家の中にあかりを灯してくれた運命の子!愛犬との出会いを深掘りして聞いてみた
「みなさんと家族になることが、もうわかっているみたいですよ」
ほんの数日前に初めて抱かせてもらったときは、クールな塩対応。しかし後日、満を持して家族全員で迎えに行ったときには、すべてを理解したかのように身を預けてくれたワンちゃん。
店員さんの「もうわかっているみたい」の言葉に、「この子も自分たちを待っていてくれたんだ」と思わずにはいられなかったそうです。
今ではかけがえのない存在となった愛犬について、飼い主のノアさんにお話をうかがいました。
■犬を飼い始めた経緯と名前の由来
(1)イラストのモデルはスムースコートチワワの男の子
「え? この子、チワワなんですか?」
大変失礼ながら、イラストのイメージからほかの犬種だと思っていた私。思わず大きな声で聞き返してしまいました。
「チワワに見えないですよね。娘がかなり美化してくれたんです」
ノアさんはSNSや電子書籍など、さまざまな媒体上で、娘さんが描いた愛犬のイラストを使用しています。振り向いたポーズはノアさんのリクエスト。
こちらを見つめる瞳がなんとも愛らしく、ワンちゃんへの深い愛情を感じます。
(2)ペットを飼おうと思ったのは「家にあかりがほしかったから」
ノアさんは、ご主人、娘さん、息子さんとの4人家族。
かつてお子さん2人ともが不登校で、ノアさんご自身も精神的に落ちてしまっており、家の中の雰囲気が暗かったそうです。
「ペットを飼えば家の中が明るくなるかも、と思いました」
ノアさんは最初、飼うなら猫だと考えていました。以前、実家にいたペットは、猫と屋外に小屋のある中型犬。猫は最大で7匹もいたことがあったそうです。
「まるで猫屋敷みたいでした。犬も好きなのですが、家の中で飼ったことがなくて、お迎えするなら猫だと。散歩も必要ありませんしね」
ところが退職して家にいるようになると、散歩問題もなくなり「犬でもいいのかも」と考えるようになります。さらに、ほかの家族は3人とも犬を希望。
こうしてノアさん一家が新しい家族として迎え入れるのは「犬」に決まったのでした。
(3)その名も「ノア」ちゃん!
ワンちゃんにつける名前は、当初はお子さんに決めてもらおうと思っていたそうです。しかし、娘さんと息子さんとで意見が割れ、どちらも譲らず決まりませんでした。
このままでは埒(らち)が明かないと思ったノアさんは、お名前サイトを見てみることに。そこで見つけたのが「ノア」でした。
「ビビッときました。私たち家族を救ってくれる『ノアの方舟』のイメージが浮かんだんです。家族も全員、賛成してくれました」
ここから先は、お話をうかがったご本人を「ノアさん」、ワンちゃんを「ノアちゃん」と呼ばせていただきます。
■家族になるべくして出会った運命の子
(1)家族それぞれをひきつけた子犬
「ほかの子は生後2~3か月ぐらいだったでしょうか。でもあの子は9か月だったんです」
ノアちゃんがいたお店は、ノアさん家族が普段からよく通る場所にありました。
お子さんたちは、通るたびに「あの子、まだいるんだ」と気にしていたそう。そして何度も目にするうちに「あの子、可愛いな」という感情が芽生え始めます。
やがて「犬を飼う」と家族で決め、全員でお店へ行ったときのこと。ノアさんは最初に目の合った、ひときわ大きな子犬に一目ぼれ。
「周りには小さくてかわいい子たちがいっぱいいたんですけど、目が合った瞬間から、私はその子しか目に入りませんでした」
その子犬は、以前からお子さんたちも気にしていた「あの子」だったのです。
(2)ペットを飼うことへの本気度を家族で確認
お店で初めての触れ合いタイム、ノアちゃんが喜んで飛びついていったのは、運命に引き寄せられたノアさんたち……ではなく、大好きななじみの店員さん。
