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ポール・サイモン 80歳の誕生日に 〜 ポール・サイモンの歌, 歌詞和訳とアルバム・レヴュー

今までに ポール・サイモンの歌の歌詞を 随分と和訳していた。ポール・サイモン 80歳の誕生日記念でこれまで note に載せてきたものを集めたら(本 note 第8章以降, 19曲; 2024年11月5日現在 23曲), 予想以上の数。一瞬, 課金したい念に駆られた(笑)。因みに今日のタイトル写真にあるフレーズは, "Hearts and Bones" の歌詞の一部。いつかあの歌の歌詞和訳もしてみたい ♫ (これまでに歌詞を和訳した曲のリスト及びそれぞれの歌詞和訳の中身は 下掲の「目次」以降に)

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*一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)より「著作権を有する音楽著作物の著作権を侵害している」旨, 指摘を受けた為, 当初 私の誤認識により 本 note 投稿記事に掲載していた英語歌詞を削除し, 筆者による和訳のみの掲載に改めました。英語歌詞・原詞については, 公式サイト等に掲載されているものを確認してください(2022.9.1 加筆/削除/編集)。

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更新(歌詞和訳 追加)の 記録

* 2022年6月11日, 「歌詞和訳 19」として 同年4月20日に note にアップしていた "One Man's Ceiling Is Another Man's Floor" 歌詞和訳を加え, また「歌詞和訳 20」(その後の編集により「歌詞和訳 21」)として 同年6月11日に note にアップした "Gone at Last" 歌詞和訳を加える編集を行なった。

* 2022年6月16日, 「歌詞和訳 20」として 同日に note にアップした "The Dangling Conversation" 歌詞和訳を加える編集を行なった。歌詞和訳付きで 本 note に載せた ポール・サイモンの曲 は 22曲となった。

* 2024年11月5日, 「歌詞和訳 22」として 同日に note にアップした "Leaves That Are Green" 歌詞和訳を加える編集を行なった。歌詞和訳付きで 本 note に載せた ポール・サイモンの曲 は 23曲となった。

ポール・サイモンは 1941年10月13日生まれ

ここは https://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Simon 引用してしまう。

Paul Frederic Simon (born October 13, 1941) is an American musician, singer, songwriter, actor and producer. Simon's musical career has spanned over six decades. He is widely regarded as one of the most acclaimed songwriters in popular music history.

Simon was born on October 13, 1941, in Newark, New Jersey, to Hungarian-Jewish parents. His father, Louis (1916–1995), was a college professor, double-bass player, and dance bandleader who performed under the name Lee Sims. His mother, Belle (1910–2007), was an elementary-school teacher. In 1945, his family moved to the Kew Gardens Hills section of Flushing, Queens, in New York City.

The musician Donald Fagen described Simon's childhood as that of "a certain kind of New York Jew, almost a stereotype, really, to whom music and baseball are very important. I think it has to do with the parents. The parents are either immigrants or first-generation Americans who felt like outsiders, and assimilation was the key thought—they gravitated to black music and baseball looking for an alternative culture." Simon, upon hearing Fagen's description, said it "isn't far from the truth." Simon said about his childhood, "I was a ballplayer. I'd go on my bike, and I'd hustle kids in stickball." He added that his father was a New York Yankees fan:

ポール・サイモンの東京ドーム・ライヴを妻と観た 1991年10月12日 〜 ポール・サイモン 40代最後の日

たぶん自分の音楽耳と音楽脳の, その 1/3 ぐらいを作っているポール・サイモンの音楽を, ようやく生で聴いた日。中2だった1974年の初来日のコンサートには行けず, 1982年のサイモンとガーファンクル再結成時の来日公演の時は札幌にいた学生時代で行けず, その時点で20年以上聴いてきたポール・サイモンの音楽をようやく生聴きした 1991年10月12日。

10歳の頃から聴いてきたサイモンとガーファンクルのライヴを, 40代の終わり頃, 妻子と3人で観た 2009年7月11日 〜 セットリスト(27曲)

サイモンとガーファンクルとしての初来日は 1982年5月で(最初の「再結成」時のツアー), この時は大阪スタヂアムと後楽園球場が会場, 自分は札幌にいた学生時代で観逃していた。サイモンとガーファンクル 2度目の来日は 1993年12月, ちょうど仕事の韓国出張とタイミングが重なってしまって観に行けなかった。で, 2009年7月11日, 彼らの 3度目の来日時に, 東京ドームでのライヴを妻子と3人で観ることができた。そりゃもう, 素晴らしかった(に決まってる!)。

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開演前, ちょっと前の席にピーター・バラカンさん夫妻がいて, 話しかけてバラカンさんにサインをもらった(終演後, 息子もコンサート・チケットにサインをもらってた)。

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セットリストはこれ。

Intro: Opening Montage ("America" instrumental)
1. Old Friends / Bookends
2. A Hazy Shade of Winter
3. I Am a Rock
4. America
5. Kathy's Song
6. Hey, Schoolgirl (Tom & Jerry)
7. Be-Bop-A-Lula (Gene Vincent & His Blue Caps cover)
8. Scarborough Fair
9. Homeward Bound

Intermission (2nd Montage)
10. Mrs. Robinson
11. Slip Slidin' Away (Paul Simon song)
12. El cóndor pasa
13. Bright Eyes (Mike Batt cover by Art Garfunkel)
14. Heart in New York (Gallagher & Lyle cover by Art)
15. Perfect Moment / Now I Lay Me Down to Sleep (Art Garfunkel song) 
16. The Boy in the Bubble (Paul Simon song)
17. Graceland (Paul Simon song) 
18. Still Crazy After All These Years (Paul Simon song) 
19. The Only Living Boy in New York
20. My Little Town
21. Bridge Over Troubled Water

Encore:
22. The Sound of Silence
23. The Boxer

Encore 2:
24. The Boxer (reprise)
25. Leaves That Are Green
26. Cecilia (followed by band introductions)
27. Cecilia (reprise)

ポール・サイモン, S&G解散後 第1作 〜 Paul Simon (1972) 全曲聴き倒し, 3曲(+)歌詞和訳つき

ポール・サイモンのソロ1作目は S&G時代, 1965年の "The Paul Simon Songbook", だからこれはソロとしての通算2作目。

ほら、サイモンがまた韻踏んでるよ ♫ There Goes Rhymin' Simon (1973) 〜 4曲歌詞和訳つき

レコード会社の '公式' 邦題は「ひとりごと」。

Still Crazy After All These Years (1975) 〜 9/10曲(+)聴き倒し, 3曲歌詞和訳つき

レコード会社の '公式' 邦題は「時の流れに」。

Kathy's Song 〜 歌詞和訳 1 

邦題はそのまま, 「キャシーの歌」。サイモンとガーファンクル時代の曲だけど, 初出は 1965年リリースのソロ・アルバム "The Paul Simon Songbook" だった。

キャシーは「アメリカ」の歌詞に登場する女性 Kathy で, アルバム "The Paul Simon Songbook" のカヴァーに使われた写真(以下の YouTube クリップの写真)で ポール・サイモンの右に写っている女性。フルネームは Kathleen Chitty, この際(どの際?)ミドルネームも入れると Kathleen Mary Chitty で, 当時のポール・サイモンの恋人。ポールはこの写真が撮られた当時おそらく23歳, キャシーはたぶん19歳ぐらいだった。  

キャシーはメディアの注目を浴びることを好まない女性のようなので出所はここには記さないけれど, 以下は 7年前のとある英字紙からの引用。

Paul Simon once described his relationship with Mrs Chitty as ‘his most peaceful time’ and it was captured in his care-free lyrics.

