ワシントン・ポー「ストーン・サークルの殺人」「ブラックサマーの殺人」
ミステリー小説というのは、本が売れなくなった昨今でもそれなりの需要がある分野らしいです。
特に翻訳小説になると、ミステリー以外のものが売れているのはあまり目にしないです。
経済書や歴史書(「文明崩壊」「銃・病原菌・鉄」とか「サピエンス全史」など)は売れていますね・・・・・例に挙げた本を私は読んでいませんが(^0^;)
最近では古典ミステリの新訳が流行でしょうか。
2010年前後まではシャーロック・ホームズのシリーズの新訳がいろいろな出版社から出されていましたが、その後はエラリー・クイーンが続き、今はエルキュール・ポアロも新訳が出始めています。
名探偵の代名詞的存在ですから、新しい読者を獲得するためにも、また読者からの要望も多いでしょうし、訳者も挑戦したい分野なのでしょう。
ナイル殺人事件の映画鑑賞を機に「ナイルに死す」を次に読むつもりでいたのですが、先日本屋で平積みされていた「ストーン・サークルの殺人」を手に取って読み出したら・・・・・・
実は評判のミステリーとして「自由研究には向かない殺人」を読み出したら、自分には中だるみ感が強く(いや、書評では高評価のミステリーなので私に合わなかっただけだと思います)、次に「そしてミランダを殺す」を購入しましたが、面白くても夢中になるほどではなく・・・・・
やはり「ミレニアム2」の続きを読むか、と思いながら手に取ってしまったのが「ストーン・サークル殺人事件」です。
ストーン・サークルというと・・・・・「ストーン・ヘンジ」と同じ?などと、常識も持ち合わせていませんでした。
ストーン・サークルは環状列石とも訳されるようで、時代も場所も多岐に渡り、日本にも存在するものです。
ストーン・ヘンジの方は明確な定義は良く分かりませんが、固有名詞のようで、ロンドンの西200km、ソールズベリーから北西13kmに位置する巨石遺跡群を指すようです。
物語の舞台はカンブリア州です。
ストーン・ヘンジがあるソールズベリー(ウィルトシャーの南部)は下図。
全然、場所が違います。
カンブリア州は湖水地方にあるらしく、ジェイン・オースティンの小説でも風光明媚な旅行先になっていた記憶・・・・・
主人公ワシントン・ポーは叩き上げの捜査官で、警察からNCA(国家犯罪対策庁=イギリス版FBIみたいな組織)に転出し、SCAS(重大犯罪分析課)に所属しています。
周囲との協調性が皆無で、地道な捜査は厭いませんが、上司の命令には聞く耳を持たず、忖度もなく突っ走るタイプ。
あと、けっしていじめを許さない。いじめには腕力を揮ってでもやり返してしまうという熱血漢な部分も持ち合わせています。
これだけだと「良くありがちな」と感じられますが、とびきりの相棒がいます。
それがティリー・ブラッドショーです。SCASの分析官なのですが、頭脳明晰でイギリスで1・2を争うIQの持ち主にして、コミュ障。社会常識を持ち合わせていないという点では文字にするとポーに近く感じますが、全く性質の異なる「おたく」にして「論理」と異なる社会的部分が欠落しています。
こんな風に書くと、「天才数学者の事件ファイル」とかクリミナルマインドのカーステンを思い浮かべるかも知れませんが、それとも違います。
・・・・・・おたくすぎて危ない奴、意思疎通の出来ないヤバイ奴、と言えば近いでしょうか?
このティリーの存在が物語を見たことないような興奮の展開に導いてくれます。
と言う訳で、二作目も購入。既に四作目までUKでは出版されているらしく、これからも楽しみです。
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