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女一人旅三日目⑨~因島(ポートピアはぶ・折古の浜)~

土生商店街を後にした私は、ポートピアはぶを目指した。
徒歩5分くらいだ。

ここにもポルノグラフィティのメッセージ入りベンチがあるという。

 
 
私は自動ドアから中に入った。


 
 
私は絶句した。
そこに、私が焦がれていたパネルがあったからだ。

涙がポタポタ溢れた。

 
このパネルは2018年にロマポルDeep Breath用(20周年を記念した野外ライブ)に撮影され、設置されたものだ。
当時、私の親友が彼氏(現旦那さん)と旅行時に見つけ、メールで送ってくれた。

このパネルは期間限定の設置の予定だった。
だからこそ、私は2020年に因島に行きたかった。
このパネルを生で見たかった。

だけど、2020年にコロナ禍になり、夢は叶わなかった。

 

期間限定と聞いていた私は、このパネルが場所を変えてここに展示されるようになったことを全く知らなかった。
だから私は驚いた。もう二度と見られないと思っていた。

思っていたのに。

 
…コロナが五類になって、因島に来られるようになるまで
私をここで待っていてくれたんだね。
ずっと待っていたんだ。

 
ありがとう、ポルノグラフィティ。
大好きだよ、ポルノグラフィティ。

ずっとずっとずっと、私はこのパネルを見たかった。


 
入り口の自販機にさえウルッとくる。
ずっと夢見ていた因島が「ようこそ」と歓迎してくれることが嬉しい。

 
 
胸がいっぱいなまま、中に進んだ私は、更なる衝撃を受けた。

壁という壁に、巨大なアー写のパネル、ワズビルツアーのモニュメント、島ごとぽるの展ポスター、ラバッパー(ポルノのファンクラブ会員)からの寄せ書き、ポスター等が飾られていたからだ。

ここはライブ会場か展示会か何かなのだろうか。
無料でいいのか、ここ。

 
 
ベンチと因島観光協会(今日は定休)があるくらいにしか思っていなかった私は、あまりの絶景に一人立ち尽くしたのだ。

 
まさか折古の浜の写真まで飾られているとは。
これは、前にポルノのライブTシャツになった元となる写真なのだ。

 
 
次回は行きたいな、因島観光協会。
ここでお土産も買えるらしい。

 
 
メッセージ入りベンチの内容がこちら。

 
 
私はしばらく立ち尽くした。
息をするのも忘れたのではないかというくらい、ここから見える景色を眺めた。

私はここに来るために旅をしていた気がする。
もはや終着点のような気さえした。

それほどに満たされた。

  
 
レンタカーを返すまで残りあと3時間くらいあるが、後はマイペースに過ごそう。
行けるところだけ行こう。そう思った。

 
今日死んでも悔いはない。

この景色が見られたのだから。

 
 
 
脱力してフラフラしながら、気を取り直して車に乗り込む。
次に目指すは折古の浜だ。
車で10分くらいだろうか。

ポルノの「狼」という名曲に、折古の浜という歌詞があることから、ファンにとっては聖地になっている。
17年前、親友とも行った。当時はバスで移動し、本数がないことからしばらく海で過ごした思い出だ。

 
 
 
新藤フルーツ(晴一さんちの果物屋さん)の前を通り、ナビに従って進む。
友達が、因島はイノシシが多いと言っていて警戒したが、イノシシに遭遇せずなんとか浜に出られた。

駐車場が分かりにくく(民家の庭か駐車場か判断に迷う)、近くにいた方に尋ねた。
駐車場で合っていたらしい。よかった。
ファンの方か聞かれ、昔は海水浴場として栄えていたことや最近ウェディングフォトを撮りに来たファンがいたことを話していた。

 
「晴れていたらそれはもうキレイで。曇りは滅多にないのだけど。」

そんなことをおっしゃっていた。
何故私はそんな滅多にない日に当たったのか。

 
 
ただ、折古の浜は二回目だし、前回は晴れていた。
そして午前中は奇跡的に予報に反して晴れた。
それだけで十分だ。


残念ながら、貝やシーグラスは落ちていなかった。
ファンが拾っているのかもしれない。

 
 
 
鈍色の空と海を見ながら、私はしばらく立ち尽くしていた。

折古の浜。

17年前に来た時から、私にとって特別な場所になった。
辛いことがあると、折古の浜に来たくなった。

例えばあと少ししか生きられないと分かったなら、私は折古の浜にどうしてもまた行きたかった。

 
私にとって因島とは、そういった場所だった。

今年は色々あった。
お母さんは約半年入院し、障害者として生きるしかなくなり、職場では頼りにしていたリーダーがいなくなり、私は強くなるしかなかった。
人生にも未来にも希望が見えなかった。 

たくさん泣いた。たくさん傷ついたし、傷つけた。たくさん諦めた。
そんな一年だった。
そんな2024年が明日で終わる。

そんな年に、このタイミングで、私は焦がれた折古の浜に来ている。

 
 
死にたいとか、もう終わりだとか、そんな私の心の中にあった叫びは浄化されたかのようだった。
この穏やかな波を見ていると、まっさらになっていく感覚に襲われた。

 
 
折古の浜のベンチのメッセージはこちら。
地元民の方が近くでバーベキューをやっていて、ベンチは普通に使用されていた。

 
 
 
砂浜には誰かが描いたエルサがあった。
私も爪痕を残そうと思った。

 

 
 
因島 サイコー

ポルノ ありがとう

2024    12.30

 
 
 
 
なんやかんやで一時間くらい折古の浜で過ごす。
車に乗り込み、次の場所を目指した。




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