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#未来は予想できるのか④

ある日、この寂れた町にテレビ局が取材にくる
散歩的な番組は、ほとんど店の開いていない
商店街を撮影してくれた。

当時、私は町内会の仕事をさせてもらっていた。
放映日の翌日、遠い関西の人からある電話が
町内会に電話が掛かってきた。

聞けば既に70歳、関西のとある駅前で
こだわりの「たい焼き」を作っているが
「自分の最後をその町に賭けたい」

最初は少しおかしい人なのかと思ったが
話をしてみると非常に熱い方だった。

目の前のことを実直にやる。

お店を借りる段取りからお手伝いをして
開店してから3か月目。
もともと人気のあった店主は
バラエティ番組に取り上げられた。

放映翌日、奇跡が起こる。
数十年来、人がならぶ姿がない商店街に
長蛇の列ができた。

商店街の店主に中に、かつて子どもの
ころからお世話になった人がいた。
余命宣告された状態で、酸素ボンベを片手に
おぼつかない足取りで出てきて
「ありがとう」と言われた。

「こんなたくさんの人の列をみたのは、何年ぶりかな」
「よくやったな」
「いやー、うれしいね、よいものをみせてもらった」
私もその方も「奇跡の長蛇の列」をみながら、
あふれてくるものを噛みしめていた。

地域がよくなり、町が変化し活性化されていく。
政治に取り組むよりもむしろよい結果が出て、
世の中を変えるには、何が大切かを知る

ほとんどが失敗の積み重ねで、こうしようとか
これをやるんだなんて策して意気込んだこととは
到底上手くいかず、失敗し、異なる方向に行く、
素直に目の前のことに取り組む大切さを学んだ。

長い営業生活のなかで、なんとか「賞賛」されたく
もがいても結果は得られず。
退職するまでわからなかったが、その後、
外の世界へ出てみたら、実際には多くの知識や
貴重な経験を積んでいたこと。
みんな後から振り返ってわかること。

昔、営業のお客さんが教えてくれた。
人生は「引き際が肝心」「最高点を感じたら引きの合図」だ
活性化していく街から去ることを決めた。

自分が次のステージに進むべきだと
暗示されたと感じた。

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