ひとりじゃないと気がつく「インサイドヘッド2」
今年の夏休みは家のことばかりしていたので
夏休みっぽい映画が観たいと前作を見落としていた
インサイドヘッド2を観に行きました。
夏休みには大好きなピクサー映画
映画館にはたくさんの子供たちがポップコーン片手に座っていて「ああ、やっぱり夏らしいなぁ」と思いました。
そもそもピクサーの映画が好きで、ディズニーに吸収されてしまったのはショックでしたが、ピクサーらしさは健在でした。
小さい時からインサイドヘッドのような映画に触れることが出来るって羨ましいなと思います。
この子たちが成長したらどんな感性になるんだろう。
ピクサー好きなわたしがなぜ前作を見落としていたのかは謎なのですが、なんのイメージもなく
「夏休みを感じたい」「ピクサーだったら観たい」
「吹き替えの声優さんに大竹しのぶさんが続投で、
どうやら多部未華子さんが参加したらしい」
こんな噂だけを聞いて出かけてきました。
インサイドヘッドは、自分の心の感情の世界
インサイドヘッドの世界は、カラフル。
いろんな色が溢れています。
カラフルな小さな球体のひとつひとつにいろんな想いが閉じ込められています。
主人公のライリーは、まもなく高校に入学する女の子。大人の入り口にさしかかっています。
インサイドヘッドのタイトルにもあるように
ライリーの頭のなかの世界を描いているのですが、
わたしには頭のなかというより心のなかというように感じました。
心には感情というものがあり、その感情の濃淡がその人の性格を作ります。
その感情をいちいち、今、わたしはこの感情と向き合っていると意識しないで生きていますが、実にたくさんの感情が自分の中にはあるのだとあらためて思うのがこの映画です。
それは感情のひとつひとつがキャラクターとして擬人化されているからです。
ヨロコビ(喜び)カナシミ(悲しみ)イカリ(怒り)
ビビリ、ムカムカ。
インサイドヘッド1では、どうやらこの5つの感情が小さい頃からのライリーにあって彼女は、この5人に見守られながら家族の中で成長していた様子です。
インサイドヘッド2では、思春期を迎えたライリーの感情のなかにおとなの感情が芽生えたようです。
そのキャラクターがシンパイ(心配)、イイナー、
ハズカシ(恥ずかしい)、ダリィ。(だるい)
まさに毎日、心配だなあ。
いいなぁ。 だるいなぁ。 やっちまったなぁ。(恥ずかしい)そんな自分の感情を持て余して暮らしています。笑。
思春期の頃はそんな感情の芽生えに戸惑いますし、
自分の感情のコントロールも難しい。
そもそもこんな感情初めてだと戸惑いっぱなしですよね。そんな遥か昔の自分の気持ちを思い出したり
主人公のライリーの気持ちに共感したり。
大竹しのぶさんは前作からの続投でカナシミのキャラクター。
多部未華子さんは今作からでシンパイ。
カナシミは、優しいキャラクターです。
チームのリーダーは、ヨロコビなのですが、
カナシミが控えめにサポートしてくれることでチームがなごやかになるのです。
そんな微妙な感情を大竹しのぶさんが抑えて演じているのが伝わってきます。
主人公のライリーは思春期
ライリーは、大事な友達2人と高校入学を期に離れることを知ってとてもショックです。
ずっと一緒に過ごせると思っていたからです。
ふたりとは小さい時からの大事な友達のようで、
ふたりは同じ高校に入学するのに、
自分はひとりで新しい別の高校に入らないといけません。別れていく戸惑いや孤独感でいっぱいです。
3人はずっと続けてきた大好きなアイスホッケーチームの高校生合宿に参加出来ることになって、新しい世界への心配の渦がライリーの中に巻き起こります。
今作のメインキャラクターはシンパイ。
今までは知った世界の中で大好きな友だちたちと
信頼や友情の絆を感じながら少しずつ育っていったライリーの良さ。その良さはヨロコビたちのチームと共に育ててきたものです。
ヨロコビたちはライリーのことをなんでも知っているつもりでした。その絆に喜びも感じていた。
けれど新しい世界にひとりで入っていかないといけないライリーは、その合宿でチームの先輩高校生たちに認めてもらわないといけない。ホッケーチームのコーチに自分の実力も認めてもらわないといけないと一度にたくさんの心配の感情が芽生えた彼女は今までのライリーとは違ってきました。
ヨロコビたちチームは、なすすべもなく
自分たちのチカラ不足と混乱している孤独なライリーにとって居場所がない感情になっていました。
ライリーは、無意識に慣れ親しんだ感情に蓋をします。
そんな様子がヨロコビたちのチームがビンの中に閉じ込められてフタをされることで表現されていました。
今や感情をコントロールしていくチームリーダーはシンパイ。
ありとあらゆる心配毎を想定して対処出来るようにフル回転で動いています。
多部未華子さんのクールでいてハイなとても素敵なシンパイが大好きでした。
けれどシンパイが大活躍する世界は、ライリーにとってはとても辛い世界です。
心の安穏な場所のないライリーは、余裕がなくて
どんどん伸びやかな優しい思いやりのある
ライリーらしさからは遠くなっていき、仲良しの友達からも距離を置かれて自分を追い詰めていきます。
そんななかでもライリーらしさを取り戻して欲しくて
ガラス瓶にフタをされて、
感情のコントロールタワーから追い出されたヨロコビたちチームは、悪戦苦闘を繰り広げています。
実際のライリーのリアルな世界と
心の中で広がる感情の世界。それを交互に対比させながら冒険の世界を描き出すピクサーの技術と
伸びやかな表現は大人でも見応えのあるものでした。
自分はひとりじゃない
小さい時から自分の中では、こんな感情たちが一緒に育っていて嬉しい気持ちも悲しい気持ちも
イライラする気持ちも怖気付く気持ちも
心配する気持ちも恥ずかしい気持ちも
いろんな気持ちを自分だけが抱えて
悪戦苦闘していたつもりだったけれど
心のなかの世界ではヨロコビやカナシミやシンパイが寄り添ってくれていたんだなと思いました。
ライリーの中でシンパイが暴走して、爆発しそうになっていた時にやっとコントロールタワーに戻って来られたヨロコビたちは全身でシンパイを抱きしめて大丈夫だからと言ってあげるのです。
ライリーの様子に心配して寄り添ってくれたふたりの友人の気持ちにやっと気づいたライリーは、少しずついつもの自分らしさを取り戻していきます。
ひとりで生きていると思いこんで追いつめられてしまう頭のなかや心のなかで、たくさんの気持ちたちが応援してくれているんだと気がつきました。
自己肯定感って難しいけど、どんな気持ちも
大事な自分の感情。シンパイを抱きしめてあげたヨロコビたちのように自分で自分のいろんな感情を抱きしめてあげたいなと思いました。
だいぶ大人になっちゃったけど
「わたしガンバレ」とつぶやいて映画館を出たのでした。