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また嵐が来た
陽ざしは脆く優しく、風は涼しく、空は発光して目も染まりそうな青さで、チェンマイは心地よい冬を迎えました。
更にここ数日の月は厳かなほどの美しさで、月の光で夜の庭は木も石も動き出しそうな不思議な生気を放つようです。
町にも、バンコクなどからの観光客が増え、「これなら、海外からの観光客はいなくて大丈夫」と、冗談を言う人が出てくるくらい、ずいぶん賑わいが戻ってきました。
そんな中、週末にほぼ半年ぶりにCOVID-19の感染者が二人見つかりました。
出稼ぎでミャンマーへ密入国し、タイへまたこっそり戻り、14日間の隔離検疫をせずにいて、旅行で来たチェンマイで体調を崩し病院に行ったのが発覚のきっかけだったといいます。
関係機関の調査では、接触者は326人、うちリスクのある接触者は105人。たった二人でこれですから、小さな地方都市であるチェンマイではかなりのショックです。
久しぶりの明るい町の雰囲気を一変させる出来事に、SNSには、二人の短慮への厳しい言葉がある一方で、タイの経済の海外からの観光客への依存の大きさを見直すべきという声などが飛び交っています。
何にせよ、COVID-19によって仕事を奪われ、仕事を求めて隣国へ無理な方法で行き、COVID-19に感染してしまう。その原因と結果はあまりの皮肉です。
そして、森を抜けて、ブローカーにお金を払い、河を渡って国境を越える人たちは、日本で進退極まっている職業研修生の人たちと、どうにも重なってしまいます。
なんだか、これまでの世の中のあまりに極端になったり、均質にしてしまいすぎたことで生じた負荷が、ウィルスの嵐によって洗い出されているようなそんな気がしてならないよ。
もしかして、それぞれがこれまでと違う社会のありようを考えて振る舞うようになるまでは、この嵐は去らないのではないのだろうか?月を見上げながら、そんなことを思っています。