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短編たち

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短編たち集です
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#ショートショート

かさぶたは絶対剥がしちゃだめ

耳の中や体の中では小さいおじさん達が働いている。
僕は小さいおじさんを見たことがある。

蟻くらいの大きさのおじさんだったり、雀くらいの小さいおじさんもいるようだ。

休憩中だったようで、おにぎりを美味しそうに食べていた。

僕がじっと見つめていたせいか小さいおじさんはハッとしてどこかに逃げてしまった。
恥ずかしがりやなのだろう。
小さいおじさんが牛乳パックを壁にして何か言っているので耳を傾ける。

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カケコミトイレ

カケコミトイレ

言葉の武器を装備して俺は今日も会社に向かう。会社と言う名のダンジョンへ。
イタタ…胃が痛い。痛みこそ生きてる証なのだと俺は自分に強く言い聞かせ再び足を一歩前に前に進める。後ろから足音が聞こえ振り向くと後輩の武田だ
「先輩!おはよう御座います!今日会議ですね。え?まさか腹痛ですか?」と心配そうな顔をされる。
「いや、大丈夫だ…問題ない」と俺は言うが
すごく胃が痛いのとトイレに行きたいのだが
会社のト

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淡々とした毎日の中で感じること(短編)

接客業が長く特にその中でもコンビニのアルバイトが長かった為か、『コンビニ』という単語に呪縛を感じてしまう僕がいる。
コンビニの仕事は淡々としていて、お昼前のピークと夕方のピークと店の立地によって、それぞれ違うのだが、大体どの店もピークはある。ピークの時はもうアドレナリン全開でお客さんを捌くのだが、それが楽しくて、楽しくて、あれは楽しかった、だなんて
まだ過去を引きずっている。
いつまでこの過去を引

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単語をくっつけてみたら意外と話になる

俺の脳内で理性と色欲が戦っている。
この世界には男と女しかいないなんてよく言ったもんだ。確かにそうかもしれないが、俺はそうだとは思わない。曇り空の下、今にも雨が降りそうだなぁ…と空を見上げる。俺はしょうもない下ネタをぼんやりと考えつつ歩いていると目の前に胸の大きい女性を見かけて、俺も男だ、つい胸を直視してしまう。

しゃがんでいるからか顔は良く見えない。通り過ぎようとすると、女性のTシャツから、オ

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