見出し画像

#25 公共施設マネジメントにおいて大事なコトvol.2(内製化によるチーム力アップ)

前回に引き続き、僕が行政マンとして公共施設マネジメントやFM(ファシリティマネジメント)に取り組む時に重要だと考えていることについてのシリーズ物のvol.2。

前の記事では、「現場を知っているという強み」について書いたが、今回はアウトソーシングによって業務を効率化して・・・みたいな昨今の行政トレンドの流れとは真逆の「内製化によるチーム力アップ」について。

一見、自分たちで業務を抱え込むのはまどろっこしい方法だし、時間も確かにかかるのだが、それ以上リターンが望めるのが業務の内製化だと僕は常々感じているので、vol.2となる今回はそんなことについて書いていきたい。

vol.1となる前回の記事も併せてどうぞ。


何を内製化しているのか?

僕の仕事の中心は公共施設マネジメントやファシリティマネジメントであるということはvol.1でも書いたが、こういった分野においては各種計画(公共施設等総合管理計画や長寿命化個別計画など)の作成をコンサルに外注することが一般的だ。

また、僕らは公共施設の利活用にも力を入れていて、PFI法に基づくコンセッション方式による施設もすでに2件が稼働中なのだが、こういったPFI事業においては、大多数の自治体が十中八九コンサルに外注し、基本方針や募集要項の作成、ひいては審査基準を整えたり審査委員会の事務までもコンサルに委託することが常識となっている

一方で僕たちはというと・・・
僕は今の部署に10年近く在籍しているのだが、未だにこの分野において僕ら(財産活用課)はアウトソースを一度もしたことがないというコンサルDTである(笑)

自分たちで企画を立て、現場を回り、必要な情報を集め、活字や図表や図面に落とし込み、自分たちの言葉で関係者に説明し、そして実行に移していくという作業を全て自分たちの手で行っている。

もちろん、工事とか修繕、設計とか工事監理、遊休不動産の測量などは外部に発注して行っているが、いわゆるコンサルと呼ばれる人たちと発注者・受注者の関係でお付き合いしたことはない(笑)
(その関係以外で接することは多いが・・・)

現在もいくつかのプロジェクトが動いていたり、今季は公共施設に関する大きな方針を策定しようとしているが、それらの作業についても地道に自前で行っているところだ。

なぜ内製化が重要なのか?

僕は様々なプロジェクトを動かしたり、各種計画を作っていく時に、初動機としてまずは色んな情報や資料を大量にインプットしていく。
これはほとんど人も行っている行動だと推測する。

ここから次のステップとして、それを自分の頭の中でいったん定着させ、情報を正確に取捨選択し、自分のプロジェクトへの置き換えの仮説を立て、再編集というプロセスを経て、最終的なアウトプットという作業に移行していく。

業務の内製化というのは、このインプットとアウトプットの組み合わせなのだが、インプット以上に、アウトプットの行動こそが自身の経験や成長にとって、最も重要なプロセスであり、それは見えざる資産(インビジブルアセット)として蓄積されるということに大きな意味があると考えている。

いったん、見えざる資産として蓄積されれば、次からはそれを自在に引き出すことができるからだ。
また、見えざる資産を次のプロジェクトに活かすことで、それは複利となってさらに増やしていくこともできる。

一見、業務のアウトソースは効率的なように見えて、こういった成長のプロセスを自ら放棄していると言い換えることもできる。

人材リソースがどうしても避けない時に、アウトソースすることはもちろん役に立つし、タイムパフォーマンスの向上に特化した業務の切り出しならともかく、自身の成長を放棄するような外注は、単なる消費になる危険性を大いにはらんでいる。

見えざる資産の蓄積、これこそが内製化の最も大きな効果である。

内製化はチームに何をもたらすのか?

さて、業務やプロジェクトはもちろん一人で完遂できる訳ではないので、これをチームメンバーと一緒に進めていけば、この見えざる資産はチームにも分配できる

僕は立場上(一応課長という職責なのでw)、プロジェクトマネージャーとして動くことが大半なのだが、関わるメンバーそれぞれの役割を気にしながらプロジェクト管理を行っている。

内製化の際に注意すべき点は、アウトプットする人とそれをチェックする人という構図をできるだけ作らないという体制だ。

ここが実に悩ましい点で、アウトプットがどうしても一人のメンバーに偏りがちになるが、そこを上手にメンバー間でシェアすることで、自ずとチーム力全体が高まり、メンバーそれぞれがプロ人材に近づいていくというスパイラルが生まれてくる。
メンバーそれぞれの得意なポイントを探し、チーム全体(といっても数人)でプロジェクトを進行していくのが理想だと考えている。
本来ならそれに加えて、メンバーそれぞれに自己投資が生まれると、組織としては最強なのだが、内製化によるOJTでも十分戦える集団になると感じているところだ。

ほんとは全部自分でアウトプットしたくなる衝動をグッと我慢してね(笑)

敵前逃亡というか、外注を繰り返すとどうなるか?

他の自治体に赴くと、よく「ウチにはそんな専門的なノウハウがない」とか、PFIは「難しいから自分たちでできるはずがない」とか、「日々の仕事(ほとんどそれは単なる作業だが・・・)が忙しい」とか言って、コンサルへの外注行為が常態化していることを目にすることも多い。

成長を自ら止め、東京など域外へ大事なお金を流出させた挙句、その結果が税金の無駄遣いみたいなことになったら泣くに泣けないよね。

そういった意味でも、岡崎さんのnote記事は本当に刺さる。

木下さんのnote記事はさらにトドメを刺す?(笑)

お二人の記事ではないが、コンサルと対等に渡り合える知識を持ち、ちゃんとしたインプットを怠ることなく、自己投資や教育にも励みという下地があってならともかく・・・
仕事に対する「覚悟」や「想い」もないまま、コンサルにアウトソースすれば・・・
ケンシロウではないが、おのずと結果は見えている。

ということで内製化をテーマにしたvol.2はここまで。

vol.3では、また別の大事なコトを書こうと思うので次回もお楽しみに。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集