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現役大学生が遠野遥の『破局』を読んだ。主人公の自己中心的な部分に不快感を感じた。

一言メモ「主人公は、私とは正反対の人間でした」

「私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無」。
河出書房新社よりhttp://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309029054/

2020年も終わりに近づきました。コロナで大学がオンラインになったからか、一年が過ぎるのがとても早く感じます。

少し前に話題になった163回芥川賞受賞作遠野遥『破局』を読みました。タイトルが強烈で、一度聞いたら忘れられない題名です。

(本当にざっくりとした)あらすじ

主人公は大学四年生で就職活動目前の時期。学外のラグビーチームに所属し、主人公の恩師の元で練習を続けている。
彼には、政治家を目指している彼女がいる。最近忙しいようでセックスレスらしい。そんな中、主人公は主人公の友達が所属するお笑いサークルのライブで一年生の女の子と出会う。

感想

登場人物のほぼ全員がどこか異常で、物語は終始ドロドロしていました。読んでいるとき、私はずっと不快感を感じていました。その不快感の正体は、自分の理解出来ない事や物で、この本を通してそれに触れていたからだと思います。以下の三点にまとめました。

①主人公が家族ではない人の家で家族のようにご飯を食べること
②政治家を目指す彼女が夜中に主人公の部屋へ乗り込む場面
③主人公が自己中心的なところ

①主人公が家族ではない人の家で家族のようにご飯を食べること

いきなり意味不明と思うかもしれませんが、私はかなり嫌悪感を抱きました。
主人公はラグビーの練習後に恩師の家へ行き、体作りの為に肉とご飯を食べることが習慣となっており、物語の序盤にこの場面は登場します。
中学、高校、大学と運動部と無縁だった私は、こうした経験がありません。自分より年上の人と外食することはありましたが、家で食べることはありませんでした。

人の家でご飯を食べること=迷惑をかけている

という気持ちになってしまうのです。私自身、「人様に迷惑をかけることはするな」と教えられた記憶はありません。しかし、人より遠慮がちなところがあります。

②政治家を目指す彼女が、夜中に主人公の部屋へ乗り込む場面

物語中盤の場面です。
ネタバレになりますが、主人公と元々付き合っていた彼女は別れます。そしてお笑いライブで知り合った年下の女の子と付き合います。
それにも関わらず、主人公の元彼女は終電を逃してしまったから、一晩泊めてほしいと夜中に部屋へやってくるのです。
その後に描かれる性描写ほど歪んでいて、気持ちの悪いものは私は今まで読んだことがありませんでした。私はこれを逆レイプと捉えました。

③主人公が自己中心的なところ

これは物語全般を通して表現されています。

まとめ

この本の内容は『破局』というタイトルに相応しく、若い男と女が出会い、破局していきます。
「不快感」や「気持ち悪い」といったネガティブな言葉が今回は多くなりましたが、決して悪口ではありません。
これは私の考えですが、破局する恋愛は始まった時から、どこか歪んでいる部分があるのかもしれません。

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