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死語の取扱にはご用心

おはようございます。

社会福祉士×ダウン症児パパのTadaです。
Tadaのイントネーションは蛇と同じです。


今日の午後の出来事。

おばあちゃんが窓口にやってきた。
別のフロアの職員と一緒にやってきた。
ウチの課で対応する手続きだってことで案内してくれた。

おばあちゃんは案内してくれた職員の声かけに促され窓口の椅子に腰をかける。

少し遅れて僕が窓口に到着。
僕の席から窓口までは10m弱あるので目視してから歩いて行くとどうしても少し時間がかかる。

小走りで駆け寄った僕に、おばあちゃんはニコニコ顔で一言

「あら、あなたこの会社の社員さんに見えないくらいナウいわね」

久しぶりに聞いた「ナウい」に少し心躍る。


正確にいうと僕の世代はナウいは死後となっていたのだけど、死語としてナウいは認識されていた世代でもあるのだ。今の20代にナウいは通じないんじゃないだろうか。

心躍った僕はついノリで

「ありがとうございます!ナウヤングです」

と満面の笑みで答えた。

さぁ!失われた時代のトークだ。
レイダース 失われたアークだ。

おばあちゃん、どんな反応をするのかい?
おばあちゃん、どんなトークを展開するのかい?

ちょっと欲しがりさんになっていた僕の目に次の瞬間映ったもの、それは、

目を見開き、口がぽっかり開いて
完全フリーズしたおばあちゃんだった。

漫画の一コマで使われるような 


ポカーン


とした描写がリアルに眼前に。

せめてもの救いは僅かながらに口角が上がっていたことか。

斜め後ろで凛と立つ別フロアの職員(多分30代前半女性)もフリーズしていたが、口角は上がっておらず、その瞳の奥に輝きはなく、まるでとてつもなく汚い何かをみたような目つきだった。そうでなかったとしても少なくとも僕にはそう感じられた。

しかし彼女に罪はないし、
もちろんおばあちゃんにも罪はない。

罪の所在は
そう、it's me.

調子に乗って職場の窓口でダダ滑りした齡四十の男だ。

しかしここで顔を赤くしては男が廃る
スッと切り替えて丁寧な対外的な対応に切り替える。

表には出てないと信じたいが、動悸はギアセカンドが発動できるくらいには激しく、声は1オクターブ高かったかもしれない。

しかし、おそらく丁寧だったであろう対応で、止まった時間は急速に動き出した。フリーズしていた2人は雪解けではなく、止まっていたストップウォッチが再び動き出すように、何事もなかったように動き始め、窓口対応はスムーズに終わった。

「ありがとうございました!またお待ちしてます」

とお伝えしてお別れ。

どっと疲れた。穴があったら入りたかったけど、入る穴もないし、あったとしたら耐震構造とかに問題ありそうだから、やっぱりなくてよかった。

いやほんと、死語の取扱ご用心。
使い方やタイミングを間違うと一気に死後の世界にひっぱられるよ。

肝を冷やしたぜ。

おわり。

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