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私の中の映画少年の心とおかんの心がせめぎ合う作品 映画メモ『はなればなれに』

『はなればなれに』
監督:ジャン=リュック・ゴダール

これとっても有名な作品ですよね。ずっと観てみたくて、でも配信にもないし、以前探したときはレンタルDVDも見つけられず。そしたらいつのまにかU-NEXTにあった。U-NEXTったら…本当そういうところある…好き…。

というわけで観てみました。これは、小悪党な2人の男と、純粋な女による犯罪の話です。身も蓋もない。アンナ・カリーナがとってもかわいいとか、このシーンがオシャレとかいろいろ印象的なところはあるんですけど、話はと言われると、犯罪の話です。小悪党たちが英会話教室で目をつけたかわいい女の子オディール。彼女のおばさんがお金持ちで、オディールも一緒になってそのお金を盗もう!と計画するんだけど…という感じです。気軽に盗もうとすな!びっくりする!!

リンクのサムネにもなっているダンスのシーンが有名で、視聴していてもとても印象的でした。このダンスに被せた監督によるナレーションでそれぞれの心情が語られたりとか、面白いことするんだなあという演出があちこちに散りばめられた作品です。もう一つ有名なのが美術館を駆け抜けるシーンだそうなんですが、周りの人が結構普通にびっくりしてる。突発的な撮影だったみたいです。すごい。でもなんにも知らずに美術館行って全力疾走してる人いたら、結構イヤ!すごい。映画って、こんなに自由にやりたいほうだい作っていいんだ…!と、驚きの連続でした。

他に印象に残っているのはパタパタと画像が変わっていくオープニング。これがとにかくオシャレでかわいい。カフェのテーブルで3人が話すときに座る位置がぐるぐる変わっていくのもかわいい。ここはこういう動きで撮りたいとか、どんなふうに映したいというのが、想像の斜め上!という感じ。ゴダールさんには世界がどんなふうに見えていたんだろう。現実って、構図も何も無いただの時間の連続なのに、それを自由に切り貼りして、視点もあちこち変えて、あんな面白い映像の連続になっちゃう。すごいなぁ。

作りが面白いからこそ、お話の身も蓋もない感じが不思議。オディールちゃん、同世代の友達つくりなさい。ね~絶対やばいよそいつら…って離してくれる友達を。私の令和最新版の倫理観ではどうしてもそこが気になる作品でした。小悪党2人組の片割れアルチュールはかなり強引ですが、オディールは惹かれている様子。やめなさいそういう人は。対するフランツのほうが優しく紳士的…のように見えるけど、でもこの人もやろうとしてることは犯罪だからね!全然よくない!どっちも許しません!お母さんの気持ちになっちゃいます。

そんな感じで、映画って自由で面白い!という映画少年の心と、あんた付き合う人は選びなさい!というおかんの心とを行き来しながらの鑑賞となりました。ゴダールさん、面白い映画ばっかり作る…


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