アメリカ合州国のお気の毒なまでに「一途な」イスラエル「愛」 〜 その度し難い非合理
本 note 投稿、一番注目してもらいたいのは第4章「アメリカのイスラエル『ひたすら擁護』姿勢 〜 その不当性・没論理・非合理を的確に言い切るツイート(スレッド)」だけれど、その背景などの理解のためにも更にその他の章にも目を通してもらえるとうれしい。
1. ユダヤ系の現アメリカ国務長官アントニー・ブリンケン 〜 その "ピュア" な、醜悪なまでに 「ひたむきな」 イスラエル「愛」
このほど国際刑事裁判所(ICC: International Criminal Court, 1998年7月17日に国連全権外交使節会議において採択された国際刑事裁判所ローマ規程に基づいて 2003年3月11日にオランダ・ハーグに設置)が、イスラエル(1948年「建国」)が 1967年以来 複数の国連安保理決議に違反して占領を続ける東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区やガザ地区などにおける戦争犯罪、人道に対する犯罪などに関する本格捜査を始めたと発表した(イスラエル政府当局とイスラエル国軍だけでなくパレスチナ自治政府、あるいはガザ地区のハマスなどの武装勢力やイスラエルのその他の武装した違法入植者なども捜査の対象となり得る)。
以下は、1) これを歓迎するアムネスティ・インターナショナルの声明(2021年3月3日付)、そして 2) 先月初旬に ICC が同地域における犯罪について裁判権がある旨の声明を出したことを受けてイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフや例の如く「ICCの決定は『反ユダヤ主義』だ」と非難したことを当然ながら批判した反シオニストのユダヤ系アメリカ人によるメディア Mondoweiss の記事(イスラエル批判を沈黙させるための魔法の言葉「反ユダヤ主義」について詳しくは本章の付録を参照されたい)、そしてその後に置くのが、3) アメリカ合州国(以下、アメリカ)の現バイデン政権の国務長官アントニー・ブリンケンの ICC の本件捜査に反発した恥知らずな言明(ツイート)。
1)
2)
以下は、ネタニヤフのこうした態度を批判するユダヤ系アメリカ人の若者世代中心の反「占領」・パレスチナ人の人権支持グループ IfNotNow のツイート。
3) アメリカの現国務長官アントニー・ブリンケンの、相変わらずアメリカは「何処までも、地の果てまでも、イスラエルと運命を共にします」的、脳みそ蒸発してるんじゃないかと思わせる「お気の毒な」声明。
以下は、パレスチナ系アメリカ人の下院議員および政治アナリスト両名の上掲アントニー・ブリンケンのツイートに対する反応、そしてユダヤ系アメリカ人の反シオニスト・反「占領」団体 Jewish Voice for Peace によるユダヤ系アメリカ人国務長官アントニー・ブリンケンに対する批判。
Jewish Voice for Peace による声明の記事をシェアしたツイート(スレッド)。
...........................
以下は、本章の付録(イスラエル批判を沈黙させるための魔法の言葉「反ユダヤ主義」について)。筆者の過去の note 投稿から 3点。
*1
*2 以下の note 投稿の中の「『決して忘れはしない』 〜 ナチスによるユダヤ人虐殺の記録」と題した章では、これはその投稿の主題ではないが、筆者個人が(真の意味で)反ユダヤ主義者などになることはあり得ないということの傍証たり得るような子ども時代の思い出を書いた(そこに書いたこと以外のことを加えると、筆者は若い時のバックパッカーの旅の中でドイツにある戦前のナチスによるユダヤ人等強制収容所である「ダッハウ強制収容所」跡地・博物館を訪ね、また現イスラエル・西エルサレムではヤド・ヴァシェム「ホロコースト博物館」を訪ねている。ただ念のため強調しておきたいのだが、こうした経験がなければ反ユダヤ主義者になるなどということは勿論ないし、一方でこうした経験がなければイスラエルを批判する資格がないなどということもあり得ない)。
*3 イギリス/イスラエルの学者が、イスラエル批判を沈黙させる IHRA (International Holocaust Remembrance Alliance, 国際ホロコースト記憶同盟) による「反ユダヤ主義」定義の拒否を呼びかけ。
2. ユダヤ系の現国務長官アントニー・ブリンケンに捧ぐ 〜 同じくユダヤ系アメリカ人の政治学者ノーマン・フィンケルスタインの言葉
