も沢山ある…
まず、本殿に石を置いてみた。
でも、石は何の変化もしない…
そして、小さな祠一つ一つにも石を置いてみた。
でも…石は光らなかった…
ここも違う…
いったい、いくつの神社に行けばいいんだ…
尊は、鈴の病室に戻った。
「鈴、君は何を思って石を持って帰ったんだ…」
叫んでみても…
鈴は、何も語らない…
尊は、言っても仕方ないことは分かっていたが…
分からない自分が悔しくて…
やり切れなかった…
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