トレーナーで生きていく ・ 独立編 vol.52
第52話「時間対効果。」
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リョウ「ユウタくん、レッスンの時間対効果ってわかる?」
ユウタ「費用対効果とかそんな感じですか?」
リョウ「費用やない時間や。お客様が良い時間を過ごせたと思えたら時間対効果は高い言う事になる。」
ユウタ「うーん、費用対効果と何が違うんですか?」
リョウ「パーソナルトレーニングみたいなサービスを買う人はな、費用より時間の方が大事な人が多いんや。」
ユウタ「??」
リョウ「例えばな、オレが仮にユウタくんと他人やったとしてさっきのレッスンを受けたら『金はいらんから中断してくれ、後は自分でやる。』ってなってるわ。」
ユウタ「う、、、。。」
リョウ「ハハハ、まーそれは冗談でトレーナーに悪いから最後まで受けるけどな。腹の中ではそうしてもらいたいと思っとるんよ。」
ユウタ「。。どうしたら良くなりますかね?」
リョウ「まずはレッスンの『熱』や。内容が素人でもトレーナーの情熱が高ければ時間対効果は高い。」
ユウタ「オレは低かったですか?」
リョウ「テンションは低くない。声も出とった。せやけども流れ作業感が伝わったんよ。誰にでも同じ事やっとるんやなぁって思われる。」
ユウタ「。。」
リョウ「そうなってくると、トレーナーの声がいくらデカくてもお客様のやる気は冷めてくるやろ。」
ユウタ「。。」
リョウ「だからまずは『熱』や。お客様の目標は自分の目標。お客様の倍は真剣に取り組まんとあかんねん。」
ユウタ「はい。」
リョウ「で、それができたら今度は具体的なインストラクションテクニックや。これが有るのと無いのとでは時間対効果が全然違う。」
ユウタ「え、オレのレッスンはなかったですか?」
リョウ「皆無やった。ドヤ顔で数しか数えとらん。」
ユウタ「ん。。」
リョウ「ハハハ、いやコレはホンマやで。」
リョウ「インストラクションのテクニックはスタジオレッスンの研修なんかで習った事あるんやないかな。それをパーソナルトレーニングに応用するだけや。」
ユウタ「はぁ。」
リョウ「例えば腕立て伏せを30回やるんやったら、その中で『呼吸』『安全確認』『フォームチェック』『効果の確認』『強度の調整』『励まし』『賞賛』といくらでもあるよな。」
ユウタ「え、オレ言ってなかったですか?」
リョウ「おお、ドヤ顔でカズ数えて、終わったら『オッケーでーす』しか言うとらん。」
ユウタ「う、いつもはもう少し言ってるんですけどね。。」
リョウ「なら良いけども。まー、同じ人に毎回同じ事を言うのもアレやけど、トレーニング初心者のお客様にはなるべく細かく言わんとな。」
ユウタ「そうすね。。」
リョウ「こんなもんは練習すれば誰でも上手くなる。意識してレッスンするかせんかだけでトレーナーの時間対効果にそれなりの差は出ると思うんよ。」
ユウタ「はい、でも、うーん、インストラクションが苦手でも人気のトレーナーは沢山いますよね。」
リョウ「おお、おるよ。せやけどだからと言ってインストラクションができんで良いわけやないぞ。そういうトレーナーはインストラクションが苦手でも信用される経歴やら知識やらがあるから人気があるねん。」
ユウタ「うーん、でも雰囲気って言うか世界観って言うかトレーナーのキャラクターで指導しても間違いじゃないですよね。」
リョウ「そうやな、それでお客様が沢山ついてくれるんやったらソレも悪くはないと思うよ。渋いキャラで爽やかにインストラクションされたら変やしな。」
ユウタ「でしょ。」
リョウ「せやけど、ソレでもインストラクションの基本は抑えといた方がええ。パーソナルトレーニングは時間が決まっとるサービスや。時間対効果を上げたい時は必ず役に立つ技術やから。」
ユウタ「はい。」
リョウ「。。。」
リョウ「。。ユウタくんがイケメンやったらインストラクション苦手でも関係ないんやろうけどな。。。」
ユウタ「おい、どういう意味だ?」
リョウ「いてて、ハハハ、うそやて。。」
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