【恋愛小説】君を助けるための石 14話
尊は鈴と結婚して10年…幸せに暮らしていた。
ある日、突然鈴が倒れてしまい意識不明となった。しかも原因が分からない…
そこに、伊邪那岐神が現れて鈴の原因は、鈴が持ち帰った石にあると言う。
その石を返せば鈴は助けられると…
尊は鈴を助けるために、過去に一緒に行った神社に石を返しに行くことにした…
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14話 尾道市の神社
鈴が倒れて4日目 10時
尊は、鈴の病院にいた…
鈴は、変わらず…眠っている。
少しすると、ノックが鳴り…
鈴の親友の繭が入って来た。
「鈴、どうですか?」
繭は、尊の反対側から鈴の顔を覗き込んだ…
「変わりないです。医師によると…脳波は眠っているだけだと…」
「そうなんですね…なぜ鈴は起きないんですかね?」
「分からないんですが…僕が思うには、鈴は嫌なことがあって自ら目を覚まさないのではないかと…でも、そうだとしても、僕には分からないんです。それで…繭さんに協力して貰いたいと思って…何か心当たりないですか?」
「嫌なことですか…最近の鈴は、本当に落ち着いていました。尊さんとも仲良くやってると言っていたし…思い当たらないですね…」
「そうですか…あの…昔のことでもいいんです。何か悩んでることは無かったですか?」
「そうですね…昔、よく言っていたのは子どもが欲しいってことですかね…子どもが欲しいけど出来ないってすごく、悲しそうに話していました。それで、尊さんと喧嘩をしたこともあると…でも、ここ何年かは本当にそれも言わなくなったんです。だから、私も触れないようにしてました」
「やはり…子どもの事では悩んでいたんですね。僕も、協力できなくて…喧嘩をしたこともあります。でも、子どもが居なくても…夫婦だけでもいいじゃないかと話をしていたんです」
「でも、もしかしたら鈴の中では、諦めてなかったのかもしれません…」
「そうかもしれませんね…ありがとうございます。助かりました」
「私も、また何か思い出したら連絡しますね。鈴が居ないと私も寂しいので…」
「お願いします。変化があったら知らせますね」
そうか…
鈴は、やっぱり子どもが出来ないことを気にしていたのかもしれない…
鈴は、それが原因で何処かの神社から石を持って帰ったのかもしれないな…
尊は、繭が帰った後、すぐに神社に行くことにした。
尊は、写真の上に石を置いて
目を開けると…そこは、海だった。
ここは、広島県尾道市向島町にある神社だ…
海に向かって、赤い大きな鳥居が立っている。
そして振り返ると…本殿に向かっていく道の両脇に石燈篭が続いている。
海の守り神として信仰されていて、映画のロケ地にもなっている神社らしい。
ここは、3年前の9月に向島の山からの夕日を見に行く前に来た神社だ…
ずっと、鈴が夕日が見たいって言っていて
やっと行けたんだ…
すごく綺麗な夕日だった…
写真にも残っている。
よし、石を置いてみよう。
尊は本殿に石を置いてみた…
しかし…石は光らない…
やっぱり、ここでもない…
こうなったら、神社に行きまくるしかない…
尊は、鈴の病室に帰った…
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