はじめまして

初めは誰も初心者で・・・調べてみたくなる

はじめまして。
最初はだれもが初心者。そして、ひと山超えるたびに、ちょっとした経験を手に入れるたびに、「ああ、こんなことが分かってたら、最初からこうしたのになぁ・・・」なんて思うことは多々あります。

今どき便利なもので、ネットで調べれば、大体のことは分かる。
「あぁ~あの俳優さんの名前、なんて名前だったったっけ?」
なんて時だって、すぐに検索すれば「それそれ!」・・・便利だ。
スマホがあれば、電車の中だって、トイレの中(!)でだって、
何でも、そこそこ、調べがつく。

と思っていた。

私も、ある程度のコトは、調べがついた。

足りていない「知りたいコト」

ところが。圧倒的に足りない。
足りない・・・足りない・・・

「事例」

が足りていなかった。
少なくとも、「初心者」の私にとっては。

知りたい情報は沢山あふれている。
大体が、同じような内容で、そのうち、
「ああ、これは大体正しいなぁ」とか、
「ああ、これはちょっといい加減」とか、
そういうことさえ見分けがつくようになっていくのだけれど、初心者にとっては、「事例」に沿った説明があると「ははぁ~ん、そう言うことか!」と分かりやすいし、よりたくさんの事例がある方が、より正確に、リアルな理解ができるはず。

母が「レビーな彼女」に変身する「兆し」を見せた日

ある日、母と本屋さんでプレゼント用の児童書を探していた。

「ああ、この本懐かしいなぁ・・・ゴンが中学受験の勉強してた時にこの本で『ことわざ』覚えてたよなぁ」
と、母に向かって話しかけた。
当然、「ほんと、懐かしいなぁ・・・」という答えが返ってくるものと思っていた。
ところが。
母は、ちょっと微笑みながら、ちょっとびっくりしたような顔をして
「へぇ~、ママ、ゴンちゃんが受験したなんて、知らんかったわ~」
と言ったのだ。本当に、全く曇りのない、無邪気な顔をして。

後頭部のあたりの血の気が引くような、不思議な感覚になった。
「何を・・・何を言ってるの?ゴンだよ?中学受験したよね?」
「へぇ~、知らんかったわ~初めて聞いた!」
「何言ってんの?ゴン、○○中学合格したやん?そのまま進学して高校行ってるやないの!」
「へぇ~、そうなん?私、知らんかったわ~。へぇ~ゴンちゃん中学受験したの?」
母の満面の笑みに、私の血の気はどんどん引いていく。
「・・・ちょっと、しっかりして!ゴンだよ?ゴンのコト、わかる?」
「・・・・・・・・・・」
ここで、初めて遠い目をする母。ツーっとワープをしているような遠い目。
「ママっ!」
「・・・・・・・ちょっと間違っただけやん!」
私に呼ばれてワープから戻ってきたと思ったら、スゴイ剣幕で怒り出す。
「アンタはしつこい!ちょっと間違えただけなのに!!」
ゴン(私の息子)の中学受験の時は、学校から塾に行くまでの間、母が実家でゴンを預ってくれたり、塾に送りだしたり、時には塾のお弁当を作って持たせてくれたりもした。約三年間。
受験の時はずっと仏壇の前でご先祖様に合格のお願いをしていた。
ちょっと間違う・・・はずがない。

「これはおかしい!」
まさか、まさかの危険信号。

だけど、この頃、誰もがあまり深刻に受け止めず、ほとんど信じてもらえない状態が続いた。私が大層なことを言い出した・・・何なら私が嘘でもついているような扱い。

そして。

段階を踏んで、母は変化をし、「レビーな彼女」へと進化を遂げていく。

残しておきたい「レビーな彼女」の事件簿

戸惑う日々、ざわざわする日々は続く。
そして、やがて母は「レビー小体型認知症」と確定診断を受ける。
診断を受ける前も、受けてからも、様々な事件が起こる。
これは、母や家族の事件簿で、沢山沢山ある症例の中のひとつの事例でしかない。
けれど、このリアルすぎる事件簿が、
もしかすると誰かの役に立つかもしれないし、
こういうリアルな事件簿(症例について+介護介助について)は
アーカイブとして残さなければならない気がしていた。

現在、母は施設で生活をしている。

話は行ったり来たりするかもしれないけれど、綴っていきたいと思う。

前提として

「レビーな彼女」と、レビー小体型認知症のことを決して茶化しているわけではない。
認知症は、立派な病気です。そして、今のところ不治の病。
本人は辛い。そして、取り巻く人も、それなりに辛い。
そして、辛いこともありながらも、日常を生きている。
ならば、楽しい方がいいじゃないか。
悲しいことは泣いた方がいい。許せないことは怒った方がいい。
だから、だから、面白いことは大いに笑いたい。
決して「楽しい介護」なんて暢気なことは言えない現実はあるけれど、

 うちの母、レビー小体型認知症なのよ、
 そりゃ大変でさ、とんでもないことが起こるのよ!
 そりゃ奇想天外よ!
 どんなことがあったか聞いて!
 うっそぉ~ん!
 って言いたくなること、沢山あるよのぉ・・・

と、思うから。
母のコト、「レビーな彼女」の事件簿を記していこうと思うのです。