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情報1:相関分析を題材にしたデータ活用の授業

こんにちは。高校で情報の先生をしていますTakitoです。
ご高覧いただきありがとうございます。
今回は「データの活用」の分野で相関分析を題材にした授業を実施したので、記しておこうと思います。

データ活用の授業に対する考え方

正直、データ活用に関しては知見を深められておらず、授業を工夫できる段階に達していません。そのため、導入部は雲雀丘学園高等学校の林先生の授業実践を参考にし、実際にデータ分析を行う活動はアサンプション国際高等学校の岡本先生の授業実践事例を取り入れて授業を構成しました。

授業の方向性

活動として、数学1との親和性も高い「相関関係」を題材にした相関分析を行うことにしました。ただし、データ分析のPPDACサイクルを全て経験させようとすると、時間がかかりすぎるため、計画やデータの収集などのいくつかの工程は教員が指定し、どちらかというと問題解決ではなく、データ分析活動に重点をおいた授業を行いました。

PPDACサイクルとは、次の単語の頭文字をつなげたもので、海外や統計教育
でもよく使われる統計的探究プロセスです。

P(problem、問題)   P(plan、計画)   D(data、データ収集)
A(analysis、分析)    C(conclusion、結論)

データスタート:https://www.stat.go.jp/dstart/point/seminar1/01.html

学んでほしいこと

  • 相関分析の手法を理解し、必要な時に使えるようになってほしい。

  • データを分析、考察して情報を文章化できるようになってほしい。

授業の流れ

データ分析の理解

はじめに相関分析のイメージを持たせるため、Webサイト「STEAMライブラリー」の動画「世界はデータで出来ている 暑い日はアイスクリームが売れる?」を視聴させました。

P(problem、問題)、P(plan、計画)、D(data、データ収集)

「気温とアイスの売上」のような相関関係がありそうな2つのデータをWebサイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」から探し、仮説を立てさせました。仮説を立てる際は、疑似相関を紹介し、考慮するよう注意を促しました。

A(analysis、分析)

散布図の作成と代表値(平均値、中央値、相関係数)を関数を使って求めさせました。また、Web上からデータを利用するため、単位の削除や欠損値の処理などのデータの整形も行いました。なお、本校では生徒はipadを利用しているため、表計算ソフトはnumbersを利用しています。

C(conclusion、結論)

分析で計算した代表値をもとに、結論・考察を書かせました。
文章化は難しいと感じる生徒は多いだろうと予想していたので、ヒントとして、掲載すべき項目を列挙し、文章例も提示しました。
 ・相関係数と相関関係の結果
 ・自分の仮説の正誤とそうなった自分なりの分析
 ・散布図や代表値から発見できたこと
 ・新たに出てきた疑問や予想など

授業結果と振り返り

相関分析の手法が理解できたか、という点では、成果物を完成させた生徒は多かったので、ある程度は理解できただろうと考えています。
分析・考察の文章化に関しては、想定より良い活動となったと感じています。私の想定では、生徒が自分の考えを文章化できれば、十分な目標到達としていました。しかし、Webの情報を使って自分の分析の蓋然性を補完する生徒や、Webの情報をもとにして別データとの相関性に言及しPPDACサイクルの2週目を見据えた内容などの1段階秀でた文章を書く生徒もいました。
一方で、仮説の段階で「高校数とマクドナルドの店舗数」のような疑似相関が疑われるような仮説や、「図書館の数と図書の貸し出し冊数」のような疑問を感じる仮説を立てる生徒もおり、仮説の立案には課題が残りました。
また根本的に、データ分析には他にもさまざまな手法がある中で、相関分析だけでデータ分析を終わりにして良いのか疑問はあり、こちらも今後も教材研究を進めていきたい部分です。


データの活用分野はまだまだ勉強不足感が強い。。。

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