(クイズあり)友達に教えたいリスクとお金の話(4-7)
第4章はいよいよ「まとめ」と復習クイズです。第3章のクイズの答えが最後にあるので、答え合わせもしてみてください。
まとめ:予測で「当てようとする」ことを止めよう
これまでのポイントをまとめてみましょう。
1) 運用のプロの重要な仕事は「投資目的に沿ってリスク量をコントロールする」こと。「予測に基づいて売買を行う」も仕事の一部だが、最も重要な点ではない。
2) 株式、債券といった各資産クラス固有の中長期的なリターンを獲得するには、各市場を代表する「ベンチマーク」(市場を表す指数)を意識し、そこから不要に離れないように運用することが必要。これが1)でいう「リスク量のコントロール」である。
3) 株式、債券といった各資産クラスの組入れ割合(アセットアロケーション)を数か月など短期間で頻繁に変えることは、上記2)の目的から言って望ましくない。
4) 「当てようとする」予測に基づく売買は「外れた時に各資産クラス(株式、債券など)の市場の成績を下回るリスク」もはらんでいる。そのため、プロが予測による投資を行う際には、市場(ベンチマーク)からの乖離を慎重にコントロールする。
5) 「当てるために」投資家が参考にする情報は、すべての投資家がアクセスできる情報であり、情報は瞬時に証券価格に反映される。(市場の効率性)投資家がその情報を咀嚼して投資行動を起こすまでの間、価格が低いままで待ってくれるわけではない。そのため情報とその分析に基づき売買を行って市場を上回るリターンを継続してあげることは難しい。
6) 運用を専門にする業者でも、何年も継続して市場より高いリターンを低リスクで実現することは困難。個人投資家はリスク(市場からの乖離)を増やして高リターンを狙う傾向にあるが、それは「運用が上手い」とは言えない。また、仮に成功したとしても再現性に乏しい。
7) 結論:その時々のニュースや相場の予測に基づいて、各資産クラス(株式・債券など)の配分を頻繁に変更したり、資産クラス内の組入れ銘柄を頻繁に入れ替えたり売買したりすることは、長期的なリターンを達成するための邪魔になる。特に、アセット・アロケーション(資産配分)は、長期的な投資を行うなら、運用開始時点の投資目的に沿った範囲で維持する方が有益である。
第4章 復習クイズ
Q4. プロの運用者の仕事は次のどれですか?
A. ファンドの「投資目的」に関わらず、その時々で儲かりそうな資産クラスに投資してもっとも高いリターンを目指す
B. ファンドの「投資目的」に合致した範囲に期待リスクが収まるようにリスクをコントロールしつつ業種や個別銘柄の投資割合を調整する
C. ファンドの「投資目的」にある資産クラスの範囲内で最もリターンが高いと考えられる業種や個別銘柄に集中投資をする
Q5. 「生命保険会社などの機関投資家は、株式・債券といった各資産クラスへの投資割合を数か月単位で大きく変更することにより、リターンの向上に努めている」正しいですか?
A. 正しい
B.間違い
Q6.「ベンチマーク」とは何ですか?
A.国内株式・外国株式など、各資産クラスの市場を代表する銘柄で構成された指数
B.ファンドの運用者が目標にする年率リターンの数値
C.株式・債券など資産クラスの組入割合
Q7. 「上場企業のよいニュースが出てからその企業の株を買えば、買い付けた時よりも必ず株価は上がる」正しいですか?
A.正しい
B.間違い
第3章「復習クイズ」の答え
Q1.投資によって得られる収益のことを「リターン」といいますが、その意味は?
C. 上記A(利息・配当などの利息収入)とB(投資開始時からの値上がり益(損の場合も含む))を合わせたもの
Q2. 投資における「リスク」とは何でしょう?
A. リターンが時期によってばらつくその度合い(リターンのブレ)
Q3.「確実にほかより儲かる投資対象」とは?
C. ない(儲かる期待が高いほど儲かる確実性は少なくなるため)
(第5章に続きます)