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54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし/きんの
30代後半になっても独身でいると
婚活を頑張っているだけでいいのかという気持ちが強くなる。
諦めているわけではないが、30代後半になった女性が結婚できる確率は非常に少ない。初婚なら尚更だ。
私が頑張るべきは自立して一人で暮らしていける術を学んだり、お金をいかに貯蓄することなのではないかと思う日が増えた。
この本の作者のように、私より年上の女性が一人暮らしをしているというのは、私にとって希望だった。
未来に向けて今何ができるかというヒントになる気がして、この本を読み出した。
きんのさんは30代で結婚し、正職員を辞めた後、数年で離婚をする。
その後、バリバリまた正職員働き出したが、終の住処としてマンションを購入後、母親の介護問題の関係でマンションを売却し、今の団地暮らしを始めたらしい。
その団地から仕事先は遠くなったため、なんと50手前で学校に通い、資格取得し、転職までしている。
読んでいて、思わずゴクリと唾を飲み込んでしまう。
親の老化や介護問題は他人事ではない。
いつか私の身にも切実にふりかかってくる。
パートナーや子どもがいたらまた違っただろうが
今のところ結婚の予定がない私は
婚活をしつつ、老後資金を貯めつつ
自立度を上げつつ
いつか来る親の介護問題に向き合う必要がある。
その現実や将来を思うと怖くなるが
今の生活を楽しみつつ、自分らしく暮らしているきんのさんの文章を読むと少しだけホッとする。
目新しいことが書いてあるわけではない。
古い団地をリフォームして自分好みの家にしたり、自炊したり、物を減らしたりと
節約のテクニックは聞いたことがあるようなことばかりだ。
きんのさんは真面目なのだろう。
丁寧に生きている印象がある。
どこかで聞いたことがあるようなことさえ、一つ一つ実践するのはそう容易くはない。
私が50代になったら実践できることばかりとは限らなかったが
具体的にこんな工夫をして生きている、と本にまとめてくれたことは
よりよく生きるためのヒントのように感じる。
将来はそう悲観することばかりではないのかもしれない。
私がほしいのはいつだって未来への希望だ。
私でも大丈夫だと誰かに背中を押されたいのかもしれない。
頑張ればなんとか生きていける。生きていけそう。
そう思えるような暮らしができるのが
今の私の夢だ。