【恋愛小説】君を助けるための石 18話
尊は鈴と結婚して10年…幸せに暮らしていた。
ある日、突然鈴が倒れてしまい意識不明となった。しかも原因が分からない…
そこに、伊邪那岐神が現れて鈴の原因は、鈴が持ち帰った石にあると言う。
その石を返せば鈴は助けられると…
尊は鈴を助けるために、過去に一緒に行った神社に石を返しに行くことにした…
過去の投稿はこちらから ↓
18話 益田市小浜町の神社
鈴が倒れて4日目 17時
尊は、精神的な疲れと倦怠感がひどくて…
今日は、もう帰ろうと思った…
けど…今日は、あまり神社に行けていない…
一応…次の神社は、どこかと
スマホをスワイプしてみた…
それは3年前の6月…
鈴と日帰りで益田市へドライブした時に行った神社だ…
水仙の時期ではなかったけど…
唐音蛇岩と呼ばれる珍しい岩脈を見に行った後で
この神社に行ったんだ…
―――ん?確かこの神社は、砂浜を通らないと行けない神社だったぞ…
満潮時には行けないはずだ…
今の潮の状況を見てみるか…
スマホで調べた尊は…
―――ちょうど、今干潮だ…
―――今、行くしかない
―――明日にしていたら、次はいつ行けるか分からないからな…
尊は、疲れなんてぶっ飛んだ
そして…写真の上に石を置く…
目を開けると…そこは砂浜だった…
ここも、鈴が調べて行きたいって行った場所だ…
鈴の調べるパワーには、いつも驚かされる。
俺も、写真を見てすぐ行きたいと思った。
夕方だけど…まだ明るい…
砂浜を歩いていくのが鈴は辛かったみたいで…
でも、俺は行きたい衝動で、先々行ってしまって…
鈴に
「尊、待ってよー」
と言われて、ハッとして振り返ったら、鈴はずいぶん後ろにいた。
島まで着くと階段があり、その手前に鳥居がある。
階段を上り切ると…周りを見渡せるスペースがある。
そして、更に階段を上ると本堂があった。
ここは、漁業の神様として、えびす様の総本宮である美保にある神社から分霊されているそうだ。
山陰のモンサンミッシェルとも呼ばれているという。
上から見る海は、とても穏やかだった…
鈴は、最近何処かに行くと椅子を撮るのが趣味のようになっていて…
ここの椅子が変な位置にあるのを見て笑ってたな…
―――さて、本堂に石を置いてみるか…
尊は、石を置いてみた…
でも…石は光らない…
漁業の神様だし…違うと思ったけど…
ここも、違う…
たぶん違うだろうと思っても、順番に行くように言われたから
行くしかないのが辛い…
鈴のためとは分かっているんだけど…
鈴との思い出を辿っていると、正直辛くなるよ。
尊は諦めて…砂浜を歩いた…
ここで、鈴と一緒に写真を撮った。
いつも鈴から、一緒に写真を撮ろうって言ってくる。
俺は、渋々撮っているって感じに見せているけど…
本当は、嬉しかったんだ…
―――よし、鈴の顔を見に帰るか…
尊は、病室に戻った…
鈴が倒れて…もう4日が経った…
鈴は大丈夫なんだろうか…
鈴の心臓の辺りに耳を当ててみる…
鈴の心臓は、しっかり動いている。
鈴は生きている。
また、明日神社を巡るからな。
今日は、帰るよ。
「鈴、愛してるよ」
「おやすみ…」
そう言って、尊は病院をあとにした…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?