前章 3) で取り上げた、「アメリカは何処までも、地の果てまでも、イスラエルと運命を共にします」的、脳みそ蒸発してるんじゃないかと思わせる「お気の毒な」声明をしているアメリカの現国務長官アントニー・ブリンケン(Antony Blinken, 1962年ニューヨーク生まれ)は、ユダヤ人の両親のもと生まれたユダヤ系アメリカ人。母親は裕福なハンガリー系ユダヤ人移民の娘で、父親はウクライナ系ユダヤ人移民の息子で銀行家(クリントン政権時代に駐ハンガリー大使を務めた人物)。因みに父方の祖父はイスラエル「建国」(「建国」自体は 1948年)を推し進めた人物の一人。また、ブリンケンが小学生の時に両親は離婚し、彼は母親と母親が再婚した相手と共にフランス・パリに移住、9歳から18歳までパリで生活しているのだが、その義父はポーランド生まれのリトアニア系ユダヤ人弁護士で、ポーランドにおけるナチ・ホロコーストを生き延びた一人でもあった。
要するに、現アメリカ国務長官アントニー・ブリンケンはユダヤ系アメリカ人の両親のもとで生まれ、その主張からしてシオニストであるとともに、義父はホロコーストの生存者というような背景を持つ人物。
以下では、同じくユダヤ系アメリカ人で、ホロコーストとの関連で言えば、両親がともにホロコーストの生存者であって、かつ自身は反シオニストの活動家・作家、政治学者であるノーマン・フィンケルスタイン(Norman Finkelstein, 1953年ニューヨーク生まれ)の言葉を紹介したい。
先に 1) ホロコーストとの関連でおそらくはアントニー・ブリンケンと極めて対照的なものとなるノーマン・フィンケルスタインの言葉を、次に 2) シオニズムの不当性を喝破する彼の言葉を、それぞれ取り上げる。
念のために極めて常識的なレベルのことを補足しておくと、ホロコーストはナチス・ドイツが行なった人類史に残る反人道的・人種差別的な犯罪・殺戮であって、当時パレスチナ(1920-1948年は「イギリス委任統治領パレスチナ」)に住んでいたアラブ人(パレスチナ人)にとって全く預かり知らない犯罪である。
1)
ノーマン・フィンケルスタインの両親は共にナチス・ドイツによるワルシャワ市内のユダヤ人隔離地域であったワルシャワ・ゲットー、そしてユダヤ人がナチスに対して絶望的な蜂起をしたいわゆる「ワルシャワ蜂起」の生存者で、母親は更にナチス・ドイツがポーランドに建設したマイダネク強制収容所の生存者でもあって、父親は更にアウシュヴィッツ強制収容所の生存者でもある。
その彼が、(反)ナチス、(反)ホロコースト等に言及してイスラエルを「擁護」する人たち、そんな特にイスラエル人もしくはユダヤ人に向けて語った言葉を、以下のヴィデオで聴くことができる。
(英語、英語字幕付き)
2)
1948年のイスラエル「建国」の背景にある「シオニズム」は、もともとヨーロッパにおける長年にわたるユダヤ人差別の歴史的経緯があった上で 19世紀末以降(1894年にフランスで起きたユダヤ人差別・冤罪事件であるドレフュス事件などが切っ掛け)、「シオン」の地にユダヤ人国家を作ろうというユダヤ人の思想運動・移民運動が起こり、以下に記述するバルフォア宣言やナチ・ホロコーストなどを背景として強化、拡大された、ユダヤ人のパレスチナの地への移民の運動であり政治思想である。
その「シオン」とは、ユダヤ教の聖典でありキリスト教の聖典の一部でもある「旧約聖書」、要するにいち宗教のいち「聖典」に登場する、その「旧約聖書」が記述する時代当時の「エルサレム」地方を指す、「バイブリカル」("Biblical", 「聖書」に書かれている)でかつ歴史的な地名である。
この「シオニズム」の運動は 1917年11月のバルフォア宣言(イギリスの当時の外務大臣アーサー・バルフォアが表明したイギリス政府による「シオニズム」支持表明, 1915年10月のフサイン=マクマホン協定による中東地域におけるアラブ諸国独立の約束、そして 1916年5月のイギリス・フランス・ロシア 3ヶ国による中東地域の分割支配を目論んだ秘密協定であるサイクス・ピコ協定とともにイギリスの「三枚舌外交」と呼ばれる)によって、当時の第一次世界大戦(1914年7月28日-1918年11月11日)で戦勝国となり敗戦国オスマン帝国(16世紀以降それまで歴史的「パレスチナ」地域を支配)に代わってパレスチナを支配(1918年イギリスが占領, 1920年から1948年までパレスチナは「イギリス委任統治領パレスチナ」となる)することになるイギリスによるお墨付きを得て、これによってヨーロッパのユダヤ人のパレスチナへの移民の動きが強化されることになる。
一方で、以降、1948年のイスラエル「建国」までの間にパレスチナへのユダヤ人の移民の動きが加速度的に拡大、その結果として同地域におけるユダヤ人の人口が急増した最大の要因として、ナチス・ドイツによる「ユダヤ人大虐殺」= ホロコーストを考えるのは、ごく自然な発想であろう。
このホロコーストの問題に関連するアントニー・ブリンケンとノーマン・フィンケルスタインの対比については前項 1) を参照されたいが、ここではイスラエル「建国」のおおもとの思想である「シオニズム」にかかわって、明らかにシオニストであろうと察せられるアントニー・ブリンケン(因みにアントニー・ブリンケンのようなユダヤ人でなくとも「シオニスト」になることは可能である、後段の章で紹介するが例えば現アメリカ大統領であるジョー・バイデン自身がそれを文字通りに主張し「自分はシオニスト(シオニズム信奉者)である」と公言している)のイスラエル「何が何でも支持・擁護」姿勢に、反シオニストであるユダヤ系アメリカ人政治学者ノーマン・フィンケルスタインの言葉を対比させようと思う。
