【疑問】ケトジェニックダイエットとは?ケトン体の検査で注意すべきこと
今回は皆さんも聞きなじみのあるかもしれない、『ケトン体』についての記事です。
この記事を読んでくださっている多くの方々が『ケトン体』という言葉を耳にしたことがあるのは、おそらく巷で流行しているケトジェニックダイエットの影響でしょう。
医学生や研修医にとっての『ケトン体』といえば、臨床上はDKAの検査の際に登場することが多いですね。
みなさんはこのケトン体について深く学んだことがあるでしょうか?
1.そもそもケトン体とは?
ケトン体=β酸化!
ケトン体とは脂肪がβ酸化によって分解される時にできる副産物のことです。
エネルギー産生に1番に利用したい糖が不足していて、脂肪の力も借りたい時に生成されます。
ちなみにケトン体にはアセト酢酸とβ-ヒドロキシ酪酸、アセトンの3種類があります。
75%はβ-ヒドロキシ酪酸であり、アセトンは中性であるためアシドーシスに関与しておりません。
豆知識ですが、DKAで甘い口臭がするのはアセトンの匂いだそうです。
2.ケトジェニックダイエットの原理
【ケトン体を生成する状況】
1型DM、高脂肪食、絶食、運動後
ケトン体を生成する代表的な状況は上記の通り。
最近流行しているケトジェニックダイエットの機序としては、
『炭水化物を摂取しないことで強制的に脂肪からエネルギーを生成させる(β酸化させる)』というものです。
こうすることで体内の脂肪をエネルギーとして燃焼させるのでした。
ちなみに、体内が今現在炭水化物でなくケトン体を生成していると評価するために、
医療従事者にはおなじみのテステープ(尿検査試験紙)を用います。
こうすることで体内からケトン体が生成されていることがわかるのです。
3.DKAの尿検査で注意するべきこと
DKAの診察で慣れていない際に注意しなければならないことは、
尿検査でケトン体が陰性だからと言ってDKAは否定的と除外してはならないことです。
DKAで産生されるケトン体は主にβ−ヒドロキシ酢酸でありますが、
尿定性検査(ニトロプルシド法)では反応しないため、
偽陰性となることが少なくないです。
ケトン体の評価は動脈血液ガスのAGなども併せて総合的な評価が必要となります。
ちなみに、β−ヒドロキシ酢酸を直接計測する検査も最近はありこれはとても便利です。
※β−ヒドロキシ酢酸が高値かどうかは以下が基準となります
serum betaOHB levels > or = 3.0 and > or = 3.8 mmol/l in children and adults
※DKAについて詳しく知りたい方はコチラ👇
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
これを機に今後尿検査でケトン体を見るときは、3種類すべてを見られていないんだという事を自覚したうえで検査結果を評価するといいですね。
ちなみにですが、生理学的にとても理にかなったケトジェニックダイエットですが、倦怠感や吐き気、イライラ感といったケトフル(糖分禁断症状)が合併症で出現してしまうので注意しましょう。
対処法としてはたくさんの水分を摂取することと、豊富なミネラルを摂取することだそうです。
【引用文献】
Diabetes Care. 2008 Apr;31(4):643-7. doi: 10.2337/dc07-1683. Epub 2008 Jan 9.
Can serum beta-hydroxybutyrate be used to diagnose diabetic ketoacidosis?
Sheikh-Ali M他
※医学ノート・ゆるっとクルズスについて参考にしてくださる皆様への注意事項はこちら👇
https://dancing-doctor.com/medical-note/
この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は
今後も定期的に記事を更新していきますので
noteのフォローに加えて、
公式LINE登録👇
https://line.me/R/ti/p/%40339dxpov
★ブログページのチェック👇
よろしくお願いいたします。
みなさまのリアクションが今後の記事を書くモチベーションになります!