【恋愛小説】君を助けるための石 20話
尊は鈴と結婚して10年…幸せに暮らしていた。
ある日、突然鈴が倒れてしまい意識不明となった。しかも原因が分からない…
そこに、伊邪那岐神が現れて鈴の原因は、鈴が持ち帰った石にあると言う。
その石を返せば鈴は助けられると…
尊は鈴を助けるために、過去に一緒に行った神社に石を返しに行くことにした…
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20話 仁多郡奥出雲の神社
鈴が倒れて5日目 9時
尊は、鈴の会社の近くの神社に着いた。
ここは、街の中に佇む神社だ…
鳥居をくぐると短い参道があり、小さな本殿がある。
航海の安全を願って作られたようだ…
ここに、鈴は毎日来ていたのか…
いったい、何を願っていたのだろう。
やはり…子どもが授かるように願っていたのかな…
でも、ここ1か月になって、毎日来ていたというのが、引っかかるけど…
この神社に一緒に来たことは無いから
ここに石を置いても意味はないな…
神社の中を見て回ったが、これといって手がかりになるものは無かった…
でも、鈴がここ最近何かに悩んでいたのは確かだ…
また神社に行きまくるしかない…
とりあえず、鈴の顔を見に病院に行こう。
尊は、病室で鈴の顔を見ていた…
鈴は、変わらず眠っている。
本当に目を覚ますのだろうか…
でも、俺しか助けられないと伊邪那岐神は言った。
―――よし、次の神社に行こう。
尊は、スマホの写真をスワイプした。
神社を探したが…写真は、3年前までしかなかった…
―――そうか、機種変したからな…
―――確か、その時にストレージサービスに写真を移したはずだ…
尊は、アプリを開いて写真を探した。
そして…見つけたのは4年前の12月だった…
確か、鈴がイルミネーションを見たいって言ったから
その前に、島根県の奥出雲まで行って
たたら製鉄で隆盛をきわめた名家の記念館を見たり
亀嵩駅を見に行ったりしたんだ…
鈴は、光物ひかりものが好きで、冬はイルミネーション
夏は蛍と花火…よく連れて行って欲しいなオーラを出す。
俺は、あまり興味がないのだけれど、鈴が喜ぶからって、連れて行ってしまう…
本当に、俺は鈴に甘い…
―――とりあえず行ってみよう。
尊は、写真の上に石を置いた。
そして、いつものように目を開けると…
そこは、鳥居の前だった。
鳥居をくぐると、左右に狛犬がおり
大きな木の間に階段が続く…
そして、二つ目の鳥居をくぐると、
また少し参道があり、本殿が見えた。
主祭神は、大己貴命、少彦名命、邇邇芸命、事代主命、三保津比賣命
この神社は、亀嵩温泉の医薬の守護神として創建された神社らしい。
映画やドラマのロケ地にもなったみたいだ。
回りを見渡すと小さな祠もあった。
ここまで誰にも会わなかった…
静かな神社だな…
―――今のうちに石を置いてみよう。
尊は、本殿に石を置いてみた。
しかし、石は光らない…
小さな祠にも石を置いてみたが
やっぱり、石は変化しなかった。
ここも違うのか…
ほんとに、どれだけの神社を巡ればいいんだ…
でも、鈴を助ける方法がこれしかないなら、俺がやるしかない。
―――また、帰って一緒に行った神社を探すか…
尊は、病室に戻った…
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