Kathy's Song 〜 from Paul Simon's first solo studio album "The Paul Simon Songbook" released in August 1965 ♫

ぼくは霧雨の雨音を聞いている
過去の記憶をよみがえらせる音
静かに暖かく降りつづける音
ぼくの心の屋根と壁をたたく音

ぼくは心の隠れ家から
瞳の窓の向こうを眺め
雨にぬれた通りの彼方を見つめる
ぼくの心のふるさとイングランドを

ぼくの心は混乱し拡散する
想いは何マイルも遠くへ向かう
そして君が眠っている時には眠りを共にし
君が君の1日を始める時には君にくちづけする

ぼくが書いていた歌は見向きもされず
なぜ時間を費やすのかさえわからない
ぼく自身が信じられないような歌を書くためにね
無理に引き裂かれて 韻を踏まされた言葉を使いながら

そうなんだ 僕はついに疑うようになってしまったのさ
みんな一度は本当のことだと心に抱いていたのに
ぼくは今 何の確信もなく一人で立っている
ぼくの知っている唯一の真実は君だけなんだ

そしてぼくは雨の雫を見ている
縫うように降りかかり疲れて消えていく雫を
ぼくもこの雨のようなものなんだって思う
それでもぼくは 真実の恵みがあればやって行けるのさ

Kathy's Song 〜 from Simon & Garfunkel's second studio album "Sounds of Silence" released on January 17, 1966 ♫

音源は同じ。

ぼくは霧雨の雨音を聞いている
過去の記憶をよみがえらせる音
静かに暖かく降りつづける音
ぼくの心の屋根と壁をたたく音

ぼくは心の隠れ家から
瞳の窓の向こうを眺め
雨にぬれた通りの彼方を見つめる
ぼくの心のふるさとイングランドを

ぼくの心は混乱し拡散する
想いは何マイルも遠くへ向かう
そして君が眠っている時には眠りを共にし
君が君の1日を始める時には君にくちづけする

ぼくが書いていた歌は見向きもされず
なぜ時間を費やすのかさえわからない
ぼく自身が信じられないような歌を書くためにね
無理に引き裂かれて 韻を踏まされた言葉を使いながら

そうなんだ 僕はついに疑うようになってしまったのさ
みんな一度は本当のことだと心に抱いていたのに
ぼくは今 何の確信もなく一人で立っている
ぼくの知っている唯一の真実は君だけなんだ

そしてぼくは雨の雫を見ている
縫うように降りかかり疲れて消えていく雫を
ぼくもこの雨のようなものなんだって思う
それでもぼくは 真実の恵みがあればやって行けるのさ

Still Crazy After All These Years 〜 歌詞和訳 2

レコード会社の '公式' 邦題は「時の流れに」だったけど, それって何か別の歌を思い出しそうだよね。

Still Crazy After All These Years 〜 the opening title track from Paul Simon's fourth solo studio album released on October 25, 1975 ♫

昨日の夜、街で思いがけず彼女を見かけた
とても嬉しそうに見えて、僕も微笑みを返した
それから、昔の思い出を話しながら
しこたまビールを飲んだってわけ
今でもイカレてる
ずっとイカレたままさ

僕は付き合いのいい方じゃない
案外、慣れ親しんだやり方から離れられないかな?
ラブソングに騙されるほどピュアでもないし
・・・ 耳元で囁くようなラブソングにはね
だけどイカレたままだ
僕は今も君に夢中だよ

明け方の4時
くたびれて、あくびをしながら
僕の人生なんて消えてしまえばいいって思う
心配なんてするもんか
なんで僕がしなくちゃいけない?
どうせいつかはみんな消えてなくなるのさ

僕はいま窓際に座って
外を走る車を眺めてる
ある晴れた日、僕も誰かを傷つけるだろうか
だけど罪に問われたりしないさ
陪審員達だって僕と同じじゃないか
今もイカレてるのさ … イカレてる … イカレてる
みんなずっとイカレてるんだ

America 〜 歌詞和訳 3

"American Tune" と共に, Paul Simon が作った American Anthem, 単純な賛歌では全くないけれど。

歌詞和訳 note のタイトル写真はポール・サイモンの S&G時代, 事実上の1枚目のソロ・アルバムである 1965年リリースの "The Paul Simon Songbook" のカヴァー写真。"America" は 1968年リリースの S&G 4枚目のアルバム "Bookends" に収録されたもので, 当然ながら "The Paul Simon Songbook" には収録されていないけれど, "America" の歌詞の中に登場する Kathy, つまり Paul Simon の当時の恋人 Kathleen Chitty がこの写真で Paul の右側に写っている女性, そこでこの写真を使うことにした。

"America" 歌詞和訳 note, もう1本。

America 〜 from Simon & Garfunkel's fourth studio album "Bookends" released on April 3, 1968 ♫

「僕達、恋人になって結婚しよう
 未来を一つにしてパートナーになろう
 お金なら何とかなるさ
 バッグに少し持ち合わせているんだ」

そして僕らは タバコを一箱と
ミセス・ワグナーのパイを買いました
それから歩き始めたのです
アメリカを探すために

「キャシー」と僕は言いました
僕らはピッツバーグでグレイハウンドに乗っていました
「ミシガンは僕には今では夢のようだよ
 前なら4日もかかったんだ
 サギノウからヒッチハイクをしたらね
 僕はアメリカを探しに来たんだ」

バスの中では二人で笑い合って
乗客の顔を見ながらゲームをしました
彼女がギャバジン・スーツの男は
実はスパイなのよと言うので
僕は言ったんです
「気をつけなよ 彼の蝶ネクタイは本当はカメラなんだ」

「タバコを投げてくれないか
 レインコートに1本残っているはずだから」
「私達、最後の1本を吸ってしまったのよ
 1時間も前にね」

だから僕は窓の外を眺めたんです
彼女は雑誌を読んでいました
外では大地の彼方を月が昇っているところでした

「キャシー、僕はわからなくなってしまったよ」
彼女が眠っているのは知っていました
「僕は空っぽで 苦しくて
 おまけにどうしてなのかもわからないんだ」

ニュージャージー・ターンパイクでは
走る車を数えたりしましたが
彼らもみんな アメリカを探しにやって来たんです
みんなアメリカを探しに来たんです
みんなアメリカを探しに来たんです

America 〜 from Paul Simon's live album "Paul Simon in Concert: Live Rhymin'" released in March 1974 ♫

(audience) "Say a few words!!"

(Paul Simon) "Say a few words.. Well, let's hope that we're.. Let's hope that we, continue to live.."

♫ ♫ ♫

「僕達、恋人になって結婚しよう
 未来を一つにしてパートナーになろう
 お金なら何とかなるさ
 バッグに少し持ち合わせているんだ」

そして僕らは タバコを一箱と
ミセス・ワグナーのパイを買いました
それから歩き始めたのです
アメリカを探すために

「キャシー」と僕は言いました
僕らはピッツバーグでグレイハウンドに乗っていました
「ミシガンは僕には今では夢のようだよ
 前なら4日もかかったんだ
 サギノウからヒッチハイクをしたらね
 僕はアメリカを探しに来たんだ」

バスの中では二人で笑い合って
乗客の顔を見ながらゲームをしました
彼女がギャバジン・スーツの男は
実はスパイなのよと言うので
僕は言ったんです
「気をつけなよ 彼の蝶ネクタイは本当はカメラなんだ」

「タバコを投げてくれないか
 レインコートに1本残っているはずだから」
「私達、最後の1本を吸ってしまったのよ
 1時間も前にね」

だから僕は窓の外を眺めたんです
彼女は雑誌を読んでいました
外では大地の彼方を月が昇っているところでした

「キャシー、僕はわからなくなってしまったよ」
彼女が眠っているのは知っていました
「僕は空っぽで 苦しくて
 おまけにどうしてなのかもわからないんだ」

ニュージャージー・ターンパイクでは
走る車を数えたりしましたが
彼らもみんな アメリカを探しにやって来たんです
みんなアメリカを探しに来たんです
みんなアメリカを探しに来たんです

American Tune 〜 歌詞和訳 4

前章の "America" と共に, Paul Simon が作った American Anthem, 苦い「賛歌」ではあるけれど。

アメリカの歌 〜ピルグリムの船・メイフラワー、植物のメイフラワー、そしてナサニエル・ホーソーン「緋文字」を巡る不思議(?)な展開

Allen Toussaint による「アメリカの歌」カヴァーがまた素晴らしい。

2つの苦いアンセム,「アメリカの歌」と「アメリカ」 ♫

American Tune 〜 from Paul Simon's third solo studio album "There Goes Rhymin' Simon" released on May 5, 1973 ♫ ( ... May, May of Mayflower

何度も何度も間違いを犯し
そして繰り返し混乱の中をやり過ごしてきた
そうなんだ, 見捨てられたと感じることもよくあった
虐げられていると感じたことさえもね
でも大丈夫だよ, 平気なのさ
ただ疲れが骨の隋まで染み込んでるだけなんだ
期待なんかしてないよね, 華やかなに生きて美食家になるだなんて
家からこんなにも遠く離れた場所で
そう, こんなにも遠く離れてしまったんだ

打ちのめされたことがない人なんているだろうか
穏やかな心持ちの友達なんかいないんだ
打ち砕かれたことのない夢なんて知らない
崩れ落ちたことのない夢なんて
でも平気さ, 大丈夫だよ
うまくやって長いこと生きて来れたんだ
それでも, 僕らが旅しているこの道のりを考えるとき
いったい何が間違っていたんだろうって思うのさ
思う他ないのさ, どこで道を誤ったんだろうって

そうして僕は自分が死にゆく夢を見たのさ
そうして僕の魂が不意に空高く舞い上がる夢を見たのさ
魂は僕を見下ろしていたよ, 僕を安心させようと微笑みもしたんだ
そうして僕は僕が空を飛んでいる夢を見たのさ
そうして上空で僕の目ははっきりと捉えたんだ
遠くの海へと去って行く自由の女神を
そうして僕は僕が空を飛んでいる夢を見ていたんだよ

