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ー詩と形而上学ー21.0


螢惑星     



肌 皮膚の隙間にしのばせた空が
その温もりを忘れられずに煙雨を降らせる
裂けた曇天から畦道のような一筋の
こらえきれない戸惑いが訪れ
体温が失われた赫が灯った


螢惑星は控えめな手つきで宵の帳を下ろし 
思い出したように時々頷いては
朔月の滲んだ旋律に遠き日の数学を見て
残照の葬列に並んでいる
     (そして最後の訪問客になった) 

   

白藍 閉じたはずの瞼から睫毛が見えて
その輪郭を柔らかに貫通した昼光色の窓
体温から離れてさかさまになった微熱が
理由もなく置き場所もない人差し指を
色白の罫線ノートに置き去りにした



山吹色の宙に浮いた水溜まりに飛び込む
微睡んだ運命論の船底にある硝子で
深く沈められた神話が疵を負い
ライムイエローの水面に魂が跳ねた
  (それを眺めながら、傷口を舐めた)


水紋を反射した虹彩の光は 
今日の残照に浮かぶ螢惑星のそれで              
逃れられない宿した熱は
低酸素ではくすぐったいらしく
夜の雲外に浮かんで息継ぎをしていた




Written by Daigo Matsumoto

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