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2024年もお世話になりました


あっという間に大晦日となりましたね。
紅白の藤井風の「満ちてゆく」を見て余韻に浸っているモロサカタカミです。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

私は大学院の授業がひとまず終わり、ゆっくりと本でも読もうかなと思っているのですが、どこからか「修士論文…」「修士論文…」という声が聞こえてきて、暇な割に気持ちだけはせかせかとしています(つまり何もしていないのですが)。

リレーエッセイから大分時間が空いてしまい、この3ヶ月何も投稿できずにいました。申し訳ありません。ですが、この間何も活動をしていなかったわけではなく、例えば9月には軽井沢高原文庫の「立原道造展」をダフネのメンバーで行ったり、つい先日の文学フリマ東京にも出店したりと、活動自体は充実していました。今回はこの3か月のことを振り返りつつ、一年を締めくくりたいと思います。


長野合宿

まず9月に行った長野合宿ですが、合宿というより半分旅行のようなもので、主に小諸市や軽井沢を中心に周りました。澤田さんが「立原道造展」をみんなで見に行かないかと提案してくれたので、編輯長の投野さんと、二島さん、澤田さん、そしてモロサカの4人で、第4号と5号の合評会のついでに長野県に遠征しに行きました。普段車を運転しているのは二島さんのみで、投野さんと澤田さんはペーパードライバー、僕は無免許という不安な面子でしたが、無事に宿まで到着することができました。途中、小諸のおそらく地元の人しか行かないであろう喫茶店にお邪魔して、地域の方とも交流できました。地元のおじさんたちにおすすめのレストランを教えてもらったりしていました。3時が近づくとおじさんたちがみんなそそくさと帰ってしまうのでなんでだろうと思うと、喫茶店のマスターが、みんな大相撲を見に家に帰るんだと教えてくれました。普段大相撲を見ない自分としては、わざわざテレビを見に家に帰るものなのかと少し驚きました。

問題は宿でした。

宿は澤田さんが予約していたはずなのですが、宿の人からは予約が取れていないとのことでした。なんとか空き部屋に泊まることはできましたが、クーラーが効かないとのことで、9月の軽井沢はまだまだ暑く、扇風機だけではやはり蒸し暑い夜となりました。宿の人は割引価格で泊めてくれるので、結果オーライかなくらいに考えていましたが、荷解きが終わった二島さんが急に「いくら温厚な僕でもね、ちょっとこれは許せないね」と、言いました。何が二島さんの逆鱗に触れたのかは今でもよく分かりません。

「まあ、しょうがないじゃないか。割引にしてくれるっていうし、結果的に良かったよ」と僕や投野さんがなだめましたが、二島さんは止まらず、スマホを取り出して何やら操作しているようでした。何をしてるのか聞くと、「この宿のレビューを書いてる。こんなのはね、許せないよ」と、何がそこまで彼を駆り立てるのか分かりませんでしたが、とにかく彼は星1のレビューを書いて投稿しました。普通レビューというのは泊まった後に書くものだと思いますが、二島さんはストロングスタイルで、泊まっている最中に宿の評価を決めてしまいました。

(合評会の用意をする面々、暑そう。撮影はOLYMPUS TRIP 35。)

「宿をきちんと予約したはずなのに、クーラーの効いてない部屋に通されました。☆1」

二島さんは他にも色々書いていましたが、その後、宿の温泉に入っていると「温泉を含めたら星2位あげてもいいかな」なんて言ってました。

僕らは素泊まりのプランだったので、温泉に入った後、喫茶店で会ったおじさんたちに教えてもらったレストランに夕飯を食べにいきました。夕飯を食べている最中、投野さんがあっという声をあげました。どうしたんですかと僕が聞くと、投野さんが例の宿のレビュー画面を見せて言いました。

「これ、オーナーが返信してるんじゃない?」

確かに見てみると、低評価のレビューにオーナーらしき人物が皮肉たっぷりのコメントを返信していました。

「さっきの二島のレビューも見られてんじゃないか?」

「え?」と二島さんが目を点にして食べていた蕎麦を啜る手を止めてスマホを数秒間じっと見てました。

「どうしよう、なんかされないかな?」

と急に怖気付いた二島さん。そこに澤田さんが口を挟みました。

「というかさ、俺の名前で予約してるんだから、そういうの止めてよ。今度個人的に来たいと思ってるんだから、俺が書いたと思われたらやだよ。それに割引してくれるっていう話も無くなったらどうすんの?」

