見出し画像

よしおさんの雑草精神

奥さんからとある番組の予約をお願いされて、テレビで番組表を開いたら、予約してほしいものの隣に気になるものがあった。
情熱大陸、小島よしお。
情熱大陸はあと数分で始まる。小島よしおがテレビに出始めたのは、ぼくが中学生ぐらいの時。一発屋と言われながら、今もテレビやYouTubeでよく見かける。ってことはなんだかんだ15年近くも見続けていることになり、加えて人柄も好きなので、親しみがあった。だから自然と迷うことなく、チャンネルを変えなかった。 


「お笑いの才能は本当にない。ネタづくりも大喜利も能力は本当に低い」と言っていた時に、自分ごとのように共感した。それはお笑いではなく、仕事の話だ。設計という仕事をしていて、ぼく自信もその才能はないと思っている。それは周りにいる才能を持ってて目立つ人達と自分とを無意識に比べているからだ。お笑いも設計も上を見るとしんどくなる業界のように思う。 (ちなみに小島よしおの「ピーヤ」は、“比”べるのを“止”めよう、で「比止」らしい。いい言葉だ。)


「雑草の生き方とぼくが近い」的なことを言っていたのがなるほどと思って、紹介していた本を買って読んでみた。タイトルは「弱者の戦略/稲垣栄洋(いながきひでひろ)」。さらに同じ著者の「はずれ者が進化をつくる」も読んだ。


色々学びはあったけど、特になるほどと思ったのは、あらゆる植物がそれぞれ持つ、3つの成長戦略だ。
1つ目は競争型。競争という言葉の通り、誰よりも強くなって他を寄せ付けないような戦略。
2つ目はストレス耐性型。水や光が不足している環境でも我慢できる力を持つものの戦略。 過酷なところであれば、邪魔するものはいなくなる。
3つ目はラデラル型。ラデラルを辞典で引くと、「横の。横への。横からの。横に向かった。側面の。」とある。特徴は環境の変化に強く、予測不能な環境でも変化しながら対応する戦略だ。そしてこの戦略で成功を収めているのが「雑草」のようだ。



面白かったのは、「雑草は森では育たない」という点である。森だと他の植物に競争に負けてしまうので、誰もいないところで、環境に合わせて、茎の長さや葉の大きさ、成長スピードを変えて、花を開くそうだ。小島よしおが「自分が雑草だ」と言ったのは、面白さの強者達が群雄割拠するところをフィールドにすることなく、お笑い芸人が生息していない「子どもたちがいるところ」に根を張り、「そんなの関係ねぇ!」と力強く生きることを指していた。 小島よしおは今、子どもたちのスターである。


さっき書いたが、設計もお笑いと同じで、本当にすごい人というのは、誰もが知る有名な建物を建てていたり、住宅、オフィス、店舗、なんでもこいの人がいたり、上を見たら、もう自分なんていう人間がとにかく小さく見える。オフィス専門で、さらに会社の中でも偉い地位にいるわけでもない。競争型だろうなぁ、というお偉いさんと一緒にいると緊張して、本来の力を発揮できなくなる点では、ぼくも雑草である。


小島よしおに共感し、自分の中にも雑草魂が眠っているかもしれないと思ったのは、今の会社で設計から少し外れたフィールドで、自分だけにしかできなさそうなことがあると感じたからである。思えばぼくは小学生の時から少し外れたところを狙って、何かを作ったり特技を身につけたりして、えっへんと自己肯定感を高めていた気がする。 ありきたりなフィールドでNo.1を狙うのではなく、No.1になれるフィールドを探す、というのは、多くの人の救いになる考え方なんじゃないかなって思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?