映画紹介#3 正欲
ネットフリックスにて配信されている映画 正欲を見た。(小説が原作だがそちらは見ていない)
この世界がいかにマジョリティを基準にながれているか、そこから抜け落ちている人がいるのではないかということを考えさせられる作品だった。
ストーリーは小難しくなく、登場人物の感情の変化へ表現がとても繊細で素晴らしいなと思った。(あらすじ→検事の寺井啓喜は、不登校の息子の教育方針をめぐり妻と度々衝突している。秘密を抱えた桐生夏月が世間と断絶を望み、ショッピングセンターで販売員をしていたが、秘密を知る佐々木が地元に帰って来たと知る。八重子は同じ大学に通う大也を気にしていて…)
そして台詞がとてもよく、印象に残る作品だった。おすすめ。
印象的な台詞をいくつかあげると。
『情報とは明日を生きる人のためにあるものだ。
あってはならない感情なんてない。
明日目覚めたら別の誰かであってほしいと願う。』
など。
見て考えさせられた事といえば。
自分に想像できることにはやはり限界があり、その想像を広げるというのも大切だけれど、どこまでいっても自分の想像の外の世界や可能性や見落としがあるという前提のもとに世界と対峙できたら良いのかなと思う。
もしかしたら分かり合える・理解できると思うこと自体、すごくエゴで。わからないことや理解できないことがそこらじゅうにある、”ただある”ということがそれ自体当たり前でありそのただただあるという状態がもしかしたらフラットな立場に近いのかなぁと。なんというか、判断しないというか。
自分が今、生きていける、それを助けてくれているものに感謝したいなと思う作品だった。(広い意味では全てに繋がっていて、助けられているのだけれど)
何に自分が強く結びつきを持たせてもらっているのだろうかと。
あとは、自分の中では今回深く考えさせられたことは、自分を守る・保守的な意味でのマジョリティを選んでしまってないか。という疑問であった。