おお, 僕らはメイフラワーと彼らが呼ぶ船に乗って
僕らは月にまで航行した船に乗って
この最も不確かな時代にやって来た
そしてアメリカの歌のメロディーを口ずさむんだ
おお, 大丈夫だよ
平気さ, 大丈夫なんだ
誰だって幸運であり続けるなんてことは出来ないのさ
それでも明日はまたやるべき仕事があるんだね
それで僕は今ただ少し休もうとしてるってわけさ
僕はただ少し休もうとしているだけなんだ

...... ♫ ...... ♫ ...... ♫

American Tune 〜 from Paul Simon's live album "Paul Simon in Concert: Live Rhymin'" released in March 1974 (originally included on his third solo studio album "There Goes Rhymin' Simon" released in May 1973) ♫

何度も何度も間違いを犯し
そして繰り返し混乱の中をやり過ごしてきた
そうなんだ、見捨てられたと感じることもよくあった
虐げられていると感じたことさえもね
でも大丈夫だよ、平気なのさ
ただ疲れが骨の隋まで染み込んでるだけなんだ
期待なんかしてないよね
華やかなに生きて美食家になるだなんて
家からこんなにも遠く離れた場所で
そう、こんなにも遠く離れてしまったんだ

打ちのめされたことがない人なんているだろうか
穏やかな心持ちの友達なんかいないんだ
打ち砕かれたことのない夢なんて知らない
崩れ落ちたことのない夢なんて
でも平気さ、大丈夫だよ
うまくやって長いこと生きて来れたんだ
それでもこの道のりを考えるとき、
つまり僕らが旅しているこの道のりをね
いったい何が間違っていたんだろうって思うのさ
思う他ないのさ、どこで道を誤ったんだろうって

そうして僕は自分が死にゆく夢を見たのさ
そうして僕の魂が不意に空高く舞い上がる夢を見たのさ
魂は僕を見下ろしていたよ
僕を安心させようと微笑みもしたんだ
そうして僕は僕が空を飛んでいる夢を見たのさ
そうして上空で僕の目ははっきりと捉えたんだ
自由の女神をね
遠くの海へと去って行く自由の女神を
そうして僕は僕が空を飛んでいる夢を見ていたんだよ

おお、僕らはメイフラワーと彼らが呼ぶ船に乗って
僕らは月にまで航行した船に乗って
この最も不確かな時代にやって来た
そしてアメリカの歌のメロディーを口ずさむんだ
でも大丈夫だよ
平気さ、大丈夫なんだ
誰だって幸運であり続けるなんてことは出来ないのさ
それでも明日はまたやるべき仕事があるんだね
それで僕は今ただ少し休もうとしてるってわけさ
僕はただ少し休もうとしているだけなんだ

Flowers Never Bend with the Rainfall 〜 歌詞和訳 5

この '公式' 邦題はけっこう良かったと思う, 「雨に負けぬ花」。

Flowers Never Bend with the Rainfall 〜 from Simon & Garfunkel's third studio album "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme" released on October 24, 1966 ♫

眠りの回廊を通り抜け
暗く深い影を通り過ぎて
僕の心は混乱の中を踊り 跳ねる
何が本当のことなのか分からない
感じるものに触れることが出来ない
そして僕は僕の幻想の盾に身を隠す

そうさ僕はずっと望み続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花だって決して折れたりはしないのだ
たとえ雨に打たれても

壁の鏡の中には
暗くてちっぽけな影が映っている
だけどそれが自分だという確信は全くない
僕は光で眼を被われている
神と真理と正義の光で
そして僕は行き先もわからぬまま彷徨うのだ

そうさ僕はずっと望み続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花だって決して折れたりはしないのだ
たとえ雨に打たれても

どうでもいいことじゃないか
キングを演じる為に生まれたのか
それともポーンを演じる為に生まれたのかなんて
喜びと悲しみを隔てるのはか細い線に過ぎないのさ
そうして僕の空想は現実となり
僕は僕の人生を生き 明日に立ち向かわなくてはならない

そうさ僕はずっとずっと信じ続けよう
僕の生命(いのち)は決して終わらない
花は雨に打たれても決して折れない
そうさ雨に負けて折れたりはしないのさ

Duncan 〜 歌詞和訳 6

ポール・サイモンの歌の中には聖書やキリスト教に絡む歌がわりとあるけれど(少なくない, しかし多くもないという程度か; 因みに「アメリカの歌」もアメリカ合州国の歴史と共にキリスト教に絡む), この歌には "聖書"(という言葉)そのものが登場する。歌詞が織り成す物語の中で 書 と が絡んでいて, その点もわりと興味深かったりする。

暑い暑い, HOT な日に書いた歌詞和訳 note ♫

翌日に書いた歌詞和訳 note ♫

Duncan 〜 from Paul Simon's self-titled and second solo studio album released in January 1972 ♫

隣りの部屋のカップルは
賞金でも狙ってるんだろうか
彼ら、オールナイトで延々と続いてるんだ
僕はちょっとでも眠ろうとしてるんだけど
このモーテルの壁はどうにも安っぽくてね
ところでリンカーン・ダンカンというのが僕の名前なんです
それで、これが僕の歌、僕のことを歌った歌なんです

父は漁師で (*1)
母は漁師の女友だちでした
それで、僕は彼らの退屈しのぎの中で生まれたのです
それと、チャウダー(寄せ鍋)の中で
だから僕は盛りの頃、つまり青春とか呼ばれる時期を迎えると
マリタイム (*2) の家を出て
ターンパイク (*3) を通って、目的地に向かったのです
ニューイングランド (*4) に、憧れのニューイングランドに

僕の自信は穴ぼこだらけ
ジーンズの膝にも穴が開いていて
ポケットには1ペニー硬貨すら残っていませんでした
おお、僕はもう子どものように無一文 (*5) だったのです
指輪でもしていればよかったなと思ったほどでした
そうすれば質屋に入れて少ししのげたのに

駐車場で見た若い女性が
群衆に向かって説教をしていました
聖歌を歌い、そして聖書を読み聞かせながら

それで、僕は彼女に言ったんです
僕は自分を見失ったみたいですと
そうしたら彼女は僕に話してくれたんです
聖霊降臨 (*6) についての全てを
僕には彼女が、僕がこれから生き続けるための
道筋のように思えてきたのでした

I know, I know, I know, I know, I know, I know (*9 これは訳しません。)

その同じ日の夜
僕は懐中電灯を片手に彼女のテントをこっそり訪ねました
そうして僕は長い罪なき (*7) 時代、童貞の時代に別れを告げたのです

そうなんです、彼女は僕を森に連れて行きました
何かがやって来るの、そうしたらとても気持ちよくなるのよ
と言いながら
そうして僕は犬のように可愛がってもらったのです、犬のように (*8)

おお、おお、なんて夜だろう
おお、ここは歓喜の庭に違いない
今もあの甘美な思い出は消えないのです

I know, I know, I know, I know, I know, I know ... (*9)

僕はギターを弾いていました
満天の星々を見上げて横たわりながら
ただ神に感謝しながら
僕にこの指を授けてくれたことを
ギターを奏でるこの指を

Duncan 〜 from Paul Simon's live album "Paul Simon in Concert: Live Rhymin'" released in March 1974 ♫

隣りの部屋のカップルは
賞金でも狙ってるんだろうか
彼ら、オールナイトで延々と続いてるんだ
僕はちょっとでも眠ろうとしてるんだけど
このモーテルの壁はどうにも安っぽくてね
ところでリンカーン・ダンカンというのが僕の名前なんです
それで、これが僕の歌、僕のことを歌った歌なんです

父は漁師で
母は漁師の女友だちでした
それで、僕は彼らの退屈しのぎの中で生まれたのです
それと、チャウダー(寄せ鍋)の中で
だから僕は盛りの頃、つまり青春とか呼ばれる時期を迎えると
マリタイム (*1) の家を出て
ターンパイク (*2) を通って、目的地に向かったのです
ニューイングランド (*3) に、憧れのニューイングランドに

僕の自信は穴ぼこだらけ
ジーンズの膝にも穴が開いていて
ポケットには1ペニー硬貨すら残っていませんでした
おお、僕はもう子どものように無一文 (*4) だったのです
指輪でもしていればよかったなと思ったほどでした
そうすれば質屋に入れて少ししのげたのに

駐車場で見た若い女性が
群衆に向かって説教をしていました
聖歌を歌い、そして聖書を読み聞かせながら

それで、僕は彼女に言ったんです
僕は自分を見失ったみたいですと
そうしたら彼女は僕に話してくれたんです
聖霊降臨についての全てを
僕には彼女が、僕がこれから生き続けるための
道筋のように思えてきたのでした

その同じ日の夜
彼女は 懐中電灯を片手に 僕の テントをこっそり訪ねました
そうして僕は長い罪なき (*5) 時代、童貞の時代に別れを告げたのです

<< 上の Shemy, 実はスタジオ・ヴァージョンでは I her >>

彼女は僕を森に連れて行きました
何かがやって来るの、そうしたらとても気持ちよくなるのよ
と言いながら
そうして僕は犬のように可愛がってもらったのです、犬のように (*6)

おお、おお、なんて夜だろう
おお、ここは歓喜の庭に違いない
今もあの甘美な思い出は消えないのです

I know, I know, I know, I know, I know, I know ... (*7)

僕はギターを弾いていました
満天の星々を見上げて横たわりながら
ただ神に感謝しながら
僕にこの指を授けてくれたことを
ギターを奏でるこの指を

...........................................

