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━ 遺産の相続手続きの基本事項②━

【はじめに】 

前回の「遺産の相続手続きの基本事項①」では、主に戸籍収集(相続人の確定)についてご説明しました。
よろしければ、こちらをご覧ください!

今回は続編として「遺産の相続手続きの基本事項②」と題し、戸籍収集に続いてする、相続財産の確認や遺産分けの話し合いなどについてご説明いたします。

【まずは相続財産を把握する】

相続手続きを進めるにあたり、故人の財産(相続財産)を正確に把握する必要があります。

現預金や不動産だけではなく、株、自動車、宝石、高級な腕時計なども相続財産に含まれます。

まずは、故人の自宅をくまなく探してみましょう。

通帳や不動産の権利証、株式であれば株券や証券会社からの郵送物がないか確認しましょう。

いずれも重要な資料なので、金庫に保管されているかもしれません。

また、普段から付き合いのある銀行に貸金庫契約をしているケースもありますので、貸金庫の鍵や貸金庫カードの有無もしっかり確認しましょう。

 

【書類が見当たらない!】

おそらく捨ててはいないものの、「どこにしまったのかわからない!」ということもあるかと思います。その場合は、以下の方法で調べてみましょう。

≪預金・株式≫

銀行や証券会社等は、氏名や住所などの情報をもとに、故人名義の口座を調べてくれます。また手数料はかかりますが、残高証明書なども発行してくれますので、必要に応じて照会してみましょう。

≪不動産≫

不動産の所在地である市町村の役所で「名寄帳(なよせちょう)」という書類を取得すると、故人名義の不動産が一覧になって出てきますので、大きな手掛かりになるはずです。

【借金も相続財産】

預金などのプラス財産のほかに、借金などのいわゆる「マイナス財産」も相続財産に該当します。

借金となると、家族に内緒にしていることが多いと考えられます…。

まずは、通帳でお金の動きを見て借金の返済がないか、督促状のような郵送物が届いていないか確認してみましょう。

しっかり確認したい場合は、信用情報機関(シー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機構(JICC)全国銀行個人信用情報センター(KSC))に情報開示請求する方法があります。

故人の死亡後、相続人であれば原則開示請求ができます。

※手続き方法は各機関によって異なるため、ホームページ等で確認が必要です。

【借金が多すぎる…相続したくない!】

相続財産を調べた結果、「明らかにプラスよりマイナスの方が多い」という場合は、相続放棄することもできます。

ただし、相続放棄には期限があり、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に、家庭裁判所へ相続放棄の手続きをしなければなりませんので、注意しましょう。

無事に裁判所で相続放棄が認められた場合は、初めから相続人ではなかったとみなされます。

そのため、故人の借金を引き継ぐことはありません。万が一債権者から督促されても、返済する義務はありません。

※裁判所から発行される相続放棄の書類提示を求められますので、書類はきちんと保管しておきましょう。

【遺産の分け方はどうする?】

相続放棄はせずに相続するとした場合は、故人の財産を各相続人で分けていきます。

遺産の分け方には優先順位があり、①遺言書が存在する場合は遺言書のとおりに分ける ②遺言書がない場合は相続人全員で話し合い(遺産分割協議)をして、分け方を決定することとなります。

以下では、事例の多い②のケースを前提に説明をします。

【遺産分割協議】

遺言書がない場合、相続人間で遺産分けの話し合い(遺産分割協議)を行います。

この分割協議は、相続人全員で行う必要があり、相続人全員の合意がない協議は無効となります。

相続人に認知症の方がいる場合には、成年後見人が当該相続人に代わって協議に参加することとなります。

【遺産分けの話し合いがまとまったら…】

無事に相続人全員が分割協議の内容に合意した場合は、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は、原則、預金解約や不動産の名義変更の際に銀行・法務局に提出が求められます。

また何より、合意した内容を書面として残すことにより、後日争いを防ぐ役割も果たしますので、作成は必須と言えます。

 

ちなみに、遺産分割協議書には決まった書式やひな形は存在しません…。

そのため任意の書き方で構わないのですが、「誰が」「何を」「どのような割合(金額)」を相続するのか具体的に記載する必要があり、ここが曖昧だと、後日相続人間でトラブルが起きたり、銀行や法務局で受付してくれないといった問題が生じてしまいます。

 

遺産分割協議書が出来上がったら、最後に相続人全員の署名と実印の押印を行い、印鑑証明書を添付します。

なお、「実印」の押印が求められますので、印鑑登録をしていない場合は、速やかに役所で印鑑登録を行いましょう(本人であれば即日で登録可能です)。

 

【おわりに】

今回の内容はいかがだったでしょうか?最終的に預金を解約したり不動産の名義を変えるための前段階までのお話でしたが、正直しんどいと感じてらっしゃるかたも多いのではないでしょうか?

当事務所では、日々多くの相続手続きをお任せいただいております。お困りの際は、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!

行政書士法人第一事務所

行政書士 岩本 譲(行政書士登録番号 第21010161号)



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