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体験談|私の病気を3年隠してくれた家族
西武断酒会 村中正義
私の実家は九州の大分の中津です。上京してから実家の九州と私が暮らしていた東京とでは遠く離れていたため、こちら側から電話して報告しない限り、両親には私がアルコール依存症であるという事実は伝わりませんでした。
私が33年勤めた会社を、酒が理由で辞めたとき、私の妻は私の実家に電話などをし、アルコール依存症であるということを報告しませんでした。ただ、私の妻の実家と私の実家が近かったこともあり、毎年一回は九州に帰省することになっていました。
勿論、その時私は帰省していません。
その理由は、私の親父が会社のOBだったというもので、したがって本当のことが言えなかったというわけです。また妻たちと帰省をした際には、妻の実家に一日は泊まり込んでるはず。当然、爺さん 婆さんから私のことを聞かているはず。しかしながら、私の家族は両親に、酒が問題で会社をクビになったことだけは言わなかったそうです。
理由は、私が両親に、自身の口から真実を言うまでは、家族は言わないと決めていたということです。
私の家族はどんな思いで、ほかの家族に嘘を言ってたのか
を考えると耐えきれません。
私が家族に自分の病気を明らかにしたのは、父が脳梗塞で倒れ、もう元には戻らなくなり、「亡くなるのを覚悟しててください」と言われた時です。
葬式になると、私が元の会社の社員ではない事実が明らかになってしまうと思い、死ぬ直前、お袋と弟に自分の病気と会社をクビになったことを報告しました。
そうしたところ、お袋に「お父さんは、お前がそんな病気になったのを知らないで、あの世に逝くのは幸せかもしれない」と言われました。
ただ、たまたまその時は、酒が止まっていた時でした。
だから、葬式は素面でやることが出来ました。
お袋が私の子どもたちに「悪かったね。本当につらい思いをさせて・・・。おかしいとは薄々思っていた」と私の家族に謝り、その時の状況などを聞いていました。
この時は、自分の中にあったもやもやがひとつなくなったと思いました。
しかし、この後、親父のこととお袋のことも考えずに、再飲酒をくり返してしまいました。
当時、職場の人から、ひとり3,000円のお金を「お返しなしで」といって受け取っていました。当然、それについてお返ししないわけには行かないと思っい、忘年会の頃に田舎から刺身セットを送ってもらったのでした。
それを「お返し」とし、弟に二万を渡して「忘年会の日時決定後に詳細を伝えるから、当日に届くよう、冷凍便で送ってほしい」と頼み、東京に帰りました。12月になり、日時が決まったので、弟にそれを伝え、送るように頼みました。当然、それまでは酒は止まっていました。
そして前日、荷物が届かないので、弟に電話しました。
ところが、わけもわからない理由で「送ってない」と言われてしまいました。
私は自分の計画がパーになると、頭が真っ白になり酒に手を出してしまうのでした。この時に分かったことです。
計画していたことが直前にキャンセルされると、どうして良いかわからなくなり、
「現実から目を背ける行為」=「酒を飲む」
ということをやってまうんだ、と気づいたのでした。