【社内報の作り方】デザインチェックのいろは
社内報ご担当者のお悩みで多いのが「原稿はチェックできるけれど、デザインはどう見てよいかわからない」というもの。国語は習いますが、デザインは一生関わらない人もいるくらい縁遠いものですよね。また逆に好きすぎて、もっと思い通りに修正したいという方もいらっしゃるでしょう。今回は、ノンデザイナー、ノンアートディレクターが見るべきデザインチェックのポイントをご紹介します。
シンプルだけど、物足りない
シンプルデザインにあこがれを持つ人は多いでしょう。余白をいかしたデザインは世の中に多く、洗練されたイメージを醸成することができます。しかし、いざ社内報で求めると、うまくいかず、シンプル=物足りないに陥りがちです。こうなる要因は、いくつかあります。①写真、ビジュアルに力がない。②アクセントになる要素がない。③趣旨に合っていない。④見慣れていない。
まず①ですが、シンプルデザインとは素材の良し悪しをはっきり映し出します。ですから、たとえば写真が解像度の粗い投稿写真だった場合、その印象を増幅させてしまい、結果誌面の魅力が減ってしまいます。ビジュアルに力が合る場合に効果的な手法、それがシンプルデザインです。②デザイナーの力量が不足している場合に多い事象です。①同様、シンプルデザインには、なにか魅力的なビジュアルや、アクセントになるものが必要です。すべて既存の同一書体だけで、フォントの大きさも同じだった場合、ただただ味気なくなります。見出しに個性的なフォントでタイトルロゴが入っているなど、アクセントは非常に重要な要素です。③シンプルデザインは、エディトリアルでは上品で静かなデザインの傾向が強いです(例外あり)。元気のよい企画にそもそもあっていない。こんなときはシンプルデザインそのものを見直す必要があるでしょう。④シンプルは賑やかではありません。賑やかな誌面に慣れた方なら、何か足したくなってしまいがちです。ただし①~③の要因があるから、そう感じているのかもしれません。①~③それぞれを検証してみて、該当しない場合は、我慢が必要かもしれません。
誌面に動きがない場合
なにか誌面が淡白で、いまいち迫力や元気の良さが無い。こんなときは、「ジャンプ率」を確認しましょう。ジャンプ率とは文字の大きさの「差」のことです。タイトルも本文も同じ大きさだと、ジャンプ率は低い(ゼロ)。一方、タイトルが、本文の100倍位大きい、となるとジャンプ率は高いと言えます。ジャンプ率は写真、イラストにも同様に当てはめて考えられます。低くなれば、静かで知的な印象に。高くなれば、躍動感のある、元気な印象になります。もっと躍動感、元気の良さ、動きを出したいなーと思ったら、このジャンプ率を検証してみましょう。
なんだか読みづらい…
読み物のデザインを「エディトリアルデザイン」と呼びますが、ポスターなどのグラフィックデザインと、決定的な違いがあります。それは導線です。エディトリアルデザインは本文が読まれること前提に、いかに読みやすくするかに心を配ります。右開きであれば、縦組み。左開きであれば横組み。最初に読ませたいものは、右開きの場合は右上、左開きの場合は左に、それぞれアテンションとなるものや、写真、大きな文字を入れます。読みづらい、目が泳ぐ場合は、この基本原則から離れている場合でしょう。そんな時は読み進めるべき順番を確認し、それがスムーズかどうか確認しましょう。
なんかダサい…
パッと見て「なんかダサい」と感じたら、それは配色かもしれません。赤、青、黄色系統の3色が同一誌面上に入っていると、たいていの場合ダサいと感じます。また青色系統でも濃い薄いではなく、ちょっと緑っぽい、ちょっと黒っぽいなど、違う種類の青色が複数存在すると、これもダサいです。こういった複数色が混在する中で、ダサくないデザインをするのは、かなり高度なテクニックです。
色ではない場合、レイアウト上「揃っていない」可能性もあります。本文幅が微妙に揃っていない。左右ページの文章の位置(高さ)が、微妙に揃っていない。本文の文字の大きさが、微妙に揃っていない。ここで大事なのは「微妙に」という点です。はっきり違うものは、気にならないものですが、「どうせなら揃えようよ」と思うものが揃っていないと、美しくありません。これらは全て「ダサい」対象です。
デザインは難しいけど、面白い
私も編集者なので、デザインができるわけではありません。しかし、原稿が誌面にデザインされて初めて命が宿ったような気がしますし、美しいデザインであれば、満足感もひとしおです。一方で、デザインはどこまで行ってもデザイナーのものです。デザイナーの意図や好みが反映されますし、そこを合理的に拒否できない内容であれば、尊重してあげるのも大切です。本記事が、合理的な指摘をする一助になればうれしいです。
新型コロナウイルスがいまだに猛威を振るっていますが、ウイルスはまさにこの「生物と無生物のあいだ」の存在なのだそうです。本書では、こうした学術的な定義を著した専門書ではなく、生命体の謎に迫る科学者たちの、実に人間的な、昼ドラ顔負けのドロドロしたミステリーが広がっています。DNAを発見したのはいったい誰なのか、この真実に迫るとき、もう一方でDNAを2重らせん構造にデザインしたのは誰なのかと思わずにはいられません。無印良品のキャッチコピーで「しぜんとこうなりました」というものがありますが、デザインというものはもしかすると「しぜんとこうなりました」を体現している生命体が、その極致なのかもしれません。緊急事態宣言下の今、おすすめの一冊です。