以下のテキストの下に 1947年のパレスチナ(当時は「イギリス委任統治領パレスチナ」)の地図を掲載し、その後、ノーマン・フィンケルスタインの言葉を掲載する。
「シオニズム」によるヨーロッパのユダヤ人のパレスチナへの移民の動きが始まって 20年ほど経過した 1918年に実施した、同年それまでオスマン帝国の支配下にあったパレスチナを占領したイギリスによる人口調査によれば、その年のパレスチナにおけるアラブ人(今日言うところのパレスチナ人)の人口が 700,000人に対して、同地域のユダヤ人の人口は 56,000人と、前者の 1/12以下に過ぎなかった。
それから約30年後、1947年に当時まだ欧米諸国が支配的だった国連総会で「国連パレスチナ分割案」(同案の中で国連の信託統治領とする計画だったエルサレムを除くパレスチナ全域の土地の 56%を、アラブ人=今日言う「パレスチナ人」の人口の半分に満たないほどの人口だったユダヤ人の国家の土地とするという、極めて不当かつ不公正かつ不公平な分割案)が採択される際の国連の報告書では、当時のパレスチナにおける人口は、アラブ人(同上、パレスチナ人)とその他(アルメニア人などの少数を指すと思われる)が合わせて 1,237,000人、それに対し、ユダヤ人は 608,000人となっていた。
1918年からの約30年間で、パレスチナにおけるユダヤ人の人口は 55万人以上増えて 11倍近くになり、1918年当時に全体の 7-8%だったユダヤ人人口は、同 33%程度まで割合としても急増していたことになる。
結局、19世紀末にはパレスチナにおいて人口がおそらくは全体の 5%前後であったユダヤ人の同地域の人口は、1918年には 7-8%程度となり、1948年のイスラエル「建国」当時になると 33%程度にまで増え、しかし一方で土地所有率については依然としてパレスチナ全域のわずか 7-8%程度(人口における 33%よりも圧倒的に小さいこの数字は、その人口比率が約半世紀の間とりわけその後半の 20年程度の間に急拡大したシオニズムによる運動で人口が急激に増えた結果であったことを踏まえれば当然の数字ではある)に留まっていたユダヤ人たちは、その時点で(「建国」前年の)1947年の「国連パレスチナ分割案」によって同案が国連の信託統治領とすることとにしていたエルサレム市を除くパレスチナ全域の 56%の土地をユダヤ人国家(イスラエル)のもとで得ることを「正当化」され、更に「建国」時の第一次中東戦争の結果として「パレスチナ」全域の 8割ほどの土地を得ることになった。
その後、1967年の第三次中東戦争における侵攻によって、残っていた東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区(第一次中東戦争の後はヨルダンが支配していた)およびガザ地区(同、エジプトが支配していた)を占領し、事実上、歴史的「パレスチナ」全域を占領・制圧、実質的なコントロール下に置くことになったのが、1948年に「建国」されて現在に至る「イスラエル」という国の実態である。
以下は、1947年のパレスチナ(「イギリス委任統治領パレスチナ」)を示す地図。
この地図の下に、翌1948年のイスラエル「建国」とイスラエル「建国」思想「シオニズム」に関わる、ノーマン・フィンケルスタインの言葉を掲載する。
上掲の地図およびその前のテキストの前にある前項 1) で記したように、ノーマン・フィンケルスタインは、ユダヤ系アメリカ人政治学者で反シオニズム活動家。また、その 1) に関わってあらためて記しておくと、彼の両親はワルシャワ・ゲットー、ワルシャワ蜂起、そしてホロコーストの生存者である。
3. 現アメリカ国務省報道官ネッド・プライスの間抜けな反応
以下、インスタグラム投稿を 3点、紹介する。最初の 2つは、パレスチナやパレスチナ人、そしてパレスチナ系アメリカ人に関わる社会経済、政治およびカルチャーについての理解を広めるために設立されたアメリカの非政府組織 NPO である IMEU (Institute for Middle East Understanding) によるもの。
3つ目は、反シオニストのユダヤ系アメリカ人たちによるメディア Mondoweiss によるものである。
1)
AP correspondent Matt Lee asks State Dept spokesperson Ned Price, “Where should Palestinians go to get accountability?” since the U.S. opposes the ICC decisions to investigate Israeli war crimes.