注釈は上掲 notes の中で。

50 Ways to Leave Your Lover 〜 歌詞和訳 7

I met my old lover ♫ で始まる "Still Crazy After All These Years" が収録された同名タイトルのアルバムに, この「恋人と別れる50の方法」が入っている辺り, けっこう面白い組み合わせではある。

カヴァー・ヴァージョン付きの歌詞和訳 note ♫ 

50 Ways to Leave Your Lover 〜 from Paul Simon's fourth solo studio album "Still Crazy After All These Years" released on October 25, 1975 ♫

問題は全部あなたの頭の中にあるのよ
彼女は僕にこう言ったんだ
論理的に考えれば簡単なことよ
私はもがき苦しんでるあなたを助けたいの
自由になれるようにね
恋人と別れる方法なんて 50もあるに違いないんだから

彼女はこう言ったよ
おせっかいするなんて私の柄じゃないし、
私の気持ちが無意味になったり誤解されるのも嫌だわ
野暮なのを承知で繰り返すけど
恋人と別れる方法なんて 50もあるに違いないのよ
50も方法があるのにって言ってるの

こっそり脱け出すだけよ、ジャック
新しい計画を立てるの、スタン
遠慮しなくてもいいのよ、ロイ
ただ自由になるだけなのよ
バスに飛び乗るの、ガス
そんなに話し合う必要なんてないの
鍵なんて置いていけばいいのよ、リー
そうすれば自由になれるの

さぁこっそり脱け出すのよ、ジャック
次のプランを立てて、スタン
遠慮なんてしないで、ロイ
私の話を聞けばいいの
バスに飛び乗って、ガス
そんなに話し合っても無駄よ
鍵なんて置いていくの、リー
そうすれば自由になれるんだから

彼女は話し続けたんだ
あなたがそんなに苦しむのは見ていられないわ
私に何かできることがあればいいのにって思うの
あなたの顔に微笑みが戻るようにね
僕はそこで応えたんだ
ありがとう
じゃぁ教えてくれないかい
その 50の方法ってのを

彼女はこう言ったんだ
それって今夜一晩二人で一緒に寝て..
そうね、寝かせて考えてみたらどうかしら
朝になったらきっと
あなたは答えに近づいていると思うの
そう言って彼女は僕にキスして
それで僕は彼女の言う通りだって悟ったんだ
恋人と別れる方法なんて 50もあるに違いない
方法は 50もあるってわけさ

こっそり脱け出すだけよ、ジャック
新しい計画を立てるの、スタン
遠慮しなくてもいいのよ、ロイ
ただ自由になるだけなのよ
バスに飛び乗るの、ガス
そんなに話し合う必要なんてないの
鍵なんて置いていけばいいのよ、リー
そうすれば自由になれるの

こっそり脱け出すのよ、ジャック
次のプランを立てて、スタン
遠慮なんてしないで、ロイ
私の話を聞けばいいの
バスに飛び乗って、ガス
そんなに話し合っても無駄よ
鍵なんて置いていくの、リー
そうすれば自由になれるんだから

Run That Body Down 〜 歌詞和訳 8

邦題「お体を大切に」はわるくなかったと思うけれど, 原題のニュアンスは「へとへとになって」に近いかな。

Run That Body Down 〜 from Paul Simon's self-titled and second solo studio album released in January 1972 ♫

昨日医者に行ってみたら
女医が言うには大丈夫そうだって
彼女はこう言ったよ
「ポール、よく考えてみて
 これからどのくらい体を
 こき使えると思ってるの?」
「これまでやってきたことを
 あとどのくらい繰り返せると思うの?」
「誰を騙してるつもりなの?」

僕は家に帰ってきて床に着いたんだ
頭を休ませていたのさ
妻が入ってきてこう言ったよ
「どうしたの、どこか具合が悪いの?」
それで僕はどこが悪いか話してこう言ったのさ
「ペグ、よく考えてごらん
 これからどのくらい体を
 こき使えると思ってるの?」
「これまでやってきたことを
 あとどのくらい繰り返せると思うんだい?」
「誰かを騙してるつもりなのかい?」

若い人もよく考えた方がいいよ
これからどのくらい体を
こき使えると思うかってさ
これまでやってきたことを
あとどのくらい繰り返せると思ってるのかな?
それとも誰かを騙してるつもりかい?

Paranoia Blues 〜 歌詞和訳 9

パラノとかスキゾとか, ちと懐かしいフレーズを入れ込んだ歌詞和訳 note ♫

Paranoia Blues 〜 from Paul Simon's self-titled and second solo studio album released in January 1972 ♫

歌詞和訳の中の "(刺そう *上にメモ)" の メモ は上掲 note の中。

..............................

僕にもいわゆる友達ってのは何人かいるんです
彼らは面と向き合えば僕に笑いかけてきます
だけど僕が背中を見せたものなら
平気で僕をだまそう(刺そう *上にメモ)とする奴らなんです
そうさ、そういう奴らなんです
オーノーノー、オーノーノー
僕が知りたいのはたった一つだけ
君はどっちの味方なの?

ジョン・F・ケネディ空港に着くと
僕の心臓はバクバクし始めます
何故って僕はわかってるからです
あの税関の男、奴は僕を
あそこの小さな部屋に連れて行くんです
オーノーノー、オーノーノー
僕が知りたいのはたった一つだけ
君はどっちの味方なの?
君は誰の味方なの?

僕はパラノイア・ブルーズ, 偏執病ブルーズに取り付かれてしまいました
ニューヨーク・シティーをうろついている間にです
ここでは人は5セント貨のために君を殴り飛ばすし
もう10セントのためなら刺し殺しもするんです

とにかく君がどうやったって
ニューヨーク・シティーでは失うことばかり
オー、僕はきわどいところで逃げ出したんです
そう、でなけりゃ危ないところでした

前にチャイナ・タウンに行った時なんて
僕はリンさんのチャーハンを食べてたんだけど
たまたまちょっと目を離して
さぁまた食べようと思ったらびっくり
僕のチャーハンはもう消えていたんです
オーノーノー、オーノーノー
僕が知りたいのはたった一つだけ
君はどっちの味方なの? 誰の味方なの?

僕が知りたいのはたった一つだけなんです
誰の味方? 誰の味方? 誰の味方?

El Condor Pasa (If I Could) 〜 歌詞和訳 10

筆者(拙者)曰く「人生のポケット」初期に歌詞を訳した歌, その歌詞と和訳。 

El Condor Pasa (If I Could) 〜 from Simon & Garfunkel's fifth and final studio album "Bridge over Troubled Water" released on January 26, 1970 ♫ 

上掲 note(2020年10月9日付)から引用,

以下の *1 と *4 については、具体的には歌詞の後の注記に書いた通りで、当時の気持ちが入った意訳的なところ。*3 については、当時の訳としても、"street" は「道」でなく、単純に、本来の英語の意味である「街路」といった日本語にした方がよかったと思っている。ただ、今日時点でも、あえて変えないでおこうと思う。

かたつむりになるよりは雀になるほうがいい
そうさ
もしなるのなら
僕はそのほうがいいよ

釘になるよりはハンマーになるほうがいい
そうさ
他になるものがないのなら
僕はそのほうがいいよ

遠くへ、そうだ、舟を漕いで遠くへ行きたいな
この辺りからいなくなってしまった白鳥のようにね (*1)
人は地面に縛りつけられて
これ以上ない悲しげな声で何かを語ろうとしている
たまらなく哀しい声で (*2)

道になるよりは森になるほうがいい (*3)
そうさ
もしなるのなら
僕はそのほうがいいよ

僕は足下に大地を感じていたいんだ
そうさ
他に何もできなくとも (*4)
僕はそうしていたいのさ

...................................................

