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テニスとデスメタル−二足のわらじ


彼の話は、ちょうど2年ほど前に友人のスポーツエージェントから話を聞いていました。


友人は、彼のメンタルトレーニングなどで関わりがあるらしく、日本のあるグループとのワークショップでも、デンマーク人とスポーツ、文化活動や社会との関わりについての考え方の一例として、彼の事例を紹介してくれました。


彼の名は、Mikael Torpegaardミケル・トーペゴー。1994年生まれの26歳で、今年は彼のキャリアにとって大きな節目を迎えています。
『トッププロテニスプレーヤー』と『デスメタルのリードシンガー&ギタリスト』として。

https://www.dr.dk/sporten/tennis/grand-slam-og-doedsmetal-26-aarig-danskers-liv-peaker-netop-nu?cid=newsletter_nb_sport_20210207112842&fbclid=IwAR3yaXwlWlE6QwFCwFSM4D1kFgnc-f-8FaoIq68Rft42Y1cTXBrXrJ0UJvw#!/](https://www.dr.dk/sporten/tennis/grand-slam-og-doedsmetal-26-aarig-danskers-liv-peaker-netop-nu?cid=newsletter_nb_sport_20210207112842#!/)


例年より3週間遅れでメルボルンにて2月8日から開催される、オーストラリアン・オープンに出場、世界ランク193位のミケルは、9日に緒戦で南アフリカのロイド・ハリス(世界ランク91位)と対戦します。これが、彼のプロテニスプレーヤのキャリアとしては初のグランドスラム大会出場となります。
そして、セミファイナルの行われる予定の2月19日には、ミケルがボーカルとギタリストを務めるメロディカルデスメタルバンド、Mardrömがデビューアルバム’Drawn to Delirium’をリリース。


両親、特にカントリーミュージック好きの父の影響を受けて早くから音楽を始めたミケルが、プロテニスプレーヤーになったのは24歳の時。平均的に見れば、遅いスタートですが、本人は自分の「リズム/テンポ」を大事にしています。グランドスラム大会も「一発屋」で終わる気は毛頭なく、コンスタントに出場しつつ、ツアーの合間に音楽をやっていくスタンスで、その点でも本拠地としている米国オハイオ州コロンバスはこれまでテニスをしながら学ぶ環境として、またこれから音楽をやっていく上でも良い環境だそう。


友人のスポーツエージェントの話を聞くと、多様性が育まれ、認められやすいデンマークにあっても、スポーツと芸術、どちらを選択するか、という岐路に立たされる才能あふれる若者はたくさんいます。その中で、テニスも音楽も、好きなことを両方追求し、上手くバランスを取りながら人生を謳歌するミケルのようなユニークな生き方も、デンマークの若い世代やアスリートにも良い影響を与えているようです。


日本にも、様々な分野での才能を上手くバランスをとりながら活かしている人も少しずつ出てきていますよね。ひとつのことに集中して取り組む方がいい人、いくつかのことを同時進行することでバランスが取れる人、人それぞれです。誰もが、自分に一番合った生き方を見つけられる世の中にどんどんなっていくといいですね。

文責:ニールセン北村朋子

このコラムはDANSKでの連載を修正・転記しています。

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