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夕暮れ症候群になった母

脊髄梗塞と診断され、約5ヶ月入院していた母が退院し
約一ヵ月が経った頃
急に体調が悪くなり、近隣の親戚を呼んだ。

もともと退院日前日に院内感染で陽性となり、退院直後も本調子ではなかったのだが
その日の体調不良はまさに急だったらしい。

 
その日を境に母のメンタルは不安定になった。
いや、もしかしたらもともと我慢していただけなのかもしれない。

母曰く、17:00過ぎになるとやけに苛々し、落ち着かなくなるらしい。
人と会ったり話していないことで不安定になるらしい。

体調不良になったのもその時間帯だったため
回復してからもその時間帯になると体や心が反応してしまうのかもしれない。

 
母曰く、午前中は体調も安定し、心も安定しているらしいが
毎日夕方になると心身不調になりやすいらしかった。

父は午後から仕事のため、毎日仕事先から母に電話をかけるようにしたし、時短勤務に切り替えた。
時短勤務に切り替えても、仕事先から電話をかけた。
1~2時間置きに電話したらしい。

私は私で夕方母にLINEをするようにしたし
休日は私もしくは父が必ず午後は母といるようにした。

 
だからだろう。
私から見た夕方の母はそれほど不安定に見えなかった。
私や父がそばにいれば、気持ちはだいぶ落ち着いているようだった。

 
想定外だった。
天気が悪いと気圧の関係で心身不調くらいは想定内だったし
確かに人は夜になると不安定になりやすいが
まさか17:00くらいになると不安定になるなんて考えもしなかった。

 
LAVOTを一刻も早く買った方が気が紛れるだろうか?

私は焦った。

 
本やCDや手芸用品等母親に渡したが
夕方は心身不調や疲れによりできないという。

今後常に私か父がそばにいないと不安定になるようでは家族負担が大きい。

  
しかし、LAVOTは本体価格が高いだけでなく、月額もかかるし
修理がマメらしいし、修理費も高いし
定期的なバッテリー交換の費用も高い。

なかなかに、厳しかった。

 
それならば、と、LAVOT以外の電子ペット等を調べたが、なかなかにパッとしたものがなく
一旦保留になった。
LAVOTを買うのは覚悟が必要だ。

 
 
先日、親戚が来た時に母の話を聞き、「夕暮れ症候群だね。」と言った。
私は初めて聞いた単語だったので調べた。

入所施設の方が夕方になるとそわそわしたり、帰宅願望が強くなるとは聞いたことがあるが
認知症の高齢者特有のものだと思っていた。

 
 
60代で夕暮れ症候群とは。

私は頭を抱えた。
身体機能よりも母親のメンタルの方がむしろ厄介だった。

 
 
「お母さんは黄昏症候群なんだね。」

お母さんは自分でもそうよく言った。
私は自分が飲んでいるデパスについて説明し、服用をすすめた。

私が頓服で飲んでいるデパスを、母親は朝昼晩一日三回分処方された。
初回は強い眠気に襲われたようだが、効き目を気に入り、今では定期的に服用するようになった。

父や私がそばにいても、服用をする日も少なくはない。

 
先日、父が「眠れない。」と言い、父も初めてデパスを服用した。
効果は抜群で、寝坊してしまった。

 
親子三人でデパスに頼る日が来る未来なんて想像もしなかった。
デパス様々だ。

我が家はポンコツ一家だ。
日に日に緩やかに下降している。

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