Price didn’t have an answer.
2)
The ICC's decision to investigate war crimes in the Palestinian territories was met with ire by US State Dept officials who claim that the ICC is unfairly targeting Israel, but State Department spokesperson, Ned Price refuses to answer where else Palestinians should turn for justice.
3)
'Where do Palestinians go for accountability?' AP asks a dozen times as State Dep't flounders⠀
US policy denying Palestinians any avenue of redress against Israeli human rights violations is a public joke, as Matt Lee grills State Spox Ned Price over opposition to ICC jurisdiction. "Where do they go? Where do they go?" And Price has no answer.
Read more at our website. Link in Bio.⠀(以下の 3月5日付記事のこと)
Mondoweiss のインスタグラム投稿については 以下の記事の下にリンクを置く。
‘Where do Palestinians go for accountability?’ AP asks a dozen times as State Dep’t flounders
US policy denying Palestinians any avenue of redress against Israeli violations is a public joke, as Matt Lee grills State Spox Ned Price, "Where do they go?"
4. アメリカのイスラエル「ひたすら擁護」姿勢 〜 その不当性・没論理・非合理を的確に言い切るツイート(スレッド)
以下、前章でインスタグラム投稿を紹介したアメリカの非政府組織 NPO である IMEU (Institute for Middle East Understanding) によるツイート、スレッド内の計 6ツイートが、アメリカの長年のイスラエル「一辺倒」、イスラエル「ひたすら擁護」姿勢がいかに不当なものであり、没論理で非合理なものであるかを的確に言い表しているので、ここで紹介しておきたい。
このツイートの下にスレッド内のツイート全文を転載し、いくつかの脚注を置いた上で、念のため、ツイート 6点のうちの(同スレッド内に)残る 5点のツイートへのリンクも掲載しておく。
The ICC decision to investigate war crimes in the Palestinian territories was met with ire by US State Dept officials who claim that the ICC is unfairly targeting Israel, but @StateDeptSpox (*1) refuses to answer where else Palestinians should turn for justice.
This is not the first time the United States has stepped in to shield Israel from the consequences of its illegal and reprehensible actions against Palestinians. Time and time again, the US has vetoed UN resolutions (*2) meant to hold Israel accountable for its crimes.
When Palestinians turned to peaceful protest via the BDS movement (*3), the US mislabeled the movement as hateful and antisemitic (*4). Several states passed legislation to ban BDS (*5), and both political parties quickly condemned BDS and BDS supporters (*6).