注記に関しては全て 上掲 note(2020年10月9日付)に。

A Hazy Shade of Winter 〜 歌詞和訳 11

「冬の散歩道」は歴史ある, 由緒ある(笑)邦題だけど, 原題の意とはだいぶ違う。しかしまぁ, 慣れ親しんできた邦題ではある。"ガールズ・バンド" The Bangles のカヴァー・ヴァージョンも載せた歌詞和訳 note ♫

A Hazy Shade of Winter 〜 released as a single by Simon & Garfunkel on October 22, 1966, and later included on their fourth studio album "Bookends" released on April 3, 1968 ♫

上掲 note から引用, 

筆者による和訳歌詞は所々若干の意訳(最後の括弧内は元の歌詞にない、和訳詞あるいは詩的には余計な付け足し)。

時よ、時よ、時よ
僕はどうなってしまったのか思い知る
自分の可能性を探し廻っていたのに
僕はどうやら気難しい奴だったのさ
辺りを見てみれば
木の葉は茶色に
そして空は冬の霞みがかった陰に
蔽われている

救世軍の楽隊を聴いてみようぜ
河岸をマーチする救世軍のバンド …
きっとうまくいくさ
君が考えてたよりうまくいくよ

さぁ杯を持っていきなよ
辺りを見渡せば
木の葉は茶色に
そして空は冬の霞みがかった陰に
蔽われているけれど

希望を持ち続けることだ、友よ
言うのは易しいことと思うだろう
消えてしまったように見えたとしても
ただ無邪気に思い込むのさ
もう一度築くことが出来るはずだってね

見てごらん
草は生い茂り
田畑には実りの色が
そして人生の春がやってくるのさ

季節は景色とともに移ろい
時をタペストリーに織り込んでいく
立ちどまって僕を思い出してくれるかい?
気が向いた時でいいんだよ
おかしなことに僕の記憶はとびとびになる
未発表の詩の原稿に目を通していると …

ライム入りのウォッカを飲みながら
僕は辺りを見まわす
木の葉は茶色になり
そして今は 空は冬の霞みがかった陰に
蔽われている

辺りを見渡せば
木の葉は茶色に変わり
地面にはところどころに積もる雪

辺りを見渡せば
木の葉は茶色に変わり
大地には雪が斑模様を作ってる

辺りを見渡せば
木の葉は茶色に変わり
地面にはところどころに積もる雪

(いつか冬は終わり春が来る)

Blessed 〜 歌詞和訳 12

ポール・サイモンが作った, キリスト教もしくは聖書絡みの歌の一つ。

上掲 note 第1章 「柔和な人々は何も受け継いでいない」, ポール・サイモン自身がこの歌について語っている面白いクリップを見つけた 〜 Simon & Garfunkel's "Blessed" (歌詞和訳) から, 以下に転載。

"Blessed" は1966年1月17日リリースのサイモンとガーファンクルの 2枚目のアルバム "Sounds of Silence" に収められた曲で、彼らの他のほとんどの曲と同様、ポール・サイモンが作詞作曲したもの。

以下のヴィデオ・クリップは、"Simon & Garfunkel Granada Studios Manchester 1967 Blessed" というタイトル。

筆者は Wikipedia で Granada Studios を調べてみて分かったのだが、このヴィデオ・クリップは、イギリスのマンチェスターにある Granada Studios という名の、かつてイギリス北西部の地域のテレビ局(会社) Granada Television (後に ITV Granada と改名) の本部があってテレビ番組用の生放送および録音放送用スタジオを備えていた場所での、1967年のライヴ映像、ということになる。

当時25, 6歳のポール・サイモンが、"Blessed" をサイモンとガーファンクルとして歌う前に聴衆に向かって喋っているのだが、これがけっこう面白い。

ゆっくり喋っているので聴き取りやすいけれど、筆者が綺麗に聴き取ったのではなく、以下は YouTube 上のこのヴィデオ・クリップのコメント欄に載っていたこの時のポール・サイモンの語りの一字一句、その転載(抜けてる語があるようで少しだけ補った)。

There's a controversy raging in the States now.....or I suppose throughout the world …. but, anyway on the front of a magazine cover somebody wrote "Is God dead?", you see....then everybody debated the subject …. particularly those people who sort of work for God, like in the church....and, I was at a sermon that was given, church in New York in the Village....a remarkable sermon 'cause it didn't say anything....see..and because, the meek are inheriting nothing and that's, that's the basis of this song called "Blessed".

"sermon" (*) というのはキリスト教の教会で行なう説教なのだが、ポールがここで語っている教会がカソリックだったとは思えず(そもそもアメリカ合州国ではプロテスタントの方が圧倒的に多い)、説教はつまり、牧師が行なった説教ということだろう。

で、ポールは、その説教は何も語らなかった、何も語らなかったのと同じだ、みたいなことをここで言っていて、そう言った後、続けて、"the meek are inheriting nothing", 「(結局、)柔和な人々は何も受け継いでいないのさ」と自身で語っている。

ポールによれば、だからこの歌を作ったのさ(意訳)、ということらしい。

* ついでに書くと、皮肉だが、英語の "sermon" には「長くて退屈な話」「小言」とかいった意味もある。

There's a controversy raging in the States now.....or I suppose throughout the world …. but, anyway on the front of a magazine cover somebody wrote "Is God dead?", you see....then everybody debated the subject …. particularly those people who sort of work for God, like in the church....and, I was at a sermon that was given, church in New York in the Village....a remarkable sermon 'cause it didn't say anything....see..and because, the meek are inheriting nothing and that's, that's the basis of this song called "Blessed".

訳した当時の気分が背景にある、意訳混じりのもの。

柔和で辛抱強い人々に幸いあれ
何故なら彼らはその権利を受け継ぐであろう
血を流す子羊に幸いあれ
抑圧され、つばをかけられ、裏切られた人々に幸いあれ
神よ 何故僕を見放したのか?
僕には行く当てもなく
昨夜もソーホー街をうろついたりしていました
だけど僕には何の意味もないことなんです

大地と王国に幸いあれ
ソウル(魂)を持つ人々に幸いあれ
興奮剤を飲む人々、マリファナを売る人々、
幻想の世界の住人達に幸いあれ
神よ 何故僕を見放したのか?
だけど僕の言葉はぽたぽたとしたたり落ちていく
僕が癒そうともしない傷口のようにね

ステンドグラスや窓ガラスに幸いあれ
僕を神経質にする教会の奉仕に幸いあれ
小銭を騙し取る人々、安っぽい娼婦達、
いかした美女達に幸いあれ
だけど神よ 何故僕を見放したのか?
僕はずっと自分自身の庭を手入れしてきました
あまりにも時間をかけ過ぎたのです

Blessed 〜 from Simon & Garfunkel's second studio album "Sounds of Silence" released on January 17, 1966 ♫

訳した当時の気分が背景にある、意訳混じりのもの。

柔和で辛抱強い人々に幸いあれ
何故なら彼らはその権利を受け継ぐであろう
血を流す子羊に幸いあれ
抑圧され、つばをかけられ、裏切られた人々に幸いあれ
神よ 何故僕を見放したのか?
僕には行く当てもなく
昨夜もソーホー街をうろついたりしていました
だけど僕には何の意味もないことなんです

大地と王国に幸いあれ
ソウル(魂)を持つ人々に幸いあれ
興奮剤を飲む人々、マリファナを売る人々、
幻想の世界の住人達に幸いあれ
神よ 何故僕を見放したのか?
だけど僕の言葉はぽたぽたとしたたり落ちていく
僕が癒そうともしない傷口のようにね

ステンドグラスや窓ガラスに幸いあれ
僕を神経質にする教会の奉仕に幸いあれ
小銭を騙し取る人々、安っぽい娼婦達、
いかした美女達に幸いあれ
だけど神よ 何故僕を見放したのか?
僕はずっと自分自身の庭を手入れしてきました
あまりにも時間をかけ過ぎたのです

Homeward Bound 〜 歌詞和訳 13

"Kathy's Song" や "America" だけでなく, この歌の作詞作曲にもキャシー, つまり Kathleen Chitty の存在があったという再発見。

Homeward Bound 〜 from Simon & Garfunkel's third studio album "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme" released on October 24, 1966 ♫

僕は駅舎で座っている
目的地への切符なら買った
一夜限りのライブを転々とする旅さ
スーツケースとギターを手に持ってね
どこに行ってもきれいに揃ってるよ
詩人を兼ねたワン・マン・バンド用にね
家路に・・・
今 家に向かっているのならいいのに
僕の想いが宿る家
愛する音楽が流れる家
愛する人が待っている家
静かに 僕を

毎日が果てしない川の流れのよう
タバコと雑誌でやり過ごす
どの街も僕には同じに見えるよ
映画館や工場
そして見知らぬ人々の顔
何を見ても僕の想いが向かうのは
家路なのさ
今 本当に家路にあるのならいいのに
僕の想いが宿る家
愛する音楽が流れる家
愛する人が待っている家
静かに 僕を

