山猫珈琲 上巻/湊かなえ
湊かなえさん初のエッセイである。
タイトルは湊さんの好きな「山」「猫」「珈琲」を組み合わせたらしい。
私ならなんだろう……「花」「音」「猫」「散歩」「チョコレート」「鍋」…うーん、並び替えてもしっくり来ないなぁ、なんて
タイトルと由来だけで唸った。
各テーマについての文章が2~3ページくらいだからサラッと読める。
新聞での連載が主みたいで、旅行や淡路島での生活、作家としての話、青年海外協力隊時代の話、因島での暮らし等が主に載っている。
今までちょこちょこと病院待合室や電車で読んでいたが
今日一気に読んでしまった。
バッグに入れる本は短編集に限る、というのが私の信条だ。
普段、湊さんというとミステリーだからエッセイだとどうなるのかなぁ?と思ったら
なかなかに面白い。
湊さんはそうなんだ~へ~!と親しみ沸いたり、私だったらこうだな~!といちいち感じたりした。
性格は似ていないと改めて感じた。
この本には東北の魅力がまず書かれていて
私が行きたい青森についても触れていて
あ~青森行きたい、東北行きたい、となるのだ。
ところが中盤からは淡路島の魅力(特に食べ物)がガンガン描かれていて
淡路島に行きたい欲が高まり
さらに城崎にしか売っていない湊さんの本があるらしく
あ~城崎にも行きたい、となった。
因島だって行きたい。
ポルノだけじゃなくて、湊さんのふるさと、しかも小説映像化のロケ地!
あぁ……行きたい。
色々魅力的な話が多かったが
特に印象的だったのが、授業の話と五年後の目標の話。
石川啄木が友を羨みながらもまぁ自分は自分だな、と思いながら奥さんに花を買って帰る、みたいな詩を詠んだらしく
授業でその花とはなんだと思いますか?と出題されたらしい。
面白い課題だ。
湊かなえさんはリンドウと桔梗。
私なら……カンパニュラかな、と思った。鉢植えならカンパニュラ。
もしも花束なら一輪のガーベラかな。
あと、デビュー作にして大ヒットした「告白」が賞をとった時、五年後の目標を
五年後に告白が代表作と答えない(ように次々と新作をあみだし、かつ告白以上、告白とはまた違った魅力ある本)
とし
常に今の自分、未来の自分で挑戦し続ける姿勢がかっこいいと思った。
確かに私も「あの頃のあなたもよかったけど、今の方がよりよい。」と言われたい。
過去の自分が一番のライバルだと思うんですよね。
なお、余談だがポルノグラフィティに「Aokage」という因島にある青影トンネルをモデルにした曲があり
それをイメージした小説も載っている。
湊さんもよく通っていたトンネルだそうだ。