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55歳 バツ2男の「鱧」の思い出

今日は久々に太陽が顔を出してくれた

窓から見える木々達も太陽の日差しを浴びて

嬉しそうに輝いて見える

福も、乾いた地面を楽しそうに歩いていた


7月に入り夏がやってくる

夏が旬の、海の幸を考えてみる・・・
貝類ならば・・・サザエ、アワビ、岩ガキ

魚類ならば・・・スズキ、あじ、イサキ、鮎、鱧、キス、かれい・・・など


今は、もっぱらスーパーに行って鮮魚コーナーを見てまわるしかないのだが
並べている魚の鮮度、パックしてある刺身の盛り付けには
思わず厳しく見てしまう

もちろん、お店の人には、悟られることがないように
表情には出さずに心の中で・・・「いい魚、仕入れてるな」とか
「いまイチだな」とか思っている


私としては、これからの時期、旬として思い出されるのは
「鱧」かな・・・
あまり普通のスーパーにはお目にかかることは少ない食材なのかもしれない

専門的な魚屋さんには、並べているだろうか?

これからは脂がのって美味しくなる

私、個人的には旬だからと言って「鱧」を食べたい・・・とは思わない


ただ料理人として、この時期の「鱧」は主役級に活躍していたので
とても思い入れ深い魚なのだ・・・

「鱧」は、かなり獰猛な魚で
いけす から網ですくって捕まえようとするのだが、向かってきて
噛もうとしてくる、鱧の歯はめちゃくちゃに鋭い!!!
あんな歯に噛まれたりしたら、ひとたまりもない大けがだ

なので、先輩に「いけすから鱧をあげてこい!」といわれるとビビッていた
網ですくったら、まな板に乗せてまず真っ先に口を出刃包丁で叩ききる
ホントに叩き切るのだ!鋭い歯を排除してしまわないとすぐ攻撃してくる

口さえ落としてしまえば、もう安心だ神経を抜き、血抜きして
表面のぬめりを丹念にとり除いて、キレイにする
お腹のはらわたを出して、またキレイに洗い、開いていく

開くのも難しい、体が長いので目打ちをして固定する
出刃包丁を中骨に沿わせて、ウナギをさばく要領でしっぽの先まで
一気に割いていく、ウナギのように開く形にする
中骨を、すくように取りのぞいて、背びれも
キレイに取り除く
ここまでの一連のさばきを、ほんの何分でやってしまう


そしてここからが、有名な骨切りだ
鱧の骨切り・・・これこそ職人技
この技を習得するのに何年もかかる、
失敗し、怒鳴られながら、歯をくいしばり習得する
包丁も鱧切り専用の包丁とういモノがあり
結構 重たいのだ・・・

鱧は身に小骨がたくさんあり、この骨ごと身を、約3mmぐらいの厚みで
切っていく、そして切り落としてはいけない
皮1枚残して骨切りしていくのである
なので、包丁の重さが必要なのだ、包丁の重さを利用しつつ
わずかな、包丁さばきで皮1枚を残し身を骨切りしていく職人技


この職人技を取得した大変さと、喜びが・・・
今、尚 この季節になると思いだされてしまう

鱧の湯引き・・・骨切りした鱧を適当な大きさに切り、サっと湯に
通して氷水におとす、身がぎゅっと引き締り
ふわっとした身の舌ざわりと、皮の歯ごたえが合いまって、
たまらない、梅肉をつけて食べると
梅の香りと、さわやかさが、鱧の身の脂の美味しさをより引き立ててくれる

鱧のお吸い物・・・骨切りした鱧を適当な大きさにきり
骨切りした身を1枚1枚、ていねいに片栗粉を付けて
湯の中に入れてゆっくり火を通す
皮が丸まりキレイな牡丹の花のように身がひろがる
片栗粉の滑らかさが鱧の美味しさを閉じ込めて
ツルっとした触感と共にとけていく、
これまた絶品!!!

まだまだ鱧の料理はあるが、今日はこのくらいで・・・


ほんと鱧はコワかった、水中から飛び上がって噛もうとしてくる
 にょろにょろ泳いで捕まえにくいし・・・
  「何しとるんじゃ!早よう捕まえてもってこんかい!」って
    よく怒られた~


福~怒っても、鱧みたいに噛みつかンでな!
  仲良くしような・・・




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