When Palestinians asked the US to condition US military funding to Israel (*7) to ensure it wasn’t financing blatant violations of their human rights, President Biden flat-out refused, essentially giving Israel a blank check.
Why does the US continue to give Israel a pass for its crimes against Palestinians? If an ICC investigation is “unfair to Israel,” what other avenue is there for Palestinians to seek justice for the horrors they have been forced to endure?
If the list of things the US deems unacceptable includes Palestinian armed resistance (*8), non-violent protest like BDS (*3), conditioning aid to Israel (*7), and seeking out a third party to investigate Israeli war crimes (*9), then how are Palestinians supposed to resist their oppression? (*10)
*1 @StateDeptSpox は、このツイートがシェアしたヴィデオ内で AP通信の記者に詰問され、その質問に対する回答(解答でなく回答すら)を全く提示できない現アメリカ国務省報道官ネッド・プライスのツイッター・アカウント。
*2 "the US has vetoed UN resolutions" とは、アメリカが「繰り返し繰り返し」(文字通り "Time and time again", Over and over again と言ってもいいが)イスラエルによるパレスチナ人の人権に対する弾圧等を批判・非難し是正を要求するための国連安保理決議(厳密に表記すると "UNSC resolutions")のほぼ全てにおいて、その国連安保理常任理事国(言うまでもなくアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、大陸中国の 5ヶ国)の一つとしての特権である「拒否権」を発動し、正当性のある決議をことごとく葬り去ってきたことを指す。
*3 BDS movement とは、イスラエルのパレスチナ人(や彼らの土地)に対するアパルトヘイト政策、1967年以来の違法「占領」、違法「占領地」におけるこれまた違法な入植活動などを止めさせるためにパレスチナ人たちが呼びかけ、世界の様々な組織や活動家やアーティストなど(例えばロックバンド Pink Floyd の founding member の一人である Roger Waters なども含まれる)あるいは著名でない一般市民などが応え、イスラエルがそうした非民主的・反人道的政策を是正するまでイスラエルに対する Boycott ボイコット、イスラエルからの Divestment 資本撤退、イスラエルに対する Sanctions 制裁の運動を続けようと国際的な規模で行なわれている、非武装・非暴力の平和的な運動のこと。
*4, 5, 6 アメリカはとりわけ近年、イスラエルやアメリカ国内のイスラエル・ロビイストグループからの要請を受け、上記の非暴力の平和的運動 BDS movement に "antisemitic" (anti-Semitic, anti-Semite, anti-Semitism) つまり「反ユダヤ主義的」もしくは「反ユダヤ主義者」「反ユダヤ主義」といった不当なレッテルを貼り、国内の複数の州で既に BDS 運動を法律で禁じるという「民主主義国」にあるまじき表現の自由・政治活動の自由に対する不当な弾圧を行ない、かつアメリカの共和党および民主党は BDS 運動を不当に非難、BDS 運動の支持者たちが「反ユダヤ主義者」という名の人種差別主義者であるかのような不当なレッテル貼りをして、市民の思想信条の自由や政治活動の自由に対して抑圧的な態度をとってきた。
*7 アメリカのイスラエルに対する軍事援助はなんと年間 38億ドル相当。1日当たり 1,041万ドル(今日現在のレートで換算すると日本円にして約 11億2,400万円/日!)のアメリカ人の税金がイスラエルに対する軍事援助に使われていることになる。10年間で総額 380億ドルのアメリカ人の「血税」がイスラエルに対する軍事援助に使われることが両国間の取り決めで既に確定しており、事情に詳しくない人の多くはこの額はトランプ政権の時代に決められたのではないかと思うかもしれないが、あに図らんや(!)、実はその前の時代、民主党オバマ政権の時代に決められた額なのである。となると、オバマ時代から、当然のようにこんなインターネット・ミームが SNS 上を飛び交っていたというわけである。
