日本人に恐怖症が多い理由
河合隼雄氏の「母性社会 日本の病理」によると、日本人は対人恐怖などの恐怖症が他の国と比べて多いらしいです。
恐怖症とは、対人恐怖・女性恐怖・男性恐怖・その他の赤面症などの強迫症なども含めてです。
つまり日本人は、「おどおどしている」ということでしょうか。
河合氏は、日本と西洋の気質の違いを「母性社会」と「父性社会」の違いで説明してます。
日本は、「母性社会」であり父親不在です。
また、母性と父性の違いは何かというと、母性は子供を育てる役割。
父性は母と子を引き離して、社会に送り出す役割。
つまり、日本ではいつまでも実家から離れない人が多いのは、この母性が勝ちすぎて または、父性の不足によって自立がうまくいかないということなのです。
しかも、それを「悪いこととは思わない」という文化もあるようです。
また、母性の中には、陽の当たる部分と影の部分があります。
普段は陽の当たる部分を表出しているので、「太陽」とか「優しい」というようなイメージが強いです。
でも、あなたが女性ならきっと影の部分はあるはずです。
また、身近な女性の影の部分をみて、驚いたこともあるでしょう。
影の部分は、よく昔話で優しい嫁さんが、旦那のいない間に怪物になって、大食らいをして……それが見つかったら、さっと開き直って「お前も食ってやる〜!!」と追いかけてくるような二面性です。
このような女性が怪物になる物語は、海外の話も含めて非常に多いです。
これは、暗に女性の恐ろしい面を、後世に残して注意喚起する目的ではないかと勝手に思ってます。
ただ多くの人は、陽の当たる部分だけだと信じて疑いません。一種の妄想の世界です。きっとその方が都合が良いのでしょう。
ただその中で、わずかにこのような女性特有の「この人(子)は私もの」「逃げるなら食ってやる」というような部分に、気づく人もいます。
それはそれは恐怖です。
そのような真実を見る目を持ち、それがゆえに病気にさせられてしまうのが、いわゆる強迫症とか恐怖症の人だと思います。
これこそが「逃げるなら食ってやる」と追いかけられて、逃げられない人たちのSOS(症状)なのです。
このような2つの面を持つ女性像を、ユングはグレートマザーと言いました。
では、このグレートマザーが、あなたを食ってしまいそうになったらどうしたら良いでしょうか。
ちなみに、昔話の「食わず女房」という昔話と、それに似た話の結末について
加藤實氏が、152例の結末を調べられています。
「食わず女房」の話とは、結婚した少食の妻が豹変し怪物になって、家のものを食い漁っているということがわかります。
そのことを問いただしたら、「お前も食ってやる」となって追いかけてきたというものです。
この結末が、暗い面のグレートマザーに対して、どうやって対処したら良いかが、なんとなく見えてきます。
152例の話の結末は
1.蓬、菖蒲、竹などの、悪魔をはらうという植物の草むらのような場所……つまり、自分の身を守る場所に「逃げこむ」という話が85例ありました。
2.クモになった嫁を「殺す」という話が27例ありました。
3.ただ「逃げる」という話が27例ありました。
4.嫁を「追いだす・離婚する」という話が6例ありました。
5.男が「反省する」という話が3例ありました。
6.その他が4例ありました。
やはり被害のない場所へ逃げるのが、最善策のようです。
また、河合先生はこのように言います。
否定的なグレートマザーのコンステレーションが生じたとき、われわれはじたばたしてその犠牲になるよりはじっと待っていた方がよいときがある。
ときがくると、グレートマザーが自己消滅してゆくからである。
確かに「食ってやる」と言っている人に、説得の余地はなさそうです……。
しかし、日本はこの母性社会の闇の部分を野放しにして、何の教育も規制もしてこなかったように思います。
確かに、トップは男性が多いですから、母性に押さえつけられてしまうわけですね。
昔話だけでは、何も伝わらなかったようです。
こうして子供が対人恐怖や女性恐怖となって、大人になって生きていけなくなったり、その代で終わってしまうということなのでしょう。
まさに「食ってやる」の結末か……。
考えると社会全体が恐ろしいことになっているのかもしれません!!