家のお手入れ時期は誰もアナウンスしてくれません
「家ってお手入れが必要だと思わなかった」
時々、そういったお話しを伺い、その都度、衝撃を受けます。
靴だって、服だって、使っていくうちに破れたり、汚れたり、していきますが、学校で「服が破れたら直しましょう」なんて授業は無いと思いますが、周囲を見ていれば、直すか、買い替えるかが必要なことは自然と分かってくると思います。
なぜ、家だけはずっとそのままで良いと思ったのでしょうか?
■家の価値が無くなってしまう訳
1 日本人は新しい物好き?
日本では次々にブームがやってきては廃れ、
また新しいブームが来ては廃れ、
を繰り返しています。
目新しいものにすぐに飛びつく習性でもあるのかもしれませんね。
住宅のブームも激しく、
外観が重視される建売住宅はブームにとても敏感なので、
分譲地に立ち並ぶ外観を見ると、およそどのくらいに建ったのが分かります。
そんな新しい物好きの日本人からすると、
古い住宅と言うのは価値が低く見られるので、中古住宅は「ほぼ土地の価格」になってしまうかもしれませんが、そもそも、ちゃんと維持管理されていない住宅を買いたいと思う方は少ないと思います。
2 維持管理されていない家
欧米では、
家の手入れは自分で行う
という文化があるそうです。
実際に、私自身が現地で見聞きしたわけではないですが、
この話を初めて聞いた時には激しい衝撃を受けました。
あまりに日本の文化と異なるということに!
そして、欧米ではきちんと維持管理されてきた住宅は新築住宅よりも価値があると評価されると聞いて、更なる驚きでした。
中古住宅が新築住宅よりも価値があるなんて、日本では考えらえませんよね。
一部、古民家住宅をそのように評価しようとする流れもありますが、
古民家住宅の扱いはそう簡単ではないので、安易に取り扱えるものでは無いとは思います。
話しを戻しますが、
家の価値が上がるのだとすれば維持管理のモチベーションも上がりますので、欧米の住宅は相乗効果をもたらしていると考えらえます。
日本では、来年から建築基準法が改正され、更に、高水準の住宅が必要となり、かつ、申請手続きも複雑化し、コストの大幅アップが見込まれています。
ますます、新築住宅市場の低迷を加速させることになりますが、リフォーム市場、中古住宅市場の活性化につながるかは微妙なところです。
3 住宅の維持管理市場には怪しい業者が多い
住宅のリフォームや修理修繕、維持管理に関する詐欺、詐欺まがいの事件は相変わらずたくさん発生しています。
主に、高齢者世帯がターゲットにされているようですが、
固定電話での営業、訪問販売、などが中心ですので、在宅率が比較的高い高齢者層が狙われやすくなっています。
高齢者の方々は、なかなかご自分で自宅の維持管理を行うのが難しいことも多く、建設会社などに依頼することが多くはなると思いますが、こうした怪しい業者が増えていると聞くと、更に、自宅の維持管理に消極的になってしまうでしょうね。
また、この国では将来への不安も相変わらずですので、お金を使いたくないという想いから、住宅へ投じるお金はなるべく抑える傾向があります。
4 リフォームって造語なんです
英語には住宅を改装する意味として「リフォーム」と言う言葉はありません。
違う意味としてはありますが、こうした使い方のリフォームは和製英語です。
当然、昔の日本では無かった言葉ですので、昔の大工さんたちがリフォームをすることもありませんでした。
むしろ、古くなった家は建て替えるというのが日本の文化でした。
ですから、日本にはリフォームの技術や知識ってそれほど蓄積されていないのが実際のところです。
きちんと指導出来る技術者も教本なども少なく、それぞれが経験を積みながら試行錯誤しながら行っています。
ですが、そんな新しいはずの業界にもかかわらず、
リフォーム業者があまりに多いのには疑問がありませんか?
それは、簡単に名乗れるからです。
作業着を着て、工具を持っていて、DIYでも出来れば、すぐにでもリフォーム業者になれてしまうのです。
5 家の維持管理の必要性を訴えるのは怪しい業者?
工務店などが自社で新築したお客様に
「リフォームしましょう」
「家のお手入れをしましょう」
と頻繁に言ってきたとして、お客様はどう思うでしょうか?
「うちのことを気にかけてくれている」
と前向きに捉えてくださる方もいらっしゃるかもしれませんが、
「もっと売り上げを上げようとしているのでは?」
「そんなに工事をさせたいの?」
と感じてしまう方も少なくないではないでしょうか?
工務店であれば、家の維持管理のために定期的にお手入れが必要なことは百も承知ですので、自社のOB客様にもやんわりとお伝えすることはありますが、こちらから積極的に「お手入れをしないとダメですよ」とは言いづらい面があります。
自動車のように定期的に車検を行うことが義務付けられていればアナウンスもしやすいですが、そうした義務は全くありませんので、あくまでも所有者の方のご意向、ご計画次第です。
そして、維持管理をした結果、しなかった結果については全て自己責任なってしまいます。
むしろ、怪しげな業者の方がどう思われても構わないので積極的に必要不要に関わらずに積極的に、強引に、アナウンスしてくれるかもしれません。
■最後までお読みいただきありがとうございます
物を大切に使い続けるためには、必ず、お手入れが必要です。