ビバ!ジョッキー!

2024年11月24日
日本は東京、府中にある東京競馬場で国際G1競走『ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 ジャパンカップ』が開催された。
いつの間にやらとてもとても長い長い名前になっていたG1競争ジャパンカップ。毎年各世代のエースたちが集結するレースとして盛り上がりを見せる。クラッシック戦線を勝ち抜け初の古馬混合戦に殴り込みをかける若き3歳馬達、精神的にも落ち着き古馬戦線を彩ってきた4歳馬達、経験を糧に若での挑戦に受けて立つ5歳以上の馬達、さらには欧米各国からの刺客も参戦するお祭りがこのジャパンカップなのである。レースの舞台は東京2400m。かの名高き日本ダービーと同じコースであり、スピードとスタミナ、さらには長い直線には約200mの間に2.4mを駆け上がる心臓破りの坂がある。坂を上り切るパワーに加えて、先行馬には競り負けない勝負根性が、差し馬にはきっちり抜き切る瞬発力が求められる。もっと言えば数万人の大観衆の声にも怯えず、しっかりと落ち着いていられる精神力が必要だ。この一年たっぷりと力を蓄えてきた競走馬達が作り上げるレースは毎度のことドラマを作り上げる。

僕が初めて生で競馬を見たのもこのジャパンカップのレースの日である。時は2004年、この日はジャパンカップとチャンピオンズカップの前身ジャパンカップダートが開催されており、今でもジャパンカップダートのタイムパラドックスvsアドマイヤドン、ジャパンカップのゼンノロブロイvsコスモバルクの名前をよく覚えている。この時のジャパンカップの勝者ゼンノロブロイは前走の天皇賞・秋、次走の有馬記念とともに一番人気で勝利し、秋古馬三冠を達成した。これは春の天皇賞・春、宝塚記念と1年で古馬G1グランドスラムを達成したテイエムオペラオー以来の快挙であり、その後達成馬は出ていない。

永遠のヒーロー・トウカイテイオーは国際G1認定後の初の勝利馬となり、

日本で走ることなく日本の年度代表馬に選ばれたエルコンドルパサーは、その前年クラッシック世代(当時4歳)で名牝エアグルーヴ、のちの日本総大将スペシャルウィークをこのジャパンカップで倒している。


凱旋門賞失格からの復帰戦で力を見せつけたディープインパクト、

三冠馬オルフェーブルを3歳牝馬で倒したジェンティルドンナ、

ディープインパクトや、海外馬のアルカセットが打ち立てたレコードを破ってしまうアーモンドアイの勝利など、名レースを挙げればキリがない。

毎年いろんな角度からドラマを見せてくれるレースがジャパンカップなのである。
今年2024年のジャパンカップも例に漏れずドラマが生まれた。勝利馬のドウデュースは3年前に朝日杯フーチュリティステークスを勝利し新世代のエースとして登場し、翌2022年には東京優駿を勝利し世代王者の座を獲得、昨年2023年には同年代のイクイノックスに勝利を譲ることもあったが、同馬引退後の有馬記念ではきっちりと勝ちきり貫禄を見せつけた。今年は10月の天皇賞・秋を勝利し、今回のジャパンカップを制覇し、有馬記念、秋古馬三冠を目指している。2歳時から毎年G1を勝つドウデュースの持続性は近年稀に見るものである。ぜひこのまま有馬記念まで無事走り終えて、その血を繋いでいって欲しいものである。

また、今回ドウデュースに跨ったのは伝説に肩まで浸かっている武豊ジョッキーである。

朝日杯、東京優駿、有馬記念の時も跨ってきたジョッキーがスペシャルウィーク以来の『日本総大将として海外馬を迎え撃つところまた競馬ファンとしては心にくるものがある。

このままドウデュースで秋古馬三冠を達成してしまえばいよいよ伝説になってしまうのではないかとソワソワしてしまう自分がある。

今回の騎乗ではジョッキー視点カメラの映像がYoutubeに上がっている。

レース開始からゴールまではもちろん、ゴール板を駆け抜けた後のウイニングラン、馬を降りるまでの10分が克明に記録されている。レース中にはかかるドウデュースを抑える武豊ジョッキー、第4コーナーから加速し、一瞬で他馬を抜き去っていく様子、ウイニングランでは他の馬と一緒に早々に帰ろうとするお茶目なドウデュースが映し出されている。ウイニングランでは約八万人からのユタカコールを浴び、勝利ジョッキーを擬似体験できる。これを見てしまっては有馬記念応援せざるを得ないという気持ちになってしまった。

今年はもうドウデュースの年になるでしょう。あまり欲を出さずに単勝馬券を握りしめていきたいと思います。

ジャパンカップの2着は同着で、牡4ドゥレッツァ、牡3シンエンペラーと次世代の台頭を見せつける結果となった。両馬とも欧州遠征後の参戦というタフな環境の中きちんと結果を残している。来年の競馬シーンも盛り上がること間違いなしである。

血統だけでなく我々競馬ファンの思いも世代を超え歴史とともに歩いていくのだ。
20年来のファンとしても残り60年ほど末長くお付き合いしていきたいものである。