本を読みながらうたた寝。遠くで雷鳴がして、ああ、雨が来るなと思っていると、大きな生き物が歩いてくるように雨音が徐々に近づいて来た。 そして本当に久しぶりに天の底が抜けてしまったような、ざあざあより、どうどうの方が相応しいような大変な音と水が降り出した。 おかげで、道はあっという間に冠水し、頭上ではこれも、大きな動物が喉を鳴らしたり、飛び跳ねて遊んでいるようなくぐもった雷鳴が続き、ノイズと水の振動と微弱な静電気のドームに包まれてしまった。 実は、こういう、ノイズと静電気の
今年は、行政の頑張りのおかげか(山火事の消火や予防、煙害最大の原因であるトウモロコシ殻を焼く代わりに牛の飼料や肥料にする農業指導と実践など、色々努力してくれています)、またそれをお天気が助けているのか、去年ならすでに深刻になりつつあった煙害は、悪化せず、青空が見え、光が美しいお天気が続いています。 昨日もそんな一日でしたが、アトリエからの帰り道にはこんな光景が。 淡い金色の西陽の中の牛さん一家。静かで清らかで気高い姿です。アトリエのあるチェンマイの郊外も少しずつ住宅地がで
先月の半ば、郊外で一面に広がる稲穂の向こう、小島のようにこんもりとある村の上すれすれに、これから盛り上がってくるように虹が現れたのを見つけ、その時のあたりの空の高さや雲の儚さ、風の涼しさに、これでいよいよ雨季も終わりが近づいたのだと思ったものでした。 実際、気象局は例年より二週間遅れ、10月下旬に雨季が明けると当初は予測し、虹を見た頃には、そろそろ雨季明けするだろう、これでいよいよ気持ちの良い寒季がきますね!楽しみですね!と、あちらこちらで報道されていたのです。 ところが
ラーフはインドの神話に登場するアスラ族の魔神で、日本では羅睺と呼ばれて古い天文学では悪しき星となっていますが、仏教到来以前にバラモン教の影響を受けていたタイではプラ・ラーフと呼ばれ、なぜかお寺の装飾には必ず入っていますし、悪神ながら、なんと水曜日生まれの守護神でもあり、捧げ物をして祈れば厄災を払い幸運ももたらしてくれるとされています。 災いをもたらされるのはもちろん嫌ですが、結構現世利益も大事にするちゃっかり精神も持ち合わせたタイの人たちのことです。真っ黒な肌の上半身を雲か
熱帯と言っても亜熱帯。気候はサバナ気候に分類されるチェンマイ。一年中湿気とスコールに包まれているわけではなく、仏教の世界観に即した分け方で季節は暑季・雨季・寒季の三つに分かれています。 今はちょうど、冬にあたる寒季(ルドゥ・ナーウ)から暑く乾いた暑季(ルドゥ・ローン)へと移る境目の時期。気象庁からは、今年は2月下旬に寒季(冬)は終わり、暑季(夏)を迎えるでしょうという予報が出ました。 今年はキリが良く2月1日が立春の始まりでしたが、寒さが半ばまで続きました。太陽は高度を上
今日は節分。二十四節気 大寒の末候、1月30日にはじまった「鶏始乳」である「にわとりはじめてとやにつく」も今日2月3日でおしまい。つまりは、明日から新たに立春を迎え、季節は春となります。 そんな季節のあるいは、旧暦の新年という節目を迎え、チェンマイは1月31日の夜には、以前よりは控えめとはいえ、それでも賑やかな爆竹と花火が鳴って春節を迎えましたが、でも大寒もいよいよ大詰めなのですよ?とでも言うように、朝の気温は更に下がって9度、8.5度とこの寒季になって初めて10度を割り込
大寒は次候。七十一候「水沢腹堅」、「さわみずこおりつめる」に移りました。期間は 1月25日から1月29日。いよいよ寒さの底となって流れる沢の水さえも氷となるという意味だそうです。 ラニーニャの影響なのか、長野県の諏訪湖でも数年ぶりに全面結氷し、御神渡りも期待され(残念ながら実際にはすんでのところで難しいそう)、分厚くなった氷が湖岸へせり上がったりしているとか。なんだかJ.G.バラードの結晶世界みたいで、見てみたいところです。 そんな厳寒に暮らす人たちからみたら、生ぬるいで
二十四節気は大寒。第七十二候のひとめぐりもあと少し。 第七十候「款冬華」 、「ふきのはなさく」までやってきました。期間は 1月20日から今日1月24日までですが、入道雲まで出てしばらくやけに気温が高い日がつづいていたチェンマイでも、ちょうど20日頃からにふたたび朝の気温がぐっと冷え込むようになり、三寒四温、あるいは大寒らしいお天気となっています。 昨日は郊外の村では久しぶりに霜が見られ、今朝は町の中の我が家でも13度まで気温が下がり、外で最初は機嫌良く遊んでいた白いふわふわ