*8 "Palestinian armed resistance" とはパレスチナ人の武装闘争を指すわけだが、「占領」者側に対して「占領された」側が武装闘争をも通じて抵抗する権利そのものは繰り返し国連決議などで確認されてきた国際法上正当な権利だと言える一方で、イスラエルやその庇護者たるアメリカは、パレスチナ人の武装闘争は何から何までテロリズムであるかのように喧伝し、時としてイスラエルによる違法なパレスチナ「占領地」において武器など何も持たないパレスチナ人の子どもが、パレスチナ人の土地を我が物顔で闊歩するイスラエル兵やイスラエル軍の軍事車両などに投石する行為までテロ行為だと言わんばかりのプロパガンダをしてきた(プロパガンダ云々より何より、そうした子どもたちやその嫌疑をかけられただけの子どもたちがイスラエル軍によって連行され「占領」国イスラエルの刑務所に投獄・勾留されている)。
*9 "a third party to investigate Israeli war crimes" とは、この文脈において、本 note 投稿の第1章で紹介した、国際刑事裁判所(ICC: International Criminal Court, 1998年7月17日に国連全権外交使節会議において採択された国際刑事裁判所ローマ規程に基づいて 2003年3月11日にオランダ・ハーグに設置)が、イスラエル(1948年「建国」)が 1967年以来 複数の国連安保理決議に違反して占領を続ける東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区やガザ地区などにおける戦争犯罪、人道に対する犯罪などに関する本格捜査を始めたと発表したことを指しているが、付言するなら、アメリカは例えば国連総会や国連安保理などがイスラエル批判を行なうことに関しても、ほぼ常に "unacceptable" という態度をとってきている(後者に関しては *2 で記述したように、そのほとんど全てに関して国連安保理常任理事国としての「特権」を活かし、「拒否権」を発動してことごとく決議案を葬ってきた)。
*10 "If the list of things the US deems unacceptable includes Palestinian armed resistance (*8), non-violent protest like BDS (*3), conditioning aid to Israel (*7), and seeking out a third party to investigate Israeli war crimes (*9), then how are Palestinians supposed to resist their oppression?" とはつまり、
「もしアメリカが『(我々は)受け入れられない』として拒否するリストに(占領された側の)パレスチナ人による(占領者イスラエルに対する)武装闘争、BDS 運動のような非暴力の抵抗運動、アメリカの(占領側である)イスラエルに対する援助に(例えばイスラエルがパレスチナ人に対する人権弾圧や自衛でない軍事攻撃、占領地における違法入植などをしないといった)条件を付けること、(今回の ICC, 国際刑事裁判所のような)第三者機関によるイスラエルの戦争犯罪に係る調査・捜査などが含まれるのなら、ならば一体全体、パレスチナ人はどうしたら自らに対する抑圧に抵抗できるというんだ?」
と、極めて根源的な疑問を、アメリカ合州国の為政者に投げかけていることになる。
以下、本章冒頭で紹介したツイートのスレッド内のツイート 6点(そのツイート全てのテキストに関しては上に転載した通り)のうち、上掲の 1つ目以外の残る 5つのツイートへのリンクを置き、更にその下に、本ツイートへの反応をいくつか紹介しておく(パレスチナ系アメリカ人、イギリス人、パレスチナ系でもユダヤ系でもないアメリカ人、ユダヤ系アメリカ人の 4人それぞれによるツイート 4点)。
スレッド内のツイート 2/6
スレッド内のツイート 3/6
スレッド内のツイート 4/6
スレッド内のツイート 5/6
スレッド内のツイート 6/6
Yousef Munayyer は、ワシントンをベースに活動するパレスチナ系アメリカ人の作家・政治アナリスト。
Chris Doyle はイギリス人、中東地域の問題や国際政治に関するコメンテイター。
Maureen Murphy は、編集者・ライターで、シカゴをベースとするパレスチナ/イスラエル問題を扱う独立系メディア The Electronic Intifada に寄稿しているジャーナリスト。
