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ブロック注射体験記

一月某土曜日。
紹介状を片手に、私は病院に向かった。
今日はお父さんが午後から夜までいないし、明日は仕事だ。
無事第一回目のブロック注射が終わることを願う。

 
調べたところ、朝は8:15から病院がやっているらしい。
どんな反応が出るか分からないし、早めに行くに限る。

 
ナビに従ってその病院に行くと、予定通りの時間に到着した。
駐車場はたくさんあり、私の前には一人しか患者はいなかった。空いている。ラッキーだ。
私の後にも一人しか来なかった。

初診のため、用紙に症状等を記入する。

  
 
 
やがて名前が呼ばれた。
男性の先生だった。

医師「今日はどうしたの?」

 
私「腰が痛いんです。」

 
医師「どう痛いか聞いてるんだけど。まぁいいや。僕が質問するからそれに答えて。いつから?」

 
私「去年7月からです。」  

 
医師「どんな時に痛いわけ?」

 
私「くしゃをする時とか」

 
医師「くしゃみ(笑)」

  
私「寝返りを打つ時、しゃがむ時、物を持ち上げる時、料理をする時…」

 
医師「はいはい分かった、ずっと痛いのね。」

 
私「歩く時は痛くないです。以前レントゲン撮った時は骨が左に曲がっていて、その影響で左側が特に痛いです。」

 
医師「骨と痛みは関係ないから。MRI撮ってないでしょ?」

 
私「はい。」

 
医師「足の痛みは?」

 
私「ときどきあります。」

 
医師「どっちの足?」

 
私「左足が多いですが、日によっては両足です。」

 
医師「痺れは?」

 
私「ないです。」

 
医師「紹介状書いた医師はブロック注射打てって言ってるの?何も書いてないんだけど。」

 
私「ブロック注射打ちたいんで紹介状書いてもらったんですよ(打つか打たないかの診断はあなたの役目じゃないんですか?)。」

 
医師「打ちたいんだね。あっそう。じゃあ打つか。」

 
 
………なんだこの医師は。

 
 
私は苛々した。
なんて偉そうなんだ。
ネットの評判はよかったが、私は合わないと思った。打たずに帰りたいくらいだ。

 
父親が打った病院にすればよかっただろうか。
だが、あちらの病院は遠いし、ネット評判が悪かった。悩ましいところだった。

 
 
 
言われるがまま、ベッドに横になった。
右の腰を下につけるように横になった。
看護師さんが服をまくしあげる。

うずくまるように足を曲げるように言われると、念入りにアルコールで拭かれ、四回打たれた。

 
……痛い。

 
父親が痛いと言っていたし、噂でも痛いとは聞いていたが、確かに痛い。花粉症の注射より痛い。

医師も看護師も痛みを確認せずに、次々に打っていく。
私はこんな人達に弱みを見せてたまるかと、ぐっと歯を食いしばり、自分の腕を摑んで痛みに耐える。声も出してたまるかちくしょう。

 
四回の注射のうち、特に三回目が痛かった。
注射の痛みは持続はせず、打った瞬間が痛い感じだ。

 
 
そのままベッドに40分寝るように言われた。
横向きで休むように言われたが、逆位置になるよう言われた。つまり、打った左側を下にして横になるように言われた。

その40分間、10分置きに三回血圧をはかられたが、看護師さんはなんとも言わなかった。
血圧が高いとも低いとも、なにも。

 
私はそれよりも、30分間血圧計を巻いたままで緩めなかったことが気になった。
多分10分置きにはかるから巻いたままなのだろうが、普通は多少ゆるめないのだろうか。

途中、注射した位置があたたかくないか聞かれたが、私の場合は特に変化はなかった。
 
 
 
私が横になっている間、隣のベッドで休んでいた方が足が麻痺して動かなくなったと訴えていた。
口ぶりからするとブロック注射常連のようだが、常連でも足が麻痺るのだろうか。ヤブ医者なのだろうか。

やはり、ここでのブロック注射は今日を限りにやめたほうがいいかもしれない。

 
 
ベッドは診察室の一角にあったため、患者の名前や症状や医師とのやりとりが丸聞こえだった。
プライバシーもなにもあったものではないが、病院はこれが普通なのだろうか。

 
 
 
やがて、「所定時間より5分早いけどまぁ大丈夫じゃないか?」という医師と看護師さんの会話が聞こえ、どうやら私はまぁ大丈夫だから早く帰すことになったらしい。はぁ。

足下が若干フワフワしたが、多分横になっていたせいだろう。

 
 
注射跡にはカットバンが貼られ、今から6時間は入浴しないよう言われた。
活動は特に支障はないらしい。

 
 
会計時、今日処方箋が出ていることを聞いた。初耳だ。
医師からも看護師さんからも何も聞いていない。ずさんだ。

ブロック注射は定期的に打つらしいが、次回いつ来たらいいか等も何も話はなかった。
自己判断で来たり、今回限りにしたらいいのだろうか。
逆にいいのかもしれない。また来てね、と言われたら私は責任感から来ただろうから。

 
例え治りが悪くても、いつものかかりつけの病院で牽引と電気治療と湿布対応で様子見でいいのかもしれない。
かかりつけの医師がとても優しく感じた。

 
 
金額は4200円。
ネットでブロック注射は5000円と書いてあったので妥当の金額だろう。

薬は痛み止めと胃薬で、だいたい600円くらいだった。
一週間分の処方だから、また一週間後に来いという意味合いなのかもしれないが、もはやどうでもよかった。

 
 
 
ブロック注射の効果は個人差があると言われたが、一回目のブロック注射では特に症状は変わらなかった。
むしろ、注射した場所が痛い。
通うべきなのかどうかよく分からない。

また、時間が経つにつれ、左手二の腕に痺れを感じる。
ブロック注射の副作用か、血圧計のせいかどちらだろうか。痛みの場所は血圧計を巻いた位置だ。

 
結局左手の痺れがとれるまで一日かかり、注射をした箇所は五日間も痛みを感じた。

私にブロック注射は合っていなかったのか、腕の問題か、今回たまたまなのかは分からないが
お金を出して余計な痛みだけ抱えるのなら
もう打つのはやめようと思った。

少なくとも、ここでは。

 
 
地道に一回340円で電気治療と牽引を続けよう。

 
 
 
 
 
余談だが、看護師の友達に確認したところ、やはり血圧計はその都度巻くことが望ましく、手の痺れに関しては痛みが強くならないか、爪が変色しないか様子を見た方がいいらしい。
なるほど。頼もしい。

私は自分が病弱だから尚更、医療職の方に憧れが強い。看護師として働く友をかっこいいなぁと思う。



 


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