映画「ハケンアニメ!」感想…至るところに本気を感じるお仕事ムービー
本日、雨の中ではありましたが友人と集まり、映画「ハケンアニメ!」鑑賞会を執り行いました。興味はあったけど観る機会がなかった、というメンツです。
この記事の中で買った、と綴ったレンタル落ちDVDです。
私自身も初見で観たかったので、二ヶ月寝かせておきました。
Filmarks感想
公開当時から気になっていたが、ようやく鑑賞。
テレビアニメ制作現場を舞台に、新人監督とカリスマ監督が「覇権」をかけて激突する職業もの。
アニメ「SHIROBAKO」を彷彿とさせるアニメ制作現場の苛烈さ…よりも、考えは違えど作品を成功させたいという共通の目的で動く人々の思惑を描くヒューマンドラマだった。
一番印象に残ったのは、柄本佑氏演じる行城。ストイックにビジネスとしてのアニメ制作を総括し個人的感情を見せない人間でありながら、一方で主人公・斎藤監督の理解者である側面も見せる。彼の演技力の高さはどの作品でも感じているが、また忘れられないナイスガイを見た思い。
敵役である、中村倫也氏演じる王子監督も線の飛んだサイコなアニメ監督と思わせて、情熱的な職人であったりと基本的に気持ちの良い人間しかいない映画だった。
それでいて物作りの現場には常に困難、問題が起こる。仕事の現場はそれだけでドラマの舞台になりうると感じさせられた。そして何より東映作品、劇中アニメである「サウンドバック 奏の石」、「運命戦線リデルライト」が共に面白そうな作品に見えるのが良いところ。そこで白けさせては元も子もない。
結末がお互いの想定と逆転するのもまた示唆に富んでいる、欲を言えばリデルライトの方をもう少ししっかり観たかったほどである。
私自身が創作の世界に足を突っ込んでいるので心に沁みる要素が多くあり、今後も機会があれば見返すことがありそうな作品だった。何より、一つの作品が完成するまでには大勢の力が必要であることは忘れずにいたい。
…それにしても、客寄せとしてアイドル声優を使っていると言いながら監督もまた客寄せに駆り出され、また効果がありそうなところが最もファンタジーに見えた(笑)。吉岡里帆は可愛すぎる。
有科さんは、王子監督に対し怒りからタメ口になってしまうところが面白かった、リアルである。
一方が真面目監督とクセ者チーフ、もう片方がクセ者監督と真面目チーフという構図もよく出来ている。
何よりそのクセ者二人、まさにそれぞれ仮面ライダー50周年企画の2号ライダー同士であるところが東映キャスティングの妙である。
レンタル落ちDVDでの鑑賞だったが、改めて新品の円盤を買っても良いと思わされる程には良作だった。
誰かに響け、全ての作品たち。
「誰かの胸に刺さってくれれば、いい」
ところどころエヴァネタが入ってくるのは楽しかった。
スコア……4.5点
アニメオタクの「浅さ」を再認識
さて、作品はとても面白くて満足の鑑賞会だったのですが、改めて「ネットの評判」がいい加減なものかを実感もした、そんな日でした。
この「ハケンアニメ!」、2年前の作品ですが公開当初の評判はあまり良くなかったように記憶しています。主にSNS上での感想を数件見ての印象論ですが。その中に、
「この映画の劇中アニメである「サウンドバック」と「リデルライト」がハケンを争うような作品にはとても見えない」
という意見があったんですね。
そもそも覇権の定義とはなんなのでしょう。視聴率?配信の再生回数?SNSでのトレンド入り?円盤の売上?言ってしまえばそれら全て、ということになるのでしょうが、要は「話題になっている」「盛り上がっている」というイメージに基づいて今期の覇権はコレだ、と決められているいわば
「多分…コレ」
くらいの基準で決まる、曖昧な印象の話ではないかと思います。
最近、ガルクラにハマっている私ですがおそらくこれは今期の覇権といって良いアニメではないかと思います、毎週トレンド入りを果たしていますので。そして、別の記事でも書きましたが放送開始前はそれを予測していた人はほぼいなかった、始まってみて高評価を得たダークホース的作品である…という認識も大方の人が頷くところであろうと思われます。
私は今日この映画を観ましたが、この劇中アニメが仮に現実に放送されたとして、映画の中と同じように覇権を争う作品になるか否かはともかく、少なくとも映画の中で覇権争いをしている2作品と謳われてそれに違和感を覚えるようなアニメではなかったと思います。細かいストーリーは分かりませんが、最終回の部分がエモーショナルなのは存分に伝わってきたんですね。
何が言いたいかといいますと、ガルクラを軽く見ていた人達の前評判と同じで、「通ぶりたい批判屋」は大体的外れなことしか言っていない、というのをこの映画で再度確認した、ということです。
私も創作の世界に片足を突っ込んでいる人間で、商人と職人、両方の側面からもの造りをしていかなければならない…という意識は持っています。この映画の斎藤監督、王子監督、そしてそれぞれのチーフプロデューサーには共感する部分がおおいにありました。
今の時代、ネットの評判と言うのは避けててもうっかり目に入ったりしますし、場合によっては視聴モチベーションを上げることもあるので有益なケースも少なくありません。が、どんなレビューや感想が先にあろうとも、やはり判断は自分の目と感性でするべきだな、とあらためて感じたのでした。
「ハケンアニメ!」、良い映画でしたね。
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