小寒も末候、第六十九候「雉始雊」。「きじはじめてなく」になりました。期間は 1月15日~1月19日。明日でおしまいです。 日本での雉が妻を求めて鳴くのに思い出すのは、数年前、義父が亡くなった時のことです。 雪国の遅い桜が咲く頃だったので、暦よりは少し後のことですが、義父が亡くなった翌日、家の庭に見事な雄の雉が迷い込んで鳴いていたのです。 山歩きが好きだった義父ですから、雉の姿を借りて家族に挨拶に来たのではないかと、親族一同言い合ったのですが、翌日にはなんと雌の雉とやってき
チェンマイも年明けのcovid-19の急激な感染拡大があり、そのあれこれでお正月も小正月もそれらしい気持ちは希薄にあっという間に日は過ぎてきてしまいました。少し日が過ぎてしまいましたが、小寒の第六十八候は、「水泉動」。「しみずあたたかをふくむ。」 期間は1月10日~1月14日。 土中で凍っていた泉が溶けて水が湧き、流れ始める頃。微かに春へと目覚めていくものごとがおちこちに現れはじめる、そんな頃だということでしょうか。 日本では、寒さの底の中にも春の気配を察知する頃でしょうが
二十四節気は冬至から小寒へ。寒の入りを迎えて日本は冬本番でしょうか。NHKの海外放送で見る日本の大雪や寒波は、まさしくそんな季節そのものです。 けれど七十二候には、冬至から少し春の気配が感じられ、第六十七候(1月5日から1月9日)も、芹乃栄 、せりすなわちさかう。冷たい水の中でも繁茂し始めた芹の青々とした様子です。 チェンマイでは、芹も残念ながら夢のまた夢ですが、香り高いハーブは日本に負けずたっぷりある国。七日には、七草に拘らずお気に入りの香草やスパイスを浮かべたお粥をいた
七十二候は冬至の末候。雪下出麦 。ゆきわたりてむぎのびるです。 期間は12月31日から1月4日。旧暦ではまだ新年を迎えていませんが、年を越える候でした。 意味は、積もった雪の下で、麦が芽を出す頃という意味だそうです。 お隣の国、ミャンマーだと、チェンマイよりもう少し北寄りのカチン州の山岳地帯などでは雪が降り、雪化粧した金のパゴダや高床式の家の美しい光景が見られるそうですが、ここでは残念ながら。。。 良くて標高の高い地域での霜が精一杯です。 とはいえ、こちらも冬。 そして2
大掃除や仕事納めのあれこれをし、なんとか山を越えてほっとしている間にクリスマス、そして気づけば大晦日目前になっていた!第六十五候の麋角解「さわしかのつのおつる」の期間、 12月26日から30日は、あっという間に過ぎていました。朝は結構冷え込むものの、なんだか元気に過ごせたのは、この忙しさで日々メリハリと緊張感があったせいかもしれません。 さて、五十六候の意味は、雄の鹿の角が落ちる頃という意味ですが、チェンマイでは、「鹿の耳(タイ名 フー・クワーン、和名 モモタマナ)」という
二十四節気は、いよいよ冬至に。七十二候は、冬至の初候、六十四候「乃東生 (なつかれくさしょうず)」となりました。期間は 12月21日から25日。冬至と夏至が太陽のあるピークの一対であるように、七十二候においても、夏至の初候は「乃東枯」と、六十四候「乃東生」は相補関係になっています。 そして、今日22日は日本では冬至です。ただ、21日を冬至とする地域もあるようです。タイでもそうです。調べてみると、21日も22日も夜の長さは同じなのです。日の出は、6時52分。日没は、 17時5
今日で大雪も終わりです。 末候の第六十三候は、「鱖魚群 (さけのうおむらがる)」。期間は 12月16日~12月20日。鮭が川を遡上して産卵をするさまだそうです。 生まれた場所へと回帰する不思議、冷たい水の中で次の命が準備し、役目を終えて死んでいく大きな魚たちの様子は、冬至という冬の中でももっとも暗い期間を目前に、その一見暗い死の時間が、その実は、生命を漲らせるためのインキュベーションの期間だということがもっとも伝わってくる候の名前のように感じます。 残念ながら鮭はを見た事
日に日に長くなる夜と光の翳り、昼なおそこはかとなく体から熱を奪う独特の冷えこみに、ぼんやりとしてしまっているうちに、あっという間に、大雪次候の「熊蟄穴 (くまあなにこもる)」が過ぎていました。これを書いている今日は、実は12月20日です。そして、六十二候の期間は 12月12日~12月15日。ちょうどふたご座流星群のピークと同じだった感じです。 前の週のそれはそれは寒い毎日に比べると、この期間の夜から早朝にかけての冷え込みは少し緩んだ感じはしますが、日に日に日照時間が短くなる