確かに。

そして、「澤田、財布置いてきたじゃん。オーナーが何してるか分かんないよ」とにやりと笑う投野さん。

「え?」と今度は澤田さんが目を点にしました。

「早くレビュー消しなよ」とみんなで言いましたが、二島さんは「いや、ここで折れたら負けだから」と言って譲りませんでした。何が負けかは分かんないですが、最終的に恐怖心が勝ったのか、二島さんはレビューを消しました。けれど、すでにオーナーが見ている可能性も捨て難いので、僕らは早々にレストランを後にしました。僕もパソコンを置いてきたのでちょっと心配になってきました。まさかそんなことはしないと思いますが。

(急いで宿に帰る一同)

無事に宿に着くと、宿の明かりは既に消えていて、オーナーも寝ているようでした。僕らは真っ先にバッグを確認しましたが、何か取られた形跡はありませんでした(当たり前ですが)。きちんと割引もしてくれて、無事に帰ることができました。今回の教訓としては、宿に泊まっているうちに、低評価レビューは書くもんじゃないということでした。

ちなみに2日目の宿は立岩荘というところで、目の前に東山魁夷の絵画のような美しい湖が広がると宿でした。食事も大変美味しかったので、この辺りで宿を探している方は、ぜひ泊まってみて下さい。


(立岩湖)
(途中で寄った軽井沢タリアセン)

文学フリマ東京

話は飛んで12/1(日)の文学フリマですが、既に多くの有識者の方たちが意見を交わしているので、今後の文フリ運営についてや、出版業界の変化について語る気はありません。ただ1ヶ月経って改めて振り返ると、やはり文フリはいい意味でも悪い意味でも加熱していくんだろうなと思います。大手出版社や、人気作家さんも参加しているとは言え、やはり素人の同人誌即売会に一万人以上の人間が訪れるというのは少し異常な気がします。ダフネだけに限って言えば、第3号が完売して、オンライン版や郵送での販売も好調でした(発行が間に合わなかっただけなのですが)。即売会ではありますが、オンライン版の配布は今後も続けていきたいと考えているところです。
ダフネは1冊500円、3冊セットで1000円という比較的低価格の販売でしたが、それでも知らない人の本を500円で買うというのは、なかなかハードルが高いと思います。500円があれば漱石や太宰の文庫版を読めますし、2000を超えるサークルの中からわざわざ無名の同人誌を買ってもらえたこと自体、大袈裟に言えば奇跡に近いんじゃないかと思います。購入していただいた方々、お立ち寄りいただいた方々、また他のサークルの方々、ありがとうございました。これからも一緒に頑張っていきましょう!
ダフネは来年の文学フリマ広島にも参加する予定なので、今後とも皆様よろしくお願い致します!

(文学フリマ東京にて。なぜか顔が汚れてしまっています)

おわりに

皆様、2024年は大変お世話になりました。ダフネも無事に3年目に突入いたします。メンバーがほぼ社会人となり、執筆ペースも遅くなるとは思いますが、ここが踏ん張りどころじゃないかと思います。最初はダフネは季刊の予定でしたが、このままだと年に2冊、最悪年刊ということになるかもしれません。発行ができなくても、オンライン版の発売や、noteなどがあるので、個人的にはそこまで紙媒体に拘らなくてもいいかなという気はしますが…

ともかく、皆様今年もありがとうございました。世の中はかつてないほど忙しなく、また正しいか間違っているかの二項対立が世の中を支配していますが、そんな中で文学や批評の役割がもう一度見直されていく、もしくは再構成されていくのではないかと、淡い期待を抱いている今日この頃です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。最後に俳句で締めとさせていただきます。

うつろわぬものを数えし大晦日

それでは皆さん2025年もよろしくお願いします!

(秋葉原で撮影した朝焼け。撮影はOLYMPUS TRIP 35)



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