今夜また 僕は自分の歌を歌い
堂々とやって そして取り繕う
だけど僕のどの言葉も自分に帰ってくる
月並みな陰影を帯びながら
ハーモニーが持つ虚しさのように
だから 慰めてくれる誰かが必要なんだ
家路・・・
今 家に向かっているのならいいのに
我が家 そこには僕の想いが宿り
我が家 そこでは愛する音楽が流れ
我が家 そうさ 愛する人が待っている
静かに 僕を
静かに 僕を

The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) 〜 歌詞和訳 14

「59番街橋の歌 (フィーリン・グルーヴィー)」の歌詞和訳 note ♫

The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) 〜 from Simon & Garfunkel's third studio album "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme" released on October 24, 1966 ♫

上掲 note(2021年1月21日付)から引用,

そういうわけで 、本当はガキの頃に馴染んで、且つ子供心にでも気に入ってたフレーズ,「人生? 愛してる」は今も好きで、今この歌の歌詞を訳すなら、これはガキの頃に持ってた LP の歌詞カードに確かこんなふうな和訳フレーズが載っていて、ここは今でも気に入ってるからってことわり書きして「人生? 愛してる」というフレーズを拝借すると思うんだけど、まぁ 18年以上前の「人生のポケット」初期のトンネルの中の暗闇を歩くような毎日だったあの時は、たぶん自分を奮い立たせたかったんだと思う、今ならやっぱ小っ恥ずかしいかなとか思うような「生きてるって最高さ」という和訳にしていた。

自分の趣味シュミ「歌詞和訳」作業による和訳歌詞の中身は自分の人生の記録みたいなところがあるから、今日のこの note 掲載に当たっても、まぁ少なくともこの歌に関してはあの時のママで掲載しておこうと思う。

スピード落とせよ 急ぎ過ぎだぜ
朝の気分を楽しまなきゃ
敷石を踏みつけながら
楽しいことを探すんだ
そうすりゃいかした気分になれるよ
全くいかした気分さ

街灯さんよ元気かい 何かニュースはあるかな
僕は君の足下に花が咲いているのを見に来たんだ
何か韻を踏んでみせてよ
ハハハ
本当にいい気分さ
全くいかした気分さ

気乗りもしない義理はないし 約束なんか何もないのさ
僕はふらっとまどろんじゃって すぐに眠れそうだよ
朝のひとときさんよ その花びらをみんな僕に降りかけてくれないか
生きてるって最高さ
全くいかした気分だよ

A Most Peculiar Man 〜 歌詞和訳 15

2021年8月6日付 note 「歌詞和訳 "A Most Peculiar Man" (Paul Simon) 〜 しかし最後のシンプルな否定疑問文が意外と難解なのかもという気がしてきた..」

A Most Peculiar Man 〜 from Paul Simon's first solo studio album "The Paul Simon Songbook" released in August 1965 ♫

「彼はとても変わった男だった」
リアダン夫人がそう言ってるんだ
彼女なら知ってるはずさ
彼女は彼の上の階に住んでたんだから
その彼女が言ったんだ, 彼はとても変わった男だったって

彼はとても変わった男だった
彼は独りきりで暮らしていた
家に籠もり
部屋に籠もり
彼自身の中に閉じ籠もっていた
とても変わった男だったのさ

彼には友達がいなかった
彼は滅多に喋らなかった
周囲の人も彼に決して話しかけなかった
なぜって彼は心を開かなかったし, それを気にもかけなかったし
彼はとにかく周りの人とは違っていたんだ
オーノー, 彼はとても変わった男だったんだよ

彼は先週の土曜, 死んでしまった
ガスの栓を開け
眠りに就き
窓は閉めたままで
だから彼は目覚めることもなかった
彼の静寂の世界で
そして彼のちっぽけな部屋で
リアドン夫人が言うには, 何処かに彼の兄弟がいるはずだって
直ぐに彼の死を知らせなくちゃ

みんな言っていたよ
「なんてことだ, 彼が死んだなんて,
でも彼ってとても変わった男じゃなかったのかな?」

....................................

彼は本当は「とても変わった男」なんかじゃなかった
彼は実は「とても変わった男」などではないのだ

A Most Peculiar Man 〜 from Simon & Garfunkel's second studio album "Sounds of Silence" released on January 17, 1966 ♫

「彼はとても変わった男だった」
リアダン夫人がそう言ってるんだ
彼女なら知ってるはずさ
彼女は彼の上の階に住んでたんだから
その彼女が言ったんだ, 彼はとても変わった男だったって

彼はとても変わった男だった
彼は独りきりで暮らしていた
家に籠もり
部屋に籠もり
彼自身の中に閉じ籠もっていた
とても変わった男だったのさ

彼には友達がいなかった
彼は滅多に喋らなかった
周囲の人も彼に決して話しかけなかった
なぜって彼は心を開かなかったし, それを気にもかけなかったし
彼はとにかく周りの人とは違っていたんだ
オーノー, 彼はとても変わった男だったんだよ

彼は先週の土曜, 死んでしまった
ガスの栓を開け
眠りに就き
窓は閉めたままで
だから彼は目覚めることもなかった
彼の静寂の世界で
そして彼のちっぽけな部屋で
リアドン夫人が言うには, 何処かに彼の兄弟がいるはずだって
直ぐに彼の死を知らせなくちゃ

みんな言っていたよ
「なんてことだ, 彼が死んだなんて,
でも彼ってとても変わった男じゃなかったのかな?」

....................................

彼は本当は「とても変わった男」なんかじゃなかった
彼は実は「とても変わった男」などではないのだ

Something So Right 〜 歌詞和訳 16

1973年リリース, 3枚目ソロ・アルバム "There Goes Rhymin' Simon", 邦題「ひとりごと」に収録されていた, Something So Right, 邦題「何かがうまく」。Annie Lennox が 1995年に「うまく」カヴァーしたけれど, それは本章の最後。

Something So Right 〜 from Paul Simon's third solo studio album "There Goes Rhymin' Simon" released on May 5, 1973 ♫

熱を出すと 君は冷たい水を持って来てくれたよね
君の瞳には愛の光が輝いていたよ
君が落ち着かせてくれるまで, 僕はうなされていた
少し時間はかかったけれど君のお陰で楽になったよ

何かがうまくいかないとき
僕はすぐそれを認めるんだ
僕はすぐにそれを認めるのさ
だけど確信するのは最後の最後なんだ
何かがうまくいってる場合はね
おお, まるで自分を失うみたい
混乱しそうになるんだよ
それって珍しいことだからね
おお, 何かがすごくうまくいくってことに馴染めないんだ
すごくうまくいくってことにね

中国では壁を築いたんだってね, 千マイルもの長さの
よそ者が入ってこないように, 頑丈な壁にしたんだ
それで僕は自分の周りに壁を作ったんだ, 見えない壁をね
僕に近づくには少し時間がかかるってわけさ

何かがうまくいかないとき
僕はすぐそれを認めるんだ
僕はすぐにそれを認めるのさ
だけど確信するのは最後の最後なんだ,
何かがうまくいってる場合はね
そうさ, まるで自分を失うみたい
混乱しそうになるんだよ
それって普通なことじゃないからさ
誓って言うけど
何かがすごくうまくいくってことに僕は馴染めないんだ
すごくうまくいくってことにね

愛してるって言葉を絶対言わない人っているね
気持ちをはっきり表わすのは流儀じゃないってわけさ
愛してるって言葉を絶対言わない人っているよね
でも子供みたいに, 自分には言ってほしいって思ってるのさ

何かがうまくいかないとき
僕はすぐそれを認めるんだ
僕はすぐにそれを認めるのさ
だけど確信するのは最後の最後なんだ,
何かがうまくいってる場合はね
そうさ, まるで自分を失うみたい
混乱しそうになるんだよ
それって普通なことじゃないからさ
誓って言うよ, 何かがすごくうまくいくってことには馴染めないのさ
すごくうまくいくなんて
おお.. すごくうまくなんて

....................................

* Annie Lennox によるカヴァーも良かった(1995年)。

Take Me to the Mardi Gras 〜 歌詞和訳 17

邦題「夢のマルディ・グラ」, 歌詞和訳 note ♫

Take Me to the Mardi Gras 〜 from Paul Simon's third solo studio album "There Goes Rhymin' Simon" released on May 5, 1973 ♫

不思議なもので以下の 2つ、音源は同じなのに、別のイメージが付いていると音楽から受け取る印象もやや変わってくる。イメージを眺めながら聴いたらということだし、それに「やや」だけど(上のはアルバム・カヴァーの一部)。

さぁ僕をマルディグラに連れてって
みんなが歌って楽器を鳴らして
イカしたダンスが楽しめて
通りには音楽が溢れているんだ
夜も昼もね

さぁ早く, マルディグラに連れてってよ
僕の夢の街なんだ
法律だって思いのままだし
それに夏の服を着てられるんだぜ
ニューオーリンズだからさ

僕は悩みや煩わしさから解放されて
ミシシッピの川岸で頭を休めるんだ
星を鏤めた(ちりばめた)冠を被れば
それ以上望むものなんてないよ

心の重荷はマルディグラに持っていきなよ
嫌なことなんか音楽が洗い流してくれるさ
道で見知らぬ人たちとパーティを楽しめるし
ジェリィロールのビートにだって乗れるんだぜ(*1)

....................................

