「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」感想…熱い半人前の物語
先日、アニメ風都探偵の劇場版を観てきました。
テレビ版はもう3年前になりましょうか、オンエア時に視聴済みです。
ちなみに原作の漫画版は未読だったりするのですが、アニメの前まで仮面ライダーWの続編らしいよ、と小耳に挟んだ程度の認知はしていました。
アニメ版の感想はこちらに書いておりましたが、3年前に漫画も読んでみよう、とか言ってるので自分のことながら苦笑してしまいました。有言不実行にも程がある。
Filmarks感想
風都探偵 仮面ライダースカルの肖像(2024年製作の映画)
テレビアニメも観ていたので外せない、と初日鑑賞。
左翔太郎が語る、師・鳴海荘吉の物語、それ即ちダブル誕生秘話という内容。
内容についてはほぼ実写と同じだったが、テンポの良さとストレートな作劇でとても見やすい印象だった。
今回改めて思ったのは、「仮面ライダー」と「探偵もの」の相性が抜群に良く、Wが平成仮面ライダーの中でも特に人気の高い作品な理由であるということ。人知れず、人を守って戦う仮面ライダーというヒーローと探偵の仕事というのはシンクロ率が非常に高い。一方で、一つの街の中での話にしかならないとかつては人類そのものの平和を守る存在だった仮面ライダーが矮小化するリスクもあったと思う。
だが純粋に作品の面白さでその賭けに勝ったのが仮面ライダーWなのだな、とアニメになっても親しまれるこの劇場版に「出来の良さ」を明確に感じた。
そしてやはり、主役たるおやっさんの台詞回しにはシビれた。三条陸さんのセンスであろうか、脚本を書く人間としてとても刺激になるハードボイルドであった。
途中、実写版からお馴染みの吉川晃司ソング「Nobody〜」が流れるが、アニメ版のツダケンと全く違和感がなかったのが凄い。この風都探偵、キャスト陣がしっかりオリジナルに寄せているのがWファンに受け入れられている要因であろう。園咲家の面々も本当に実写版のままだったと思う。
ここまで来ると、ときめも実写で観たくなってくる。…未見ですが、舞台版には居たんですっけ?
本来Wはおやっさんとフィリップだった、というのは今や違和感しかなかったり、変身すると一人動けなくなるのは脱出の際は足枷だよな…みたいなツッコミ所もありつつ、結末が判っていても楽しめたのは良い作品の証拠。
一昨年のスラムダンクさながら、誰もが観たかったエピソードを映画館で見せてくれるのはファンにとっては何よりのご褒美でありましょう。
…少年時代の翔太郎、まず強すぎるし目つきが悪くもなかったですぞ。普通に可愛いと思ったのですが。
スコア…4.0
変身に「毒」を感じるのが仮面ライダー
今作の主役たるおやっさんが変身する仮面ライダースカルは、かつて石ノ森章太郎先生が「バッタ怪人」の前に原案として書いたドクロのヒーローに準え、主人公の先代ヒーローをガイコツマスクにしているという、リスペクトに満ちたデザインになっています。
その部分もさることながら、Filmarks感想にも書いたようにWは元祖・仮面ライダーな要素が強めの作品なのだな、と感じています。ディケイドで平成仮面ライダーに一度区切りを付け、再度「一作目」の気概で臨んだ作品であることが、ベルトに並ぶ象徴であるマフラーにも表れていますね。
加えて、仮面ライダーは基本的に敵の力、敵と同じ力をもって変身するヒーローである、というのが一作目から最新作のガヴに至るまで継承されている要素です。原点である本郷猛がそうであったように、本来ならば変身などしたくない、人間のままで居たかった…そういう悲哀を感じさせるヒーロー像が、他の作品と一線を画している要素だと思っています。Wはそんな、
「変身そのものの、毒」
を充分に感じさせる作品なのが、新旧問わずファンを獲得している要因なのかな~とも、この度の劇場版で感じました。W独自の要素として、二人で変身して片方は意識を失い倒れます。特別、何かあるような描写はないですがコレ、何度も繰り返していると絶対身体に良くないよな…って、フィリップが心配になっていました、テレビ版の時から(笑)。
実際、番組の終盤になると本人が危険な状態になるライダーもいました。そんな要素も含めて、「主人公を見守っている」感覚になるのが、仮面ライダーの独自性であるとも思っているんですね。
欲しかった、翔太郎の相手
私自身、この風都探偵で気に入っている要素として新キャラのときめの存在があります。
訳アリの女性でしたが、色々あって翔太郎の助手として鳴海探偵事務所で働いている、今作のヒロインですね。今回の劇場版はおやっさんの話を翔太郎が彼女に語る回想、という形で綴られます。
私がテレビ版Wに感じていた物足りない一因として、翔太郎にヒロインがいないことでした。他の作品ならそのポジションにいそうな所長が照井竜とくっついてしまったので、主人公がフリーだったんですよね。
もちろん、あえて翔太郎は「俺に女は要らねぇ」的なハードボイルドキャラでも良いのですが、やはり彼はハーフボイルド、若干頼りない部分もありますしやはり支える女性は必要だよな、と感じていました。個人的な好みもかなり入っていますが。そこに、テレビの後日談たるこの作品でときめが現れたのは、
「良かったね…翔太郎…」
と、若干フィリップの目線で安堵してしまったものです(笑)。
「翔とき」なるカップリングの通称もあるようですし、一般的な恋人関係とは異なってもいいので、幸せになって欲しさはあります。
今回の映画、むせび泣く翔太郎を優しく抱きとめるときめの画は、とても良かったですね、正ヒロイン、といった感じでした。
そんな感じで、初めて映画館で観た仮面ライダーのアニメ、でしたが面白かったです。俳優が忙しくなって続編が難しくなっても、漫画、アニメなら可能なのは強みですよね。
では今度こそ、あらためて宣言します。
原作漫画も、読んでみようと思います!(フラグ)