ノアさんたちが抱こうとすると、嫌がりはしなかったものの、店員さんに対する態度とはまったく違っていたそうです。
「でも、そのツンデレがまた可愛くて」
絶対この子しかいないと思ったノアさんたちでしたが、その場で即決はしませんでした。一度家に帰り、高鳴った胸を落ち着けてから、家族で最終確認する時間を設けたのです。
「もう全員の心は決まっていたんですけどね。それでも、ペットを迎えるということは命に責任を持つことなので、勢いで決めてはいけないと思いました」
家族会議の結果は、満場一致で「あの子を我が家に迎える」。
再びペットショップへ向かったのは翌日でした。
「せっかく家族で決めたのに、他の家の子になってしまったら悲しい。そこは勢いで行動しました」
(3)ノアちゃんがついに家族の一員に
「この子がここに長くいたのは、みなさんと家族になるためだったんでしょうね」
店員さんはそういって、ノアちゃんの新しい家族を歓迎してくれました。
ただし、ここでもすぐ連れて帰ったわけではありません。早く我が家に迎えたい気持ちをグッとこらえ「愛犬とともに暮らすための家」を整えるため、一週間ほどお店で預かってもらうことにしたのです。
準備は家族総出でおこない、子犬を迎えるさらなる覚悟が自然とできていきました。
初めての抱っこでは塩対応だったノアちゃんですが、正式にお迎えに行った日は違っていました。「僕を連れて帰ってくれるんだよね」とでも言わんばかりに、スッとキャリーに入ってくれたそう。
「家に着いたとたん部屋の中を走り回り、あちこちに粗相をしまくって。すごい興奮ぶりでした」
暗かったノアさんたちの家に、パッとあかりが灯った瞬間でした。
■ノアちゃんにとっても居心地のよい場所
(1)個性を理解してくれる家族
ノアちゃんは、ほかの犬や家族以外の人に対する警戒心が強い子なのだそう。
「散歩をしていると、犬同士が仲良くじゃれ合い、飼い主さんたちも立ち止まって話をしている光景を見かけます。でもうちの子はよその犬と一緒にいるのを嫌がるので、私たちは挨拶程度で素通りするようにしています」
散歩は家族で分担し、朝がご主人、夕方がノアさんと娘さんの担当。息子さんは、気が向いたらついてきてくれるとのことです。
お子さんたちの不登校も含め、家族それぞれの考え方にじっくり向き合ってきたノアさんたち。ノアちゃんのことも「どうしてこの子はこんな性格なの?」と悩んだり、周りに無理に慣れさせようとしたりはしませんでした。
「家族みんな『この子はこういう子なんだな』と、ごく自然に受け入れています。大勢でワイワイするのが苦手なうちの子たちと、相通ずるところがあるのかもしれません」
(2)いざというときの「もうひとつの場所」
最後にひとつ、聞いてみたいことがありました。やむを得ず遠出するときはどうするか、です。
答えは「ペットホテルに預けます」でした。
そのペットホテルがあるのは、ノアちゃんが以前いたペットショップ。動物病院も併設されており、安心してお任せできるとのことです。
そして何より、ノアちゃんは店員さんのことが大好き。
「前に連れて行ったときも大喜びで。あの子にとっては、実家に帰るようなものなのかもしれません」
ほかの子犬に比べ、長い期間ペットショップにいたノアちゃん。その分、店員さんとの絆も深いようです。
今回、私のクロスステッチの図案として、ノアちゃんのイラストを提供いただいたご縁で、ノアさんに愛犬をたくさん語っていただきました。
ご家族と愛犬とのエピソードは、X(旧Twitter)でも綴られています。
ノアさんのお子さんたちとともに成長してきたノアちゃんは、現在7歳。
まだまだこれからも、ノアさんたちを明るく照らし続けてくれることでしょう。