
アブー・キールのちょっぴりしょっぱい思い出
エジプトの夏休みといえば、天気がよく涼しい地中海沿岸部と相場が決まっている。
アレキサンドリアや、ノースコーストと呼ばれるアレキの西にあるリゾート地などがエジプト人に人気だ。
反対に、冬は曇り空が広がり雨も降るので、あまり人気ではないらしい。
知り合いに聞いても、「アレキに行くなら絶対夏!」とのこと。
この夏は妹が遊びに来てくれたので、せっかくだからとアレキサンドリアに小旅行をした。

早朝5時の便で向かう。


小舟が沢山泊まっていた。

世界七不思議のひとつ、アレキサンドリアの大灯台があったところに建てられたと言われている。


実は、私自身はアレキに行くのはこれで4回目。夏のアレキは2回目だ。正直、「アレキといえばココ」という観光地は何度も行っているので、食傷気味である。
そこで、初日は王道コースを妹に楽しんでもらったあと、2日目は行ったことのないエリア、アレキの中心部から東へ15キロ弱のところにあるアブー・キールに行ってみた。
というのも、その地域ではウニが有名!と聞いていたからである。
海岸沿を走るバスの中には、アブー・キール方面にまで行くものが何本かあるようだったが、乗り継ぎが必要そうだったので、今回はUberで移動した。
10年ほど前にアブー・キールでウニを食べたという人のブログでおすすめされていたZephyrionというレストランを目指す。
海沿いに道路が伸びているので、地中海と空の綺麗な青を眺めながら景色を楽しめたが、しばらくして海沿いを離れたあたりから道路の大規模な改修工事に行き当たり、悪路による大渋滞に巻き込まれてしまった。
砂埃もひどく、クーラーの効きが悪い車ばかりが走るエジプトではよくある、生き地獄のような暑さだ。

10分間に数メートルしか進まないような車でぎゅうぎゅうの道をなんとか通り抜け(頑張ってくれたのはUberのドライバーだが)、ようやく辿り着いたのは人気の全くないレストラン。


アブー・キールのビーチに面した、広々とした店内がガランとしている。「ここで食べても大丈夫なのか」と少々不安だったが、店員の様子を見ていると開けたばかりらしい。グーグルマップのレビューでは、夜に訪問する人が多いようだったので、昼間はそれほど賑やかではないようだった。


早い時間のほうが魚介も新鮮だろうと思い、そのままここで食べることにする。
早速、「ウニはあるか?」と聞いてみたが、「ウニ」という単語が通じない。
エジプト方言では、アブー・ヒールマーンというのだが、そう言って見てもフスハーでクンファズルバフルと言ってみても通じなかった。
私の発音のせいか…とがっかりしつつ写真を見せると、「ああ、これね!あるよ」と言ってオーダーしてくれた。
ウニのほかには、エビのバターソテー、スズキっぽい魚のグリルを頼む。どのシーフードレストランでもスープが美味しいので試してみたかったが、そんなにお腹が空いていなかったため今回は諦めた。
客は私たちしかいないのに1時間くらい待っていると、ようやく前菜とウニが出てきた。
サラダが5種類に、タヒーニ、焼きたてのアエーシ。
タヒーニは、風味が効いていて美味しい。
前菜だけで結構お腹がいっぱいになりそうな量がある。あとで会計をみたら、しっかりチャージ(2人で50LE)されていた。

「とある日本の研究者も、わざわざウニを食べるためにアブー・キールに行っていた」と聞いていたこともあり、どうやら期待に胸を高鳴らしすぎた。
出てきたお皿に乗っていたウニたちは、「ちまっ」としていて身が薄い。
シルバニアファミリーのためのお寿司にしたら、ちょうどいいご馳走になりそうだった。

スプーンですくうのもやっとという量だったが、身はとても甘く磯の風味も良かった。妹曰く、「甘いからこれは新鮮なやつ」とのこと。夏の暑さは続いていたとはいえ、9月だったので旬は過ぎてしまっていたようだった。
しばらくすると、続々と料理の皿が届き始めた。
エビは一尾が大きく、食べ応えのある身がプリプリしていて、バターソースがとても美味しい。エジプトで食べたエビの中では、紅海のほとりにあるクセイルで食べたものがかなりの上位にあったのだが、それに匹敵する美味しさだった。


スズキのような白身魚も、グリルの加減も味付けもちょうど良い。
エジプトでよくある魚料理の例に漏れず、この前日に食べた別のレストランの魚は「これでもか!」というくらい火を当て、黒焦げになったものが出てきた。
下の写真がその日に食べたもの。


そのせいもあって、その翌日に食べたこのグリルがより一層美味しく感じられたのかもしれない。セットの前菜もたっぷり、それぞれの料理もたっぷりで満腹になった。
最後の会計もびっくりな値段だったが、満足料ということにする。と言っても、ウニは一皿100LEだったので、かなりお手頃だったのではないかと思う。
地中海の海産物を食べて、大満足のアレキサンドリア旅行だった。

エジプトによくある郊外の街の雰囲気。
