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【映画メモ】思い出みたいな感覚『ぼくのお日さま』

『ぼくのお日さま』

夏頃から映画館で予告が流れていて気になっていた作品。気になるあまり監督の前作を調べて観たりもしました。

『僕はイエス様が嫌い』がとても好きだったので、かなり楽しみにしていました。結果からいうと、期待通りの素晴らしい作品でした!

お話の舞台は雪深いある田舎町。タクヤは夏は野球、冬場はアイスホッケーのクラブ活動的なものにいそしむ小学生。ある日タクヤは、スケートリンクで練習する少女・さくらに出会い目を奪われます。ホッケー靴のまま見様見真似でスピンの練習をしてみるタクヤですが、なかなかうまく行きません。その様子を見ていたさくらのコーチ・荒川は、タクヤにフィギュアスケート用の靴を貸し、練習に付き合ってあげることに…というお話。

ゆったり静かに時間が流れていく、穏やかなお話でした。私が観た回では心地よく眠ってしまった人がチラホラ……。気持ちは分かるけれども。私はこの静かさ穏やかさが、あれこれ考えたり感じたりするのにちょうどよく感じました。セリフがかなり少ないし、表情もわかりにくい。今この人はなにをどう感じているんだろう。このくらいの年頃ってたしかにこんな感じかも。など色々思いながら観てもお話に置いていかれることがないので、私はこういうゆったりした作品が好き。

そして、観ていてなんだか懐かしい気分になりました。私の実際の思い出とこの作品に出てくるものとは何一つ共通点がないのですが。

雪道を友達と喋りながらクラブ活動の道具を抱えてえっちらおっちら歩くあの感じとか、こどもがたくさん集まったスケートリンクの熱気ある雰囲気とか、寒い日の朝ベランダで吸うタバコとか、その背中をつっついて一口吸わせてもらう感じとか、アイスダンスのペアで滑るときのパートナーの近さや緊張感とか。

何一つ経験はないですがなんか、その空気を知ってるような気持ちになる。記憶の中にあるような気がしてくる。そう見せるのが上手な監督さんなんだなと思いました。

お話はタクヤ、さくら、荒川の3人を中心に進むのですが、私が特に良いな!!!!と感じたのはタクヤの友達の少年・コウセイくん。すごい…いいヤツ…良い友だち……タクヤは言葉が出てきにくい吃音を持っているのですが、気にせず待ってくれるし、どこで何をしていても素直に応援してくれる。タクヤのことがほんとに好きなんだなと思うし、タクヤもそんなコウセイのことが好きなんだろうなと思います。2人のおしゃべりの雰囲気がとっても良くて印象的でした。

子どもたちの自然な良さもさることながら、大人たちの「さすが…」の雰囲気も最高でした。池松壮亮さん、若葉竜也さん、あとさくらの母親の山田真歩さん…私大好きなんですよね山田真歩さん…『架空OL日記』の大ファンなので………自分の生活の中にこういう人いる、この人…知ってる!という存在感があります。

なんかもう、観てくれ…としか言いようのない作品です。感じてくれ。この良さ。いい映画が観られたな…。幸…


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