ハリー・ポッターと死の秘宝/J.K.ローリング
ハリー・ポッターシリーズの第七作。最終巻。
ダンブルドアが亡くなり、ホグワーツはスネイプが校長先生になり、例のあの人が世界を牛耳るようになり、魔法界もマグルの世界も不穏に満ちていた。
ハリーとロンとハーマイオニーが学校を辞めて、ダンブルドアから託された分霊箱を探す物語なのだが
六年学校生活を頑張ってきてあと一年で卒業のところで退学の選択は辛い。
特にハーマイオニーは学業優秀だったのに、それへの未練や不満がないことに読んでいて驚きだった。
まぁ実際ホグワーツに残ったところで
ヴォルテモードの支配下の学校で授業もテコ入れされていたし
最終決戦場所は学校で
学校は壊れ、生徒も死に
卒業も進学も関係なくなっていたようなものだから
あまり変わらないのかもしれない。
ヴォルテモード亡き後、学校が再開した時
ハリーらが学校に戻ったかは描写がないので謎だ。
ダーズリー家とついに決別するハリーだが
ダドリーの変わりように泣けてくる。
だからといって今までのことは許されはしないが
従兄弟ということでいつかまた繋がる世界線もあるのかもしれない。
読むのは二回目なのだが
読み返すと、こんなにも人が死ぬのかと驚いた。
シリウス、セドリック、ダンブルドアと私が好きなキャラクターが次々に死んでしまうから
「アズカバンの囚人」以降はあまり進んで読みたくなかった。
魔法世界のファンタジーな世界を読み進めていたのに
「アズカバンの囚人」以降は戦いのシーンが濃くなり、人が亡くなるから。
ページ数が増えて辛いシーンも増えるから。
最終巻は戦争なのだと思った。
だから学校どころではないのだ。
今まではシリウスやルーピンが立場上働けず、衣食住に困る日々で
シリウスにいたってはネズミを食べて食いしのぐわけだが
最終巻ではハリー、ロン、ハーマイオニーさえ追われた身で、衣食住に困り、旅を続ける。
反勢力が見つかるとつかまり、暴行を受け、殺されるところもまさに戦争だ。
骨折をし、制限がかかる日々で、色々なことができないし、食べられないが(冷蔵庫、レンジ、オーブン、お湯、フライパン等が骨折により使えない)
それでもネズミを食べたシリウスやまずいキノコを食べるハリーらよりはまだマシなのだと思った。
コロナ禍になった2020年に
私は「アンネの日記」を読み
緊急事態宣言で辛いが、アンネらユダヤ人に比べたら自由があると思ったものだ。
分霊箱の全てのありかを忘れていたし、最終的にどう破壊するか細部までは覚えていなかったので
読み進めていくのは楽しかった。
映画と原作で違うところや略されているところもあるから
記憶が曖昧だ。
ネビルとルーナも映画だとくっつくが
原作だと具体的には描かれていない。
今作の一番の見所であり、伏線回収の一番のネタバレは間違いなくスネイプだ。
昔、まだ「炎のゴブレット」あたりしか発売されていなかった頃
友達がスネイプが大好きで
ダンブルドアやマクゴガナル、シリウスやルーピンが好きな私は
「え?スネイプ?どこあたりが?」
なんて率直にぶつけてしまったが
最終巻を読むと、私が見る目のない大バカ野郎だと思い知った。
J.K.ローリング、伏線がすごい。
スネイプは全登場人物の誰よりも真っ直ぐに人を愛した人だった。
ダンブルドアの死の真相もなんともいえない。
ダンブルドアは改めて策士だと思った。
穏やかで優しく頭はよいが、冷静な策士でもある。
ハリーが自分の役目に最後に気づいた時は酷だったと思う。
最後の決戦前のハリーとダンブルドアの会話は印象的だった。
最後はハッピーエンドでよかった。
4月に足を骨折し、仕事を三週間休んだ私にはできることが限られていた。
そこで、ハリー・ポッターを読み返そうと思った。
読んでも読んでも他の本はあっという間に読み終わってしまったからだ。
ハリー・ポッターなら、読むのにそれなりに時間がかかる。
しかも濃密な内容だから気分転換になる。
そんな考えだった。
私が初めてハリー・ポッターを読んだのは発売した頃で
発売されるたびに新刊を読んでいた。
だから、次の巻を読むまでに年単位の時間が空いた。
今回は毎日ハリー・ポッターを読んでいた為
ストーリーの繋がりや展開が記憶からこぼれることなくしっかり読めた。
読み終わるまでに約二週間もかかった。
というのも
ハリー・ポッターを買い直したわけだが
中古で全巻セットが売っておらず
買い集めていたら、届くのが遅れたものもあったからだ。
一日に一冊くらいのペースで読めて本当に楽しかった。
ハリー・ポッターがなかったら私の骨折生活はもっと味気ないものだったに違いない。
たまたまだが
私が最終巻を読み終わった日は、ちょうど最後の戦いの日だったようだ。
タイムリーだと思った。
そして、読み終わった日は骨折が治った日でもあり
私は色々な意味で終わりを感じた。
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