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【48枚目】Steely Dan『Aja』
Steely Danの6枚目のアルバム『Aja』(1977)
ちょっと前にキリンジの『3』を聴いたんですが「キリンジは日本のスティーリー・ダンだ」という情報を知り数珠つなぎで聴いてみた。確かに似てる。ルーツを辿る聴き方って楽しいですよね。このアルバムを初めて聴いた時は「おしゃれなアルバムだな。」「名盤のオーラは感じる。」くらいで流してましたが、聴けば聴くたびに好きになるスルメな作品ですねコレ。
スティーリー・ダン(Steely Dan)は、アメリカのロック・バンド。主にドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーによるデュオ体制で活動し、世界的な成功を収めた。2017年にベッカーが死去し、以降はフェイゲンのソロユニットとして継続している。
ラテン音楽やR&B/ソウル、ブルー・アイド・ソウルやジャズなど黒人音楽寄りで幅広く多様性を持った音楽性が特徴だった。彼らは、ジャズ的な代理コードや意表をつくコード進行で曲にひねりを加え、著名なスタジオ・ミュージシャンを起用し高度なアンサンブルを構築。その独特なサウンドは、クロスオーバーや黒人音楽に関心を持つミュージシャンに、多大な影響を与えた。テクニカルな面が強調されがちだが、1950年代、60年代のジャズやR&Bが持つフィーリングを重視しており、ボブ・ディランに影響を受けた、ドナルド・フェイゲンの奇妙で難解な歌詞も特徴の一つとしてあげられる。
スティーリー・ダンの曲は王道かつ外してるってのが自分のツボです。ベースがあってテクニック、アイディアが活きているんでしょう。あまり堅苦しくなくてポップなのも好き。スキのない計算された構成もあってか聴いていて全く飽きが来ない。聴き込んで楽しいバンドです。
1977年発表のアルバム『彩(エイジャ)』は全米3位、200万枚を売り上げる大ヒットを記録した彼らの代表作である。同アルバムでは、東西の有名スタジオ・ミュージシャンを贅沢に起用していた。音楽評論家からも高い評価を受け、このアルバムはスティーリー・ダンの名声を決定的なものにした。
スティーリー・ダンの代表作『彩(エイジャ)』スタジオ・ミュージシャンを贅沢に起用した作品。作品のために妥協しないプロ意識が良いですね。付き合わされる方は大変ですけど。レコードを聴いて気に入ったミュージシャンをスタジオに呼んでレコーディングしたってエピソードが好きです。貴族か。贅沢すぎる。起用したミュージシャンはもちろん超豪華。気になる方はwikiをご参照ください。
一切の妥協を許さない姿勢から作られた本作は納得のクオリティ。「完璧」とか「洗練」ってワードが似合います。理想的なトラック集。しっかりヒットしているのもすごいすね。内容はクールでオシャレなAOR。裏で熱や執念が渦巻いているような感じ。"The Making of Aja"というドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーが『Aja』について語る動画がyoutubeにあがってたんですが、予想以上に面白かったです。24:40あたりのディーン・パークスの話が最高でした。ドナルドとウォルターは決して完璧などを求めていない。繰り返し聴けるものを求めている。だから完璧を超えて、自然で、ゆとりがある。かっこよすぎる。
~【収録曲】~
-A面-
1.Black Cow
ピローんって何か拍子抜けなイントロ。そっからはスマートでひたすらかっこいいです。都会的。ドラムのソフトなタッチ、程よい主張のベースが素晴らしい。どの音に焦点を当てて聞いても満足。無駄がない。「Black Cow」はルートビアにバニラアイスを載せたソフトドリンクだそう。自由奔放な元カノに未練たらたらだけど「Black Cow」を飲み干して前に進もうって曲。良い曲やないか。
2.Aja
エイジャ~。サザンオールスターズの「彩~Aja~」の元ネタだとか。Aja(アジア)の要素は正直あんま感じないんですけど自分だけですかね。上品な音が沁みる曲。サビのグルーヴ感が好き。各楽器の音が気持ちよくビタッとハマっている感じ。3:10~の展開がぎもぢいい。センスの塊。4:40~からドラムとサックスのバトルみたいで熱い。スティーヴ・ガッド(Ds)、ウェイン・ショーター(Sax)。ここだけハードコア。
アルバムのジャケットに写っている女性は、日本人モデルの山口小夜子である(写真:藤井秀樹)。
3.Deacon Blues
なんだか懐かしさを感じるようなイントロ。優しい曲調。明るく充実した雰囲気。ちょっとおセンチ。その中で鬼気迫るようなドラムが魅力です。激しくなくても熱量やこだわりが感じられる一曲。
-B面-
4.Peg
軽快、ノリの良いフュージョンかな。チャック・レイニー(B)のベースが暴れてます。ウォルターにスラッピングをやめろと言われたそうですが、チャックはこの曲にはスラッピングが合う!と思い隠れて演奏したら採用されたってエピソードが好きですね。可愛くて。ラリー・カールトンの「Room 335」の元ネタだとか。曲名の「Peg」は舞台女優のペグ・エントウィスルのことだとか。情報量が多い。
「Peg」間奏で聞かれる個性的なギター・ソロはジェイ・グレイドン。彼の演奏が採用されるまで実に7人の有名ギタリストがスタジオに呼ばれているが、ベッカーとフェイゲンはまったく納得しなかった。
5.Home at Last
ジャジー。フェロモンがムンムンな曲ですね。ギターの音色、ソロに艶があります。ラリー・カールトン(G)、(ソロ担当の)ウォルター・ベッカー(G)。この曲もリズム隊の気迫、緊張感が凄まじい。シャッフルのリズムが最高。この曲もシャッフルをやめろと言われたそうですが、バーナード・パーディ(Ds)が「これはありきたりのシャッフルじゃない」「君たちが望んでいるそのものだ」と伝え演奏したとか。痺れる。
6.I Got the News
一風変わってポップでコミカル。ピアノの自由に跳ねる感じが好きです。軽快に突き進むドラムも良い。2:20から乗り出してくるギターがかっこよくてズルい。
7.Josie
怪し気なイントロからムードは完璧。R&B風な曲。荒めな歌声がかっこいいです。ギターのカッティングに合わせてテンポよく進んでいく。練られたノリ。サビも美メロで文句なし。ウォルターがこのアルバムの中で演奏するのが一番好きな曲だとか。
※バンド名もかっこいい意味なのかと思ったらそんなことはなかった。
バンド名は、ウィリアム・S・バロウズの小説『裸のランチ』に登場する男性器の張型「Steely Dan III from Yokohama」に由来する。