知られざるサンタ業の裏側（良すぎ） 映画メモ『レッド・ワン』
先日『グラディエーターⅡ』を観るために日比谷に行きました。イルミネーションがピッカピカで、もうかなりクリスマスでした。いつもなら「11月なのに！まだ早いんじゃないの？！」と思うところですが、今年の私は一味違う。
今年の私は、もう観ちゃってんだ。クリスマス映画ってやつを─────
『レッド・ワン』
監督：ジェイク・カスダン
これは映画館の予告で観て、「絶対おもしろいやつじゃん…」と感じて密かに楽しみにしていた作品。感想を書いたのは『グラディエーター』が先ですが、観たのはこちらのほうが少し早いです。公開が11/8だったので、もう、即観た感じです。そんな前のめりで。
あらすじは、クリスマスの前日にさらわれたサンタクロースを助け出せ！というかなりシンプルなもの。あらすじがスポンジケーキだとしたら、デコレーションの部分がもうてんこ盛り。生クリームもいちごもマジパンのお人形も乗せまくりです。
まずサンタさん（演：J・K・シモンズ）がかなり強そう。このサンタ…さらわれるの…？そういう感じに見えないけど…と、思わず話が進むのかどうか心配になりました。しかし無事に（？）さらわれてしまいます。大変！
それを助けに行くのが、かなり強そうなサンタよりも更に大きくてもっと強そうな、サンタクロース護衛隊長・カラム。演じているのはロック様…ドウェイン・ジョンソンです。強い。彼とコンビを組むことになるのは、知らぬ間にサンタ誘拐の片棒を担がされていた世界一の「追跡者」・ジャック（演：クリス・エヴァンス）。なんやかんやあって2人は手を組み、サンタ奪還のため世界を飛び回るのでした。サンタを助け出し、クリスマスを救うことはできるのか………！というお話です。ワクワクする～～～～～～！
クリスマスを楽しみにしている人間をすべて楽しませてやるという情熱を感じる作品でした。アクションだし、冒険ものでもあるし、ファンタジーの世界も楽しめるんですが、私はこの作品、お仕事映画としてとっても楽しかったです。サンタという職業、こんな組織がこんなシステムで業務を行っているんだ……！
サンタは唯一無二の存在。全人類の起床・就寝時間を把握していて、世界中の家に一晩でプレゼントを配り切ります。私はサンタが複数いて、配達の管轄が分かれているんだと思っていたんですよ。違うんです。一人で全部配るの。サポートチームと力を合わせながらのスピード勝負です。この大仕事をこなすのに必要なカロリーは4億3000万。子どもたちが「サンタさんへのお礼」として置いたクッキーとミルクで栄養補給しながら、SASUKEに挑むアスリートのように一晩駆け回ります。作中このサンタの仕事が描かれるところが本当に本当にお気に入り。こうやって配ってくれてたんだ！と、なんだか嬉しく、感動しちゃいました。
屈強だけど心優しい護衛隊長・カラムのキャラクターもとても好き。彼は仕事にはとても誇りを持っていますが、子どもが成長していくにつれて、無責任だったりルールを軽視したり…と嫌な大人に変わっていってしまうことに心を痛めています。それなのに、コンビを組むはめになったジャックときたら、まさに嫌な大人。サンタは信じないし、人のものを盗ることも平気。血の繋がった息子に対して愛情は持っているけれど、父親として向き合うことは避けている。こんなダメ男と行動したくないのに、レッドの場所を突き止められるのはこいつしかいない。信用できないけど、やってもらわないと始まらない。最悪な出会いから少しずつコンビらしくなっていくところも、王道だけどやっぱり大好き。
あと印象に残っているセリフはカラムの「（俺が）人間に見えるか？」です。一瞬「確かに…」と思わされるんですけど、いや、ドウェイン・ジョンソンさんは人間ですから。人間離れした肉体ではあるけど、人間ですから。ここすきだったな～。
サンタ護衛チームに何の違和感もなく登場しているシロクマさんや、敵として出てくるスノーマンの怖さと可愛らしさとか、世界中のおもちゃ屋さんがどこでもドアみたいなので繋がっていて行き来できるのとか、おもちゃを本物サイズに変えて使えちゃったりとか！作中に出てくる全部の要素にいちいちワクワクしました。
この作品で、「いい子のところにはサンタが来るけど、悪い子にしてると怖いクランプスが来るからね」的な言い伝えがあることも知りました。今作ではサンタの弟という設定です。
恐ろしいビジュアルだったけど、このキャラクターもよかったな～。最後にはちょっとかわいく思えちゃう。
作り込まれた世界観にハマり、アクションにワクワクし、次々襲いくるピンチにハラハラし、人はいつからでもどんな状況からでも変わっていける！というメッセージにほろりとし、最後には「サンタ、すごい！！！！！！！！」の気持ちでいっぱいになり、楽しいこと全部乗せてんこ盛りの作品です。クリスマスが来る前にぜひ見てほしい～！