*1 これはダブル・ミーミングかなと思う。というか、スラングからすれば、元々の歌詞はここで要するにセックスのことを言っているのかもしれない。"jingle" は音楽好きならテレビやラジオで流れるCMソングとかラジオなどの隙間の時間に流れる短い曲を思い起こしたりすると思うけど、名詞なら他に「チリンチリンと鳴る音」とか、あるいは「電話」、さらに俗語で「お金」なんて意味があるらしい。しかしここでは動詞。動詞の "jingle" は自動詞として「チリンチリンと鳴る」(金属音)の他に、俗語で「性的に興奮させる」という意味がある。そして、"Jelly Roll", これにはあのロール・ケーキ(の一種)の他に、俗語として上述の "jingle" の俗語の意味に対応する「そのもの」ズバリの意味がある。辞書によっては出てないかなと思うけれど、例えば日本の国宝級ブルーズバンド「憂歌団」のデビューアルバムに収められていた「ジェリー・ロール・ベイカー・ブルース」、あの「ジェリー・ロール・ベイカー」は娼婦を意味していたわけで(ブルーズ好きの多くは知ってると思うけど)。

Kodachrome 〜 歌詞和訳 18

前章に載せた邦題「夢のマルディ・グラ」や前々章の邦題「何かがうまく」と同じく, 1973年リリース, 3枚目のソロ・アルバム "There Goes Rhymin' Simon" に収録, 同アルバムのオープニングを飾った, 超絶ゴキゲンなポップ・チューンの歌詞和訳 note ♫ 日本でのライヴで, ポール・サイモンは日本のカメラメーカー Nikon をスタジオ・ヴァージョンでのアメリカ式発音「ナイコン」の代わりに日本語オリジナルの「ニコン」の発音で歌っていて(最初「ナイコン」, 2回目に「ニコン」), それは今日のこの note の遥か上の方にある第2章にリンクを貼った note「ポール・サイモンの東京ドーム・ライヴを妻と観た 1991年10月12日 〜 というわけで 30周年」にて ... あ, でもこの歌詞和訳 note の中でも紹介してた ♫ 

Kodachrome 〜 the opening track from Paul Simon's third solo studio album "There Goes Rhymin' Simon" released on May 5, 1973 ♫

高校で習ったガラクタの全てを思い起こしてたんだけど
驚きだね、僕はいま何だってじっくり考えられるんだから
まぁそもそも学校の勉強なんか出来なくたって困ったことないし
ほら、壁の落書きだって読めるんだぜ

コダクローム
イカした明るい色をくれるし
夏の緑だって分けてくれる
世界中が青空だって思わせてくれるほどさ、だろ?
それにナイコン(ニコン)のカメラだって手に入れたんだ
だったら写真撮るのは楽しくてたまらなくなるよね
だからママお願いだよ、僕のコダクロームを取り上げないで(*a)

独身時代に知り合った女の子みんなの写真を撮っていて(*b)
一晩のうちにまとめて持ってきたとするよ
でもそれって僕の甘美な想像にはかないっこないんだよ
白黒写真じゃ全てがつまらなく見えてしまうんだから

コダクローム
イカした明るい色をくれるし
夏の緑だって分けてくれる
世界中が青空だって思わせてくれるほどさ、だろ?
それにナイコン(ニコン)のカメラだって手に入れたんだ
だったら写真撮るのは楽しくてたまらなくなるよね
だからママお願いだよ、僕のコダクロームを取り上げないで

コダクロームを取り上げないで
コダクロームを取り上げないで
コダクロームを取り上げないで

コダクロームを取らないで
コダクロームを取らないで
コダクロームを取り上げないで

コダクロームを取らないで
僕を放っておいて
コダクロームを取り上げないで
コダクロームを取らないで
コダクロームを取り上げないで

................................................................

*a "mama" は普通に「母さん」の意味の「ママ」なんだろうか。それがちょっと分からない感じも。筆者は自身の母親を「ママ」と呼ぶことなどなく日本語で「母さん」とか「お袋」としか呼ばないが、それはともかく、アメリカでも夫婦の子どもが小さいうちは子どもの前では夫が妻を「ママ」と呼ぶ時もあるにはあるわけで。やっぱ、「母さん」の「ママ」なのかな。しかし歌詞の中で "If you took all the girls I knew when I was single .." なんてくだりもあるもんだから、この歌の中の "mama" って何なんだろうという気がしないでもない。

*b "If you took all the girls I knew when I was single" の "girls I knew" は「知り合った女の子」にしたけれど、「つき合った女の子」という日本語にした方が面白い、もしくは楽しい感じはする。英語の "knew" でもそこまで含みが持たされる場合があるのではと思うんだけど、実際のところどうなのかな。

One Man's Ceiling Is Another Man's Floor 〜 歌詞和訳 19

1973年リリース "There Goes Rhymin' Simon" 収録曲。

本 note の前説部分に加筆した通り, 本章は 2022年6月11日に加えたもの。該当 note へのリンクと歌, 歌詞と和訳は以下の通り(歌については最初に載せたクリップは YouTube の Music Premium Member でないと聴けないもの, 2番目に載せるものがいずれ YouTube 上から消えるかもしれないので念のため)。

ここには恨み辛みや悪感情が澱んでる
ここで話されている幾つかの言葉のことだよ
気分悪くてうんざりするけど, それだけじゃないんだぜ
紫色に染まった鼻血面
紫色に染まった血塗れの服
そいつがロビーの床をめちゃくちゃにしていたのさ

アパートではこれが当たり前のこと
だからアパートに住む愚かな連中は

覚えておくことだ, お前らの部屋の天井は他人にとって床だってことをね
お前らの天井は他人の床なんだぜ

奇妙なことが繰り返し起きて
何人かの人間が行ったり来たり (*1)
エレベーターの係員はもう働かないとか
廊下からバカ騒ぎの声が聞こえてきて (*2)
誰かが倒れた音が聞こえたような気がした (*3)
だけど俺はドアを決して開けなかった

アパートではそれが分別ってもの (*4)
それが アパートの家賃みたいなものさ

覚えておくことだ, お前の部屋の天井は他人にとって床だってことをね
言っておくが, お前の天井は他人の床なんだぜ

俺のアパートの建物の裏には路地があって
そこには人間たちが恥を晒して集まったりする
俺は 俺の飼い犬を連れて歩いていた
煙霧で真っ暗になった夜の路地をね (*5)
そのとき 誰かが俺の名前を呼んだような気がしたよ

ああ...
忘れないことだ, 俺の天井は他人の床だってことを
くそっ
天井は他人の床なんだぜ

................................................................

*1 come and gone だけど, 日本語では「行ったり来たり」の順で。

*2 racket には, テニスやバドミントンのラケット以外に, 「バカ騒ぎ」「大騒ぎ」「騒音」といった意味もある。

*3 fall は call にも聞こえるが, 一応 Paul Simon の Official Website で確認したら fall になっていた。call だったら 叫び声の意になるから, call でも文脈上通る。

*4 sense には「正気」「平常心」「分別」といった意味もあって, どれも和訳に使えそうだが, ここでは「分別」を使ってみた。

*5 smog は「スモッグ」だけど, カタカナ書きするとつい「光化学スモッグ」を思い出してしまうので, ここではあえて漢字で「煙霧」。日本語の「煙霧」の意味は文字通り「煙と霧」, もしくは「靄(もや)や霞(かすみ)」。

The Dangling Conversation 〜 歌詞和訳 20

本 note の前説部分に加筆した通り, この歌の歌詞は 2022年6月16日に和訳し, 同日 note にアップした。本章も同じ日 2022年6月16日に加えたもの。

Simon & Garfunkel が 1966年10月24日にリリースした 3枚目のアルバム "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme", その LPレコードの B面 1曲目に収録されていた曲。該当 note へのリンクと歌, 歌詞と和訳は以下の通り。

それは水彩で描かれた静物画
たった今, 夕方近くの
レースのカーテンを通して陽が差し込み
影が部屋を洗い流し
僕らは座ってコーヒーを飲んでいる
お互いの無関心の中に横たわり
海岸に打ち上げられた貝殻のように
海が唸り声を上げるのを聞くことができる
宙ぶらりんの会話の中で
うわべだけのため息がもれ
僕らの人生に境界線が引かれる

君はエミリー・ディキンソンを読み
僕はロバート・フロストを読んで
二人は栞を挟んだ読みかけの頁に目を落とす
それは僕らが失ったものを測る物差し
出来の悪い詩のように
僕らはそれぞれリズムが取れない詩の一節
韻を踏めない対句
切り分けられた時と
宙ぶらりんの会話の中で
うわべだけのため息がもれ
僕らの人生に境界線が引かれる

確かに僕らは大事なことを話してはいる
語られなければならない言葉で
「解析することは価値を持ち得るだろうか」
「戯曲は本当に死んでしまったのか」
そしていつの間にか僕らの部屋は色を失い
僕はただ君の影にキスをする
もはや君の手さえ感じとることができない
いま君はまるで見知らぬ人であるかのよう
宙ぶらりんの会話の中で途方に暮れ
うわべだけのため息が
僕らの人生を分け隔てる

...... ♫ ♫ ♫ ......

