「話しを聞いているとき」に経験も肩書きも必要ない
今日と明日は、市役所と企業さんのマナー研修を担当させていただきます。
クレーム対応も取り入れてほしいとご依頼をいただいています。
私は前職で、毎日クレーム対応に明け暮れていました。クレームがなかった日は一日もなく、一日中、お客様の、着かない、間違えている、壊れている、足りないに対応していました。
独立して、この仕事を行うようになってからは、クレーム対応をはじめ、企業さんや個人の、困りごとに対応すべく、調査、研修、現場改善指導を行っています。
前職では、8年間で28000件を超えるクレームやトラブルに対応していました。しかし、円満解決したケースは4割にも達していません。
やってはいけないことを、数多く行って、何気ないやり取りがクレームに発展したり、悪化させてしまいました。
だからこそ、対応に必要なことは何かを痛感しています。
クレームやトラブル対応では、普段の聞き方が問われます。
昔も今も、まず相手の話をしっかり聴いて、クールダウンしてもらうことと、内容の理解に努めることが大事です。普段、人の話をどのように聴いているかが、イレギュラーな場面に特に表れます。
カウンセリング、コーチング、コンサルティングは、聴くことが特に問われる仕事です。いわば「聞くプロ」です。
でも、スキルを駆使しているだけ、答えを持って聞いて誘導したり、バッサリ斬り捨てている場合も少なくありません。
話している人には、スキルではなく聞き手のスタンスが見透かされています。そこに、立場や肩書き、これまでの経験から得た知見は、必要ありません。
内容を深掘りしたり、繰り返したりすることは大切ですが、それは、話し手が求めている深掘りや繰り返しなのか、不審に思うことがあります。
気持ちに寄り添うことは大切ですが、事実をしっかり把握しないと、どういう気持ちなのかがわかりません。
経験上、大切なポイントがわかっていても、相手が自分と同じ経験をしてきたわけでなく、立場ややっていることは異なります。
背景や取り組んでいることを理解しないまま、「〇〇がないと〇〇できない」というのは、大切なことを伝えているのではなく、決めつけに等しいです。
これらに共通しているのは、「理解してあげているつもり」になっているということ。
経験や立場から、スキルはこうで、目指す方向はこちら、ということにとらわれて、目の前の相手にしっかり向き合うことや、どのようなことも、関心を示して受け止めようというスタンスから外れているからそうなってしまうのだと考えます。
私がいつも大切にしているのは、
「わからないから教えてもらおう」ということ。
目の前の人の話を聞くのに、職業も肩書きも、経験も立場も必要ありません。それらを脇に置いて、相手に関心を寄せて一緒にいることが、理解につながるのだと思っています。
理解するには時間が必要ですが、たとえ時間が限られていても、このスタンスは大切にしたいと思っています。
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