守られなくなった信号

近所に、誰も守らなくなった信号がある
守っている者は私くらいしかいない。
小学生時代、その信号にはよくお世話になっていた。青信号になると近くに配置されている婦警のおばちゃんが横断用の黄色い旗を持って、笛をピーピー鳴らしながら私たち(私の小学校では集団下校がデフォルトだった)を誘導してくれていた。ちなみにその婦警さんは信号無視をした人を走って追いかけていく程には熱心な人だった。話を現在に戻すと、その信号が守られなくなった原因は、指定の通学路の変更に伴い信号を渡る人がゴッソリと減ってしまった(信号の利用者は小学生がバリュー層だった)ことで、残りの利用者達の気が緩んでしまった(小学生がいるのに私たち大人が信号を守らなくては示しがつかない・小学生が信号を守っているから便乗して自分らも守ろう、などと思わなくなった)ためだといい加減に推測する。信号を守らない方が合理的とも言うが、確かにそれも解らないでもない。だが、それでは信号機が可哀想ではないか。人を相手に同情するのは憚られるが、無機物相手ならいくらでもしてよいのだ。

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