Gone at Last 〜 歌詞和訳 21

本 note の前説部分に加筆した通り, この歌の歌詞は 2022年6月11日に和訳し, 同日 note にアップした。本章も同じ日 2022年6月11日に加えたもの。

1975年リリース "Still Crazy After All These Years", その LP の B 面の最初の曲。該当 note へのリンクと歌, 歌詞と和訳は以下の通り。

ラジオで聴いてみよう!

真っ暗な夜, 路面は凍結し
雪が降り続け, 吹き溜まりも高くなっていた
俺は長旅に疲れ
しばらく休憩するために車を停めたんだ

トラックストップで腰を下ろし
俺は自分の過去を振り返っていた
長いあいだ 不幸が続いていたんだ
だけどそれももう終わるはずだ, そう願いたいよ

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わる
長いあいだ 不運続きだったけど
でも頼むぜ, もう終わりだろ

これでもばかじゃないわ, わりと考えて生きてきたの
そんなに簡単に落ちたりしないわ
だけど彼って本当に落ち込んでるように見えたの
だから 気の毒に思ったのよ

今ちょっと甘い気分かな.. ねえ 一体どうしたの?
どうしてそんなに落ち込んでるのか教えてよ
私だって長いあいだ 不幸続きだったのよ
でも祈ってる, もう終わるはずだってね

ようやく終わる, ついに終わるんだわ
ようやく終わる, ついに終わるんだわ
長いあいだ 不幸続きだったけど
でもお願い, それももう終わりよね

たまにあるんだね, どこからともなく
思いがけず, 何の備えもしてないのに
誰かがやってきて 気持ちを高めてくれる
それで 心の重荷を分かち合うようになるんだって

そうね そう思うわ, もしあなたに会ってなければ
私ってずっと落ち込んでいたのかも
長いあいだ 不幸続きだったけど
でもお願い, それももう終わりよね

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わる
長いあいだ 不運続きだったけど
でも頼むぜ, もう終わりだろ

ようやく終わる, ついに終わる
ようやく終わる, ついに終わるんだね
長いあいだ 不幸続きだったけど
それももう終わり, そう, きっと終わりね..

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Leaves That Are Green 〜 歌詞和訳 22

本 note の前説部分に加筆した通り, この歌の歌詞は 2024年11月5日に和訳し, 同日 note にアップした。本章も同じ日 2024年11月5日に加えたもの。

該当 note へのリンクと歌, 歌詞と和訳は以下の通り。

"Leaves That Are Green" from Paul Simon's 1965 debut solo studio album The Paul Simon Songbook ♫

英語原詞 https://genius.com/Paul-simon-leaves-that-are-green-lyrics

[ 和訳 ]
この歌を書いた時, 私は 21歳だった
今は 22歳, だけどそれも長く続かないだろう
時は足速に過ぎていく

緑の木の葉は茶色に変わり
風に揺られて 枯れ (*1)
手の中に砕け 散る (*2)

かつて私の心は少女の愛で満たされていた
強く抱きしめたのに 彼女は夜の闇に消えてしまった
私が書こうとした詩のように

緑の木の葉は茶色に変わり
風に揺られて 枯れ
手の中に砕け 散る

小川に小石を投げ
波紋が広がり さざ波が走り去るのを見た
さざ波は決して音を立てなかった (*3)

緑の木の葉は茶色に変わり
風に揺られて 枯れ
手の中に砕け 散る

ハロー, ハロー, ハロー, ハロー
グッバイ, グッバイ, グッバイ, グッバイ
あるのはそれだけだ

緑の木の葉は茶色に変わる

…………………………………

訳注
*1 wither with the wind, 「揺られて」は原詞にはないけれど, ここは意訳的な "加筆"。

*2 crumble は「粉々に砕ける」だけど, 「砕け 散る」という表現にしてみた。このライン全体は And they crumble in your hand, しかしこの your の you は特定の「あなた」「きみ」「おまえ」ではなく, 一般的・抽象的なレベルでの誰か(誰でも)という解釈でよいのではないか。

*3 And they never made a sound の they は 明らかに ripples で, ripple(s) は「波紋」もしくは「さざ波」のこと。

"Leaves That Are Green" from Simon & Garfunkel's 1966 album Sounds of Silence 🎶

英語原詞 https://genius.com/Simon-and-garfunkel-leaves-that-are-green-lyrics

[ 和訳 ]
この歌を書いた時, 私は 21歳だった
今は 22歳, だけどそれも長く続かないだろう
時は足速に過ぎていく

緑の木の葉は茶色に変わり
風に揺られて 枯れ (*1)
手の中に砕け 散る (*2)

かつて私の心は少女の愛で満たされていた
強く抱きしめたのに 彼女は夜の闇に消えてしまった
私が書こうとした詩のように

緑の木の葉は茶色に変わり
風に揺られて 枯れ
手の中に砕け 散る

小川に小石を投げ
波紋が広がり さざ波が走り去るのを見た
さざ波は決して音を立てなかった (*3)

緑の木の葉は茶色に変わり
風に揺られて 枯れ
手の中に砕け 散る

ハロー, ハロー, ハロー, ハロー
グッバイ, グッバイ, グッバイ, グッバイ
あるのはそれだけだ

緑の木の葉は茶色に変わる

…………………………………

訳注:
*1 wither with the wind, 「揺られて」は原詞にはないけれど, ここは意訳的な "加筆"。

*2 crumble は「粉々に砕ける」だけど, 「砕け 散る」という表現にしてみた。このライン全体は And they crumble in your hand, しかしこの your の you は特定の「あなた」「きみ」「おまえ」ではなく, 一般的・抽象的なレベルでの誰か(誰でも)という解釈でよいのではないか。

*3 And they never made a sound の they は 明らかに ripples で, ripple(s) は「波紋」もしくは「さざ波」のこと。

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I Do It for Your Love 〜 歌詞和訳 23

1975年リリースのアルバム "Still Crazy After All These Years" に収められた, シンプルながら珠玉の名曲(2005年リリースの Herbie Hancock のアルバム "Possibilities" にも, 作詞作曲者 Paul Simon の歌をフィーチャーしたこの曲が収録されている)。

I Do It for Your Love 〜 from Paul Simon's 1975 album "Still Crazy After All These Years" ♫

僕らは雨の日に結婚した
空は黄色で、草は灰色だった
書類にサインして、車を走らせた
君の愛のために

部屋はかび臭くて、配管は古びてくすんだ色だった
冬の間ずっと、二人で寒さをしのいだね(*1)
僕らが持ってたオレンジジュースは全部飲み干してしまった
君への愛のために

古びたがらくた屋でラグマットを見つけたんだ(*2)
それで僕は君のためにそいつを持ち帰ったのさ
途中で色が変わってしまって
オレンジ色が青になってしまったんだけどね

古びたがらくた屋でラグマットを見つけたんだ(*2)
それで僕は君のためにそいつを持ち帰ったのさ
途中で色が変わってしまって
オレンジ色が青になってしまったんだけどね

訳ある心の痛み
したたり落ちる涙
北半球と南半球で
愛は生まれ、そして消えていく

君の愛のために
僕はただ君への愛のために

...........................................

*1 "shared a cold" は直訳的には「寒さを分かち合う」なんだろうけれど、それでは言い回しがちょっと堅すぎる気がする。ここでは、「二人で寒さをしのいだ」という言い方にした。

*2 "rug" はラグマット(部分敷きの絨毯)、もしくは膝掛けまたは肩掛け。画像検索したりして出てくるのは圧倒的に前者。後に続く "And I brought it home to you" を踏まえると後者という解釈もあり得るのだろうが、直前のセカンド・ヴァースで二人が暮らす部屋のことが歌われていることから想像すると、ここはやはり「ラグマット」でいいのではと考え、上掲の訳詞のようにした。

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