見出し画像

【後編】習慣形成のプロが読む、 「習慣の力/チャールズ・デュヒッグ 」書評

前回の記事に引き続き 「習慣の力/チャールズ・デュヒッグ 」の書評後編です。

前回の記事では、「人の行動の40%は、習慣で決まる。」と言うトピックをメインに伝えました。次に後編です。

目次:
前半:
0.習慣とは三つのカテゴリーに分けられる:個人、企業、社会
1 習慣の力①:人の行動の40%は、習慣で決まる
1.1 なぜ、人間は習慣を形成するのか?
後半:
2 習慣の力での学び②:一度できた習慣は一生消えない
3 習慣の力での学び③:習慣のループは決まっている
4 習慣の力での学び④:キーストーン・ハビットを変えるだけ他の習慣も変わる

2 習慣の力での学び②:一度できた習慣は消えない

 脳は良い習慣と悪い習慣の区別がつきません。だからどちらの習慣であろうと、「きっかけ」さえ発動できればルーチンが生じます。上書きはできますが、それ自体が根本的に消滅することはありません。なお、別の研究によれば運動などの複雑な習慣は66日必要だと言われています。

 冒頭でウイルスにより内側側頭葉の大半が破壊されてしまった男性の話が出てきます。 この男性は少し前のことすら思い出せないという状況だったのですが、散歩に出かけたときはなぜか家に戻ることができました。 さらに興味深いことに、この男性に散歩途中に家の場所を尋ねたところ、思い出せないと答えたそうです。まだまだ脳のメカニズムについては解明されてない部分は多くありますが、「記憶」に司る部分が破壊されても習慣は消えなかったということが検証された事例でした。

 つまり、習慣は文字通り「体に染みつく」現象だと言えます。本人が考えなくても文字通り無意識に行える、この瞬間が習慣の現れだと言えるでしょう。

3 習慣の力での学び③:習慣のループは決まっている

画像1

例えば運動習慣で言えば、
きっかけ= ジムに行く、zoomをつける。
ルーチン= 決まったトレーニングを行う、
報酬= ドーパミンが出る。気持ち良く感じる

という報酬がそれぞれあります。

画像2

補足までに、
身体が変わり始める(中期)
人に痩せた、綺麗と言われる(長期)

と言う報酬も得られますが、フィードバックループにおいて即時報酬がもっとも脳にとって重要なので、「いつかの健康のために」と言うモチベより「医者に死ぬと言われたので、生きたい」といったモチベの方が脳科学の観点からは強い動機となります。

また、悪習慣を変えたい場合は次のようになります。

飲み屋に行くこと→カフェに行くきっかけを理解すること
お酒を飲む→お茶を飲むルーチンをずらすこと
お酒が気持ち良い→お茶が美味しいor本を読んだり、やりたい学習ができる。

ただ、上記で言うならば、お酒の方が飲みたいに決まっているだろう、といったご意見もあると思います。この場合、なるべく飲み屋/お酒が目に入らないようにしたり、違う欲求を真っ先に満たしてあげる、と言うのが戦略としては正しいと言えるでしょう。

例えば、まずはカフェに行って空腹を満たしたり、飲み物を飲むことで、お酒への欲求を相対的に減らすことはできます。

重要なのは「意思で判断する」のではなく、「きっかけをずらす」ことでその後の行動もずらすことで習慣をアップデートする、と言う点です。禁酒中に飲み屋に行ってアルコールを飲まずにいられる人はそういないのです。

4 習慣の力での学び④:キーストーン・ハビットを変えるだけ他の習慣も変わる

本書ではリサという女性の例を用いて禁煙についての習慣に言及しています。
リサはヘビースモーカーでしたが、ある日を境に、タバコをやめて、ジョギングを始めます。
その後、ジョギングはリサの新しい習慣になりました。
ジョギングをきっかけに、リサは健康にも気を使うようになり、最終的に、睡眠や食事の習慣も変わったという話です。

これは一つの実例に過ぎませんが、ウォーキングやジョギングをきっかけに習慣が丸ごと変わることは私のお客様に多く見られました。

起床後ずっとスマホを触り、移動も面倒くさくなってUbereatsを頼む、みたいな流れからひとまず近所の神社で賽銭(日本にはコンビニよりも神社の方が多く存在します)をし、朝食を買って帰ると決めただけでも、使える時間量、増加した活動量、減少したカロリー量が目覚ましく変化しました。

人は小さな改善をすることで大きな改善をすることができるのです。

例えば2012年に行われた調査(2)からは、朝からベッドメイキングをする習慣を持つ人は71%の割合で自分が幸福であると認識していると言われています。その後の習慣も適切なものへと変化するのです。それはまるで車の発車時に一番馬力がいるように、始めるまでが大変ですが、それ以後は思った以上にすんなり変わることができるのです。

本書ではジョギングを例にしていましたが、僕自身も「キーストーンハビットは基本的に運動を組み込むことで作ることができる」と言うことを強く支持します。

なぜなら、以下に述べるように習慣の中でもっとも運動を加えることがほかのことにも影響するからです。
生活習慣の中で特にQOLに影響するのは、

食事
睡眠
運動

が重要であることは多くの方は納得すると思います。そしてこれらの行動の

食事→1日3回食べる。
睡眠→必ず毎日寝る
運動→やらなくても生きていける

このように述べることができます。

食事・睡眠の習慣を改善しようともキーストーンハビットとして全ての習慣が変わることは構造としてないのですが、「わざわざやらなくても良い」運動を組み込むことができれば生理学的にも行動変容的にも食事・睡眠が必ず変わるのです。(メカニズムはまた別の機会で述べるとします)

したがって、僕がお客様に実際に指導している例としては、以下のようにステップわけをしております。

ステップ1:モップをかけるやベッドシーツを整える、と言うトレーニングや運動とも言えない「身体活動」
ステップ2:5分のウォーキングやジョギング、ラジオ体操など、心拍数が少しだけ上がる程度の軽度な運動
ステップ3:一般的な運動、トレーニングと言われる1時間弱の筋トレや有酸素運動

多くの方が運動を始めるというとステップ2〜3の動作を考えてしまいますが、1でも心拍数が上がったり、活動度が上がりますし、また、2でも十分に積み重ねれば運動効果は十分に上がるのです。

以上が本書で述べられている習慣の力の詳細、そして実際に僕が指導者としておすすめする

手法でした。まずは運動を5分、それすらもキツそうならばベッドシーツを整えるところから初めてみましょう!

脚注:
2)Bed makers are happier and more successful than those who don't. Here's why/Aug 16, 2012
https://www.psychologytoday.com/intl/blog/brain-candy/201208/make-your-bed-change-your-life

ご案内:

バディトレでは習慣形成のプロである代表星野が、記事で述べられていることや手法で行われる、エビデンスベースドのカウンセリングを通して、
あなたの習慣コンシェルジュとして、生活を設計し、体型と人生を整えます。
4,800円(税抜)~
ご興味のある方は以下のサイトにアクセスし、LINEアカウントからご連絡ください。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?