Alex Kane はニューヨークをベースに、アメリカ国内のユダヤ系コミュニティやイスラエル/パレスチナ、アメリカの “war on terror”, いわゆる「テロとの戦い」等などをテーマに活動する、フリーランスのユダヤ系アメリカ人ジャーナリスト。
5. アメリカのお気の毒なまでに「ひたむきな」イスラエル「愛」 〜 エルサレムの帰属・地位とパレスチナ/イスラエル問題
先に、イスラエルとアメリカ合州国という「本来」外国同士であるはずの二国の関係がいかに異常なものであるかを示す格好の例があるので、以下にリンクを置く。
理屈上あるいは直観的にでもその「可笑しさ」に気づく人は多いと思うが、約1年前、2020年2月12日(現地時間)にツイートされたこのイスラエル首相府の言明が、いかにイスラエル・アメリカ間の関係が(まるで両国が「我らは同じ屋根のもと暮らす家族」であるかのような)異様なものであるかを物語っているかについて、このすぐ下に置く筆者の過去の note 投稿の冒頭の章で取り上げてあるので、関心ある方は参照されたい(投稿テキスト全体は主として本章見出しに記載のトピックがテーマ)。
上掲ツイートについては、以下リンク先 note 投稿テキストの第1章「アメリカとイスラエルの異常な関係を象徴する、イスラエル首相府のツイート」にて詳述。
6. 大統領ジョー・バイデン と 副大統領カマラ・ハリスの正体
以下のインスタグム投稿にある動画は、ジョー・バイデン、カマラ・ハリスの 2人が、アメリカの中東地域における外交政策、とりわけイスラエル・パレスチナ間の問題においてこれまでイスラエル(の政策)側にのみ偏って一方的に支持してきた姿勢を象徴するシーンの幾つかを揃えたもの。
ジョー・バイデン、カマラ・ハリス、ジョー・バイデンと見た後、更にスワイプして、あらためてカマラ・ハリスのイスラエル「一辺倒」姿勢を眺めてみてもらいたい(なお、AIPAC は American Israel Public Affairs Committee, アメリカ最大級のイスラエル・ロビイスト組織)。
その次はジョー・バイデンとカマラ・ハリス、特に後者に関する記事(2020年8月27日付)、最後はそれらを取り上げた筆者の過去の note 投稿 〜 演説の美辞麗句だけで政治家に「感服」してしまう、日本の「リベラルな」人たち。
以下は 昨年11月16日付の筆者の note 投稿。
7. アメリカのリベラル、その「パレスチナは除く」欺瞞的アティチュードの典型例 〜 ルース・ベイダー・ギンズバーグ
少なくともパレスチナ/イスラエル問題に関しては、あるいはパレスチナ問題におけるイスラエルに対するアティチュードに関しては、故ルース・ベイダー・ギンズバーグと比べれば、ギンズバーグと同じくユダヤ系アメリカ人の一人と言えるイスラエル系アメリカ人女優ナタリー・ポートマンの方が、「まだマシ」だった。
以下、本章のおまけとして 2点。もともと「リベラル」の代表でも何でもないが、ルース・ベイダー・ギンズバーグと同様ユダヤ系アメリカ人の「セレブ」としてボブ・ディランの破廉恥、そしてアメリカ人ではなくてイスラエル人(イスラエルにはアラブ系市民すなわち1948年のイスラエル「建国」後にイスラエル「領」外・難民化しなかった「パレスチナ人」もいるが、この男はイスラエルにおける多数派であるユダヤ系イスラエル人)の世界的に著名な知識人ユヴァル・ノア・ハラリ、その「知の巨匠」ならぬ「知の怠慢」ぶり。
*1
*2
8. アメリカの SNS私企業のイスラエル「愛」、その一例
因みに Facebook の創業者 CEO マーク・ザッカーバーグもユダヤ系アメリカ人であるが、当然ながら、ユダヤ系アメリカ人が皆、イスラエル「ひたすら」支持者だというわけではない(今日、イスラエルのアパルトヘイト政策、占領政策、占領地における違法入植、コロナ禍におけるメディカル・アパルトヘイトなどを批判する市井のユダヤ系アメリカ人は文字通り幾らでもいる)。
9. ユダヤ系アメリカ人の反シオニスト・反「占領」組織 Jewish Voice for Peace によるツイート 〜 「戦争犯罪人たちは互いに支え合う」
"War criminals supporting war criminals" だから、「戦争犯罪人たちを支える戦争犯罪人たち」が直訳なんだろうけれど、意訳すれば、「戦争犯罪人たちは互いに支え合う」。アメリカとイスラエルの関係を言い表しているように思える(アメリカにも比較的近年のものだけ取り上げるとしてもアフガニスタンやイラクにおいて同国が犯した「戦争犯罪」の指摘がある)。
10. レバノン系アメリカ人による重要な指摘
Rania Khalek はレバノン系アメリカ人のライター兼活動家。これまで "The Nation", "The Intercept", "Al Jazeera", "Mondoweiss", "The Electronic Intifada", "The Grayzone" などに寄稿してきた。
以下のツイート自体は、本 note 投稿の第4章「アメリカのイスラエル『ひたすら擁護』姿勢 〜 その不当性・没論理・非合理を的確に言い切るツイート(スレッド)」において紹介した、アメリカの非政府組織 NPO である IMEU (Institute for Middle East Understanding) による、現アメリカ国務省報道官ネッド・プライスの国務省会見での AP通信記者とのやり取りを批判したツイートへのレスポンスとして、ツイートされたもの。
上掲 IMEU のスレッド内の計 6ツイートは、アメリカの長年のイスラエル「一辺倒」、イスラエル「ひたすら擁護」姿勢がいかに不当なものであり、没論理で非合理なものであるかを的確に言い表しており、第4章においてそのツイート 6点の全テキストを転載した上で若干の解説を付記しているので参照されたい。
その上で、以下は、上記の通り、レバノン系アメリカ人のライター兼活動家 Rania Khalek による 8分間余りのヴィデオ付きツイート。ヴィデオの中で彼女は、これまでの例えばバラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、現大統領であるジョー・バイデンなどアメリカ民主党系をはじめとするアメリカの政治家等のパレスチナ/イスラエル問題に対する姿勢がいかに深刻な問題を孕んでいたかなど、極めて重要な指摘をしている。
最後に "So how much longer are we going to pretend that there's a two-state illusion at the end of this tunnel?", "How much longer until those who claim to be liberal support the obvious solution:, "One state with equal rights for all?" という問いかけがあるが、
これに関連し、もう一度、第4章で取り上げた件の IMEU ツイート(以下の Rania Khalek のツイート・ヴィデオの下に添えられているツイートのことだが)に対する反応のうち、この言葉に関わるイギリス人コメンテイターおよびユダヤ系アメリカ人ジャーナリストのツイートをこの下に置き、更にこれに関連するイスラエル人(イスラエル国内の少数派アラブ系つまりパレスチナ系でなくユダヤ人)ジャーナリスト Gideon Levy の発言(インスタグラム上、およびその全編 YouTube 上)、そして BDS Japan Bulletin の note 投稿(筆者は BDS Japan Bulletin のメンバーでもアカウント管理者でもない、念のため)、および筆者の過去の note 投稿へのリンクを添える。
以下で紹介するイスラエル人 Gideon Levy は、1953年テルアヴィヴ生まれで現在もイスラエル在住のジャーナリスト・作家。彼はイスラエル紙 Haaretz にオピニオンを寄稿し、コラム記事を書いているジャーナリストだが、しばしばイスラエル国内外のシオニスト達によって、ガザ地区のイスラム原理主義グループであるハマスのためのプロパガンダをしている人間だなどと、極めて的外れで愚かなレッテル貼りをされて非難されている、彼自身イスラエル人であり、ユダヤ人である。
(以下、うまくリンクが貼れないが、クリックもしくはタップすれば閲覧可能)
上掲インスタグラム投稿内の Gideon Levy のスピーチの模様、その全編は、以下の YouTube 上のクリップにある。
以下は、note 上の投稿 2点。
11. パレスチナ系アメリカ人(詩人・作家)から世界に向けたメッセージ
最後に、パレスチナ系アメリカ人の詩人・作家 Remi Kanazi のツイートを紹介して、今日の note 投稿を終える。
No, Palestinians won't be silent. We won't give you a free pass. We won't be excited by crumbs brushed off the table. You are not progressive if your go to move is to throw Palestinians under the bus. And I promise, your lack of principled politics never stops with just Palestine
意訳になるが、おおよそ下記のような意味になるのではと思う。
否、パレスチナ人は黙っていない。フリーパスなど与えない。テーブルからこすり落とされたパンくず("The Crumbs on the Table" はグリム童話の一つ「机の上のパンくず」ということのようだが、ここからとっているのだろうか)に興奮などしない。君らが我々パレスチナ人をバスの下に投げ込むのであれば、君らがもはや "progressive" 進歩派であることなどあり得ない。断言してもいいが、君らの無原則で信念を欠いた政治は、決して「パレスチナ